『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』から。そして「日本の再活性化のために」で寺島実郎氏講演。

 インフレに増税…。いよいよ政府がサラリーマン切り捨ての政策を実行に移し始めた今、これから起業しようとする人は、一体どうやって準備すればいいのか。不安になるものである。この著者は、著者は、大手コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウダイエーなどの企業再生に携わった後、独立・起業した山口揚平さん。企業の実態を可視化するサイト「シェアーズ」を創設し、その後、事業を売却。現在は、コンサルティング会社をはじめ、複数の事業・会社を運営しながら、執筆・講演活動をしている方のようである。
<ポイント>
◆5つの領域から収益を得るパターン
1.「何をやるか」より「どうやるか」が大切
観光地で写真を撮るカメラマンであれば、写真を撮ってその場でプリントして観光客に即売するというモデルもあるし、写真を撮ってあげて観光客に名刺を配り、ここにアクセスするとダウンロードできます、という販売方法もありえます。後者で、ダウンロードする際にクレジットカード払いで100円、というシステムが構築できていれば、どちらが儲かるかというとと後者でしょう。ここでのメッセージは、バリューとシステムを切り離して考えることが必要だということ。バリューはもちろん大事です。でも、システムがないとお金は入ってきません。
2.ディズニーランドの本当の収益の柱は?
 例えば、ディズニーリゾート(運営会社:オリエンタルランド)の土台は、実は「ワールドバザール」にあるということを多くの人は知らないでしょう。
 もちろん、アトラクションなどのコンテンツが、ディズニーリゾートのバリューの中心ではあります。けれども収益構造を見ると、テーマパーク事業全体の売上高に占める入園料関連の割合は43%と、半分に満たないのです。それに対して、物販は36%、飲食で21%の合計は計57%で、これらが占める割合の方がむしろ大きいと言えます。
3.どれをやるべきか考える軸として、「これは儲かる」というキャッシュフローの軸と、「これは自分のビジョンややるべきことと整合している」という軸の2つがあります。つまり「金に近いのか?」「夢に近いのか?」という問題です→プロフィットモデルパターンは複数組み合わせる
 つまり、顧客では「個人」を相手にし、商品は「直球」、すなわち現物の製品やサービス、スキルそのもの、課金の仕方は「スポット」(その都度)、支払い方法は「現金」で、商品を作る資源は「自己調達」というのが、特に工夫のない普通のビジネスのやり方でしょう。好き」なことで「食う」ことを考えた多くの人は、こうした基本の組み合わせでビジネスを始めがちです。しかし、このビジネスモデルは雄もが参入可能ですから、当然過当競争が進むわけです。となれば、十分に食えない可能性が高いでしょう。これではいけません。
 逆に言えば、この中でどれか1つだけでも基本のパターンではないものを取り入れれば、ビジネス展開は有利になります。
4.・自分のロールモデルとなるであろう人物にメールを1通送り、とにかく会いに行って、そこでなんとか丁稚奉公させてください、というのが正しい就職の仕方→誰でも最初は一定期間、丁稚奉公せよ
スティーブ・ジョブズでも、学生時代、ゲーム会社でプログラマとして働いていた期間がありましたし、ハーバードを中退したビル・ゲイツザッカーバーグだって他人の仕事を手伝ってお金を稼いでいたときがあります。天才であろうと凡人であろうと、丁稚として社会の中で揉まれる時期が、誰でも必ずあるということです。それが、確実にその後の成功の原体験となります。その意味で、自分がニート、あるいは内定がない学生だからといって、働き口がないからという理由で起業するのはもちろんダメです。内定がないならインターンでもボランティアでも丁稚奉公でも何でもして、とにかくどこかに潜り込まなくてはいけません。これはお金の問題ではなくて、職業訓練の問題なのです。
5.・ベストを追求すると会社は大きなリスクを負ってしまう。だから、経営するときはベターを積み上げるものである(ある証券会社の社長が教えてくれた教訓)→ベストを尽くすよりもべターを積み上げる
顧客に対する価値を上げるためには、「べターを積み重ねる」ことが必要です。自分がべストを尽くして没頭してしまうと、周りが見えなくなってしまいますよね。だから、ベターを積み重ねるということは、常に一歩引いた姿勢で少しずつ歩を進めるということです。サラリーマンの場合は、べストを尽くすことに意義があり、1つの業務に従事するというのが基本ですが、独立してこれをやると失敗します。
6.・論理・情理・倫理を調和させることでビジネスが長く続く→ロゴス(論理)・パトス(情理)・エトス(倫理)を調和させる
 実際の事業では、この3つがバランスよくないと、長続きしないと思います。ロゴスばかりのビジネスは、共感を得ません。だからといって、NPOにありがちですが、エトスばかりを主張しても現実的には行き詰まってしまいます。パトスが突出した会社は、体育会系的なイべントや祭りを重視し、精神論的な部分が大きいので、ついていけなくなると厳しいです。もちろん、完全にバランスを取るというのは難しいのですが、できるだけどれかに偏ってきたら、足りない要素を意識して取り入れていくべきたと思います。
7.その他
・「顧客」「商品」「課金の仕方」「支払い方法」「資源」
・その業界で本業とされている商品以外で実は収益を上げている、というパターンが「周辺商品(サブグッズ)」型モデルです
・「相手の懐が痛まない」支払い方法にしよう
・原点に立ち戻って、ごくシンプルにしましょう、というのが日本では今、求められていると思います。人によって必要だと思えば、それはオプションという形にすればいいんです
・振り幅が大きい年収をあてにせず、戦略的に使ってしまおう
・リスクを回避する法人契約はぜひとも取ろう
・事業における最大コストは経営者の心の管理
・信用=(専門性+確実性+親密度)/利己心

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 9時15分から東京国際フォーラムの講演会に参加。
 テーマは「日本の再活性化のために」で講師は日本総合研究所寺島実郎氏であった。その内容は、
・これからの日本は企業を育てる資本主義。現在のアベノミクスの金融緩和・財政出動による株価上昇、バブルよ再びではダメ。実体経済が不可欠。
・先日トーク番組に収録でスズキの鈴木修会長兼社長と対談した。今の若者は全うな大人と出会っていない。彼らの親は40代であり、右肩下がりの日本しか経験していない。今の若者は世の中をなめている。今、どん底から這い上がるエネルギーが必要。
例えば、浜松のホンダ、スズキのようにモーターからオートバイを、広島のお多福ソースのように軍需工場の鉄板を活用し、お好み焼き、そのソースを開発してきた。企業が成功したわけはまさにそこに気づきがあった。ソフトバンク・・これからはIT時代。マイクロソフトの研究。まさにセンスが必要。
・これからの日本。調整インフレ論。価格に転嫁できない。イノベーションと競争により、価格が下がる。川下インフレ、川上デフレ。原材料の値上げ、すでに円安の影響。業界により、インフレとデフレになっている。どの立場に立って議論するのか。今消費が弱い。
・資産デフレになり、20年経過。2000年に入り、終身雇用・年功序列が崩壊。消費どころではない。
・資産家が没落。右肩下がり状態。ユニクロ現象。ここ2.3年で中流意識が吹っ飛ぶ。
・分配の構造が問われている。製造業から、サービス業に転換し、収入が100万円減。
・若いうち、生活保護で、いずれは最低年金で。(若いヒトの空気)
・産業空洞化。キャピタルフライト(国内から海外へ資本が一斉に流出する資本逃避のこと)。国境を超え、ヒト・モノ・カネが動くまさにグローバル化時代。
シンガポールに学べ。バーチャル国家。技術・ソフトウエア(目に見えない財)。医療、IT、バイオ。
・これからの企業。まさにガバナンスの時代。散らかっている個別の要素を総合的にプロデュースする力が必要。プロジェクトエンジニアリング。

シンガポールについて>
大航海時代ポルトガル、スペイン、オランダ、大英帝国
・英国人ラッフルズが1819年マラッカに上陸。
・山下将軍のシンガポール攻略。英国のパーシバル将軍にイエスかノーかを問う。英国にとって屈辱のシーン。3年半の日本占領。昭南島命名
リークアンユーは日本軍への協力者だった。情報活動。
1840年アヘン戦争。英国はインドのアヘンを中国に売りつけ茶や香料を買った。英国はインド兵を使った。
・チャンドラボース。インド独立戦争の闘士。日本軍とインド独立戦争を戦った。アフガン、ソ連、ドイツ。2万人のインド兵。大東亜会議のインド代表。1944.3のインド攻略のインパール作戦で日本は3万人の兵士が死亡。2万人のインド義勇兵。ボースは台湾からソ連に亡命を図るが航空機事故で台湾で死亡。ベンガルのヒーロー。ガンジー、ネールに匹敵。東京裁判でのパール判事の日本無罪論。インドはサンフランシスコ平和条約に参加せず1952年に単独講和。そして1955年のバンドン会議へつながっていく。
シンガポールには600人の日本人売春婦。ジャパゆきさん。日本人墓地に眠る。チャンギ空港のある土地は捕虜収容所だった。英国人、そして日本人。
・経済のシンガポールモデル。バーチャル国家。見えない財を創出。一人5.5万ドルのGDP。サービス、ソフト、IT、バイオ。健康ツーリズム、検診。所得税20パーセント。金融所得の利益は無税。
・教育のシンガポールモデル。早稲田大学直結の渋谷シンガポール校の成功。欧米の一流大学の分校が続々立地。南洋大学。
・観光のシンガポールモデル。LCC、バス並み。マリーナベイサンズ、カジノ。セントソーサ島、世界最大の水族館、ユニバーサルスタジオ、カジノ。
・交通のシンガポールモデル。渋滞緩和のための施策(時間、偶数)で金持ちは二台購入。ETCの義務化をすれば、時間帯などによるディスカウントも可能。金銭徴収人が不用になり経費削減。高速道路はシームレスになる。先端技術で管理コストを下げるモデル。
・政治のシンガポールモデル。建前は民主主義、実態は一党独裁。中国が興味。
安全保障のシンガポールモデル。フィリピンから撤退した米軍に基地を貸す。主権を維持したまま抑止力を保持。
ユニオンジャックの矢と大中華圏の南端としての接点に位置。人と金が集まっている。しかし、アセアンでは不人気。セルフィッシュ、嫉妬心、徳がない。この先どうなるか。


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(2月15日生まれの偉人)
九鬼 周造(くき しゅうぞう、1888年2月15日 - 1941年5月6日)は、日本の哲学者。東京都生まれ。父は明治を代表する文部官僚で男爵の九鬼隆一。祖先は九鬼嘉隆。母は周造を妊娠中に岡倉天心(隆一は岡倉のパトロンであった)と恋におち、隆一と別居(のち離縁)するという事態となった。生みの父・隆一、精神上の父・天心、そして喪われた母という、この3人のはざまで幼少期・青年期の周造は成長していくこととなり、それは後の精神形成にも大きな影響を与えることとなったと考えられる。九鬼は子供の頃訪ねてくる岡倉を父親と考えたこともあったと記している。
1941年に没するまで京都帝国大学文学部哲学科教授として、デカルトベルクソンをはじめとするフランス哲学や近世哲学史現象学を中心とした(その当時の)現代哲学などを教えた。ヨーロッパの長期滞在の中でかえって日本の美と文化に惹かれていく自分に気づいていった彼は、帰国後、その洞察を活かして『「いき」の構造』(1930) を発表する。これは、日本の江戸時代の遊廓における美意識である「いき」(粋)を、現象学という西洋の哲学の手法で把握しようと試みた論文である。この著作が生まれた背景には、彼の生い立ちや独特の美意識、ヨーロッパという異文化体験、思想遍歴といったものが幾重にも交錯しており、そのことによってこの著作は、哲学書・美学研究書・日本文化論そのいずれの枠にも収まりきらない異色の書として、日本思想史上、際立った存在となっている。