滋賀県知事選 与党候補敗北 ”原発” ”集団的自衛権” 争点に

投票率が50.15%と比較的高かった滋賀県知事選挙で三日月大造氏が当選した。しかし当初は自民公明が推薦する小鑓隆史候補などが優勢とされた。一方、三日月大造氏は現職の嘉田由紀子知事と二人三脚で行動していた。今月1日に閣議決定が行われたが、集団的自衛権については戦争体験をもつ年配の人たちの関心が高かった。三日月大造候補は「私は集団的自衛権行使用任意は反対です」と話した。選挙戦の終盤に危機感を持った自民党では、石破幹事長が「指示というものに影響が出ていることは否定しない」と話した。また自民党は選挙では集団的自衛権を争点にせず経済再生を訴える作戦だったが、自民党の新人議員の武藤貴也衆院議員が「今回の選挙は集団的自衛権にイエスかノーかを問う選挙だ」と街頭で訴えた。これを受け、陣営幹部が武藤議員を叱りつける場面があったという。そして自民党は劣勢を挽回するため閣僚などを相次いで投入し129人の国会議員が応援に入った。自民党野田聖子総務会長は「集団的自衛権について不満を抱えている皆さんにはご説得を賜りたいと思っている」と演説した。集団的自衛権原発再稼働について共に慎重な意見がある公明党の支持層はどう行動したのか。公明党支持層の投票が減っていたようである。まさに、「集団的自衛権はある意味野党の攻撃の格好の材料となり、安倍晋三総理大臣は「影響があったという声も確かにある」と話した。

◆『ここがポイント!!池上彰解説塾』( 2014年7月14日放送 19:00 - 21:48 テレビ朝日
●池上が注目した今日のニュース
 全国紙の今日の一面を紹介。池上彰が、滋賀県知事選挙の各紙の報道の仕方について比較した。ブラジルワールドカップ勝戦が行われ、ドイツが優勝した。ドイツは東西統一後、初の優勝となる。ベネッセホールディングス個人情報流出事件で、関連会社のシステムエンジニアが関与を認めた。
●ベネッセ顧客情報流出の問題点
 ベネッセコーポレーションから約760万件の個人情報が流出した事件で、システム運用を委託されていたグループ会社のシンフォームが、情報管理を再委託していた外部業者で働いていた派遣社員システムエンジニアが、事件への関与を認めた。ベネッセホールディングス個人情報流出事件は、個人情報保護法では個人情報の売買は禁止されていないため、企業の秘密情報を不正に持ちだしたとして不正競争防止法違反の容疑となる。
脱法ドラッグ 取り締まる方法は?
 違法薬物については、2013年に法改正され規制対象となる薬物が急増したが、業者は規制対象外の薬物を次々と開発している。脱法ハーブは安く販売されている者が多いが、安全性についてはまったく考慮されていない。
●号泣元県議 政務活動費って何?
 政務活動費の不透明な支出を指摘されていた兵庫県議会の野々村竜太郎議員が、辞職願を提出して受理された。国会議員や地方議員の政務活動費について、池上彰が解説。地方議員の政務活動費については、各自治体の財政状態によりかなりの格差がある。政務活動費の不透明な支出を指摘されていた兵庫県議会の野々村竜太郎元議員が、3年間も不正がバレなかった理由について、池上彰が解説。東京都では議員の政務活動費の使い道について厳しいチェックを行っているが、兵庫県議会ではチェックが甘かった。
●日本の危機 高齢化問題
日本では現在、4人に1人が65歳以上の高齢者となっているが、20年後には3人に1人が65歳以上の高齢者となるため、社会保障費の激増で若い世代の負担が増える。高齢者を狙う特殊詐欺は、警察などが注意しているのに、被害額は年々増加している。日本老年医学会と日本老年学会の定義では、65歳以上が高齢者となる。詐欺グループが刑事を名乗り、捜査への協力を呼びかけて金をだまし取った事件を紹介。宝くじの当選番号を教えると、金をだまし取った事件や税務署職員を語り、ネットバンキングに金を振り込ませてだまし取った事件を紹介。池上彰が、新しい給付金制度の臨時福祉給付金と、子育て世代臨時特別給付金につけこむ詐欺の手口を解説。高齢者が電話をかけて、油断させたケースを紹介。詐欺グループの間では、被害者のリストが取引されているという。池上彰が、自身の名前をかたった詐欺事件に注意を呼びかけた。
認知症で1万人以上が行方不明
日本は高齢化により認知症患者が増え、徘徊した認知症患者による事故などが多発している。認知症患者が行方不明になったという届け出が、一万人を超えた。軽い認知症であると、本人や家族が病気を自覚していないケースが多い。認知症患者が行方不明になり、発見まで何年もかかるケースが相次いでいることから、田村厚生労働大臣は警察の情報伝達などの改善に取り組むとコメントした。
諫早湾干拓事業 税金ムダ使いするワケ
 諫早湾干拓事業は、戦後の食糧難の時代に計画された。諫早湾干拓事業は戦後の食糧難の時代にコメ増産のために計画されたが、コメ余りの時代になっても計画が中止されずに続行された。諫早湾干拓事業は、当初は1350億円の予算だったが、2530億円まで予算が増大した。諫早湾干拓事業により堤防を作ったことで、漁獲高が減ったと地元の漁師らが訴訟を起こした。諫早湾干拓事業により作った堤防を開門させる訴訟を、地元の漁師らが起こし、福岡高裁は開門を認める判決を下した。しかし埋立地で農業をしていた人たちが開門しないでほしいという訴えを起こし、長崎地裁は開門を認めない判決を下した。北村弁護士が、当時の首相だった菅直人が上告していれば、このような事態にはならなかったと指摘した。諫早湾干拓事業訴訟では、国を訴えた地元の漁師らに1日1万円の保証金を支払わなくてはならない判決がでているが、堤防を開けた場合は国は1日49万円を農業者側に支払わなくてはならない。
●菅官房長官池上彰が鋭い質問
 菅官房長官官房長官の仕事は、官僚をまとめる仕事が多いと語った。菅官房長官が日本への観光客を増やすために観光ビザの緩和をするために、反対する省庁との取りまとめを行ったエピソードを語った。菅官房長官池上彰が、北朝鮮拉致問題について質問した。菅官房長官が、北朝鮮が本格的な調査を約束したので、経済制裁の一部を解除したと語った。北朝鮮が日本に向けてミサイル発射実験を繰り返していることについて、菅官房長官は日本を刺激する以外の意図があるかもしれないとコメントした。菅官房長官北朝鮮拉致問題について質問した。菅官房長官が、北朝鮮への経済制裁の一部を解除しているが、これは日本側の決定的な外交カードではないと述べた。池上彰が菅官房長官に、滋賀県知事選挙で与党の推薦者が敗れたり、内閣の支持率が下がっているのは、集団的自衛権について強引に与党が進めていることに、国民が反発しているからではないのかと質問した。菅官房長官滋賀県知事選挙の結果について、地方の選挙であるので集団的自衛権はあくまでも争点の一つにすぎないと語った。池上彰が菅官房長官に、集団的自衛権について自民党公明党の考え方に距離があるのではないかと質問した。菅官房長官が、集団的自衛権については閣議決定されたことがすべてであり、公明党側も納得していると述べた。