勝ち続ける経営・・ 日本マクドナルド原田泳幸の経営改革論・

 アップルコンピュータジャパンの社長から、日本マクドナルドの社長に転身して、「マックからマックへ」と報道された原田泳幸さん。原田さんが2004年に社長に就任した当時の日本マクドナルドは、かなりの低迷期でした。しかし、原田さんが就任後、すぐに改革に着手すると、今度は売上高が、2004年から7年連続プラスに転じました。まさに、絵に描いたようなV字回復ですね。原田さんは、いったいどのような経営改革を行ったのでしょうか?本書はマクドナルドの7年の経営改革の軌跡。
<ポイント>
●原田さんが社長に就任した当初、管理職や執行役員らは、低迷の原因を、多店舗展開が急速に進み、店舗がお互いの客を互いに奪い合った結果と説明していました。原因はもっと単純で違うものでした。それは、外食産業の基本中の基本である、クオリティ・サービス・クレンリネス・バリュー(QSC&V)が提供できていないという事実。そこで原田さんが行った改革の中で、最も大切にしたことが、基本に立ち返り、「マクドナルドらしさ」を追求することでした。
 「私が就任してから今日まで、売上高は7年連続マイナスから7年連続プラスになりましたが、このときに行ったことを ひと言で表すならば、“基本に立ち返れ。基本以外は何もするな”だったのです。」
●確かに、2010年から実施して好評を得ているBig Americaキャンペーンもいかにもマクドナルドらしい仕掛けですし、他のファストフード店ではできないことでしょう。そして、このデフレの8年の中で、したたかに行った6回もの値上げ。かつての安売り一辺倒だったマクドナルドとは明らかに違う戦略。値段ではなく、独自性のある価値あるものを提供することへ方向転換したことが、マクドナルドの更なる成長につながりました。
●この本から何を活かすか?
「キャシュ・カウ」は「プレミアムローストコーヒー」キャッシュ・カウ(Cash Cow)とは、金のなる木。売れれば売れるほど、会社の儲けになる商品のことです。マクドナルドでは、コーヒーが売れるほどビッグマックが売れるそうです。ですから、マクドナルドがコーヒーに力を入れるのは、あくまでビッグマックを売るための戦略なのです。2012年2月9日に、マクドナルドは香りとコクを強化したプレミアムローストコーヒーのリニューアルが、全店舗で完了したと発表しました。