百年たっても後悔しない仕事のやり方(出口 治明著・ダイヤモンド社)から

 出口さんは、日本初のインターネット専門の生命保険会社・ライフネット生命社長であり副社長の岩瀬大輔さんとコンビを組んでライフネット生命を経営しており、昨年3月15日に株式公開した。
 ライフネット生命はこれからの生命保険がどうなるかを予測して、「インターネットオンリーで営業職のない超低コストの生命保険会社」というビジネスモデルをピンポイントで狙っており、”スイートスポット”を打っていることは間違いない。まさに、IT時代の生命保険である。しかし、たとえば自動車保険では、ソニー損保やアクサダイレクトが伸びてくると、東京海上系のイーデザイン損保や、SBI損保など、既存の生命保険会社や新規参入者が増えてきて、競争は激化している。ライフネット生命も毎年自動車保険の一括見積もりサービスを利用して、毎年最安値の保険会社と契約している。
 生命保険は自動車保険のように毎年更新することはないので、一旦契約が取れれば保険料収入は将来にわたって確保できる。しかしそのためにはライフネット生命知名度を上げ、契約者に安心感を与える必要がある。既存の生命保険会社はライフネット生命をつぶしにかかるだろうから、自動車保険の様にネットで生命保険料の比較が一般的になってくると、競争力ある水準を出して早期に顧客を囲い込めるかどうかがライフネット生命が成功するかどうかの鍵となるだろう。
 出口さんが日本生命の英国現地法人社長としてオックスフォード大学に支援をしていたときに、オックスフォード大学で初めての女性学長のキーブルカレッジ学長と一緒にランチを取って雑談していた時だが、学長の専門が「後期ローマ帝国」ということなので、出口さんもこの分野は好きで、かなり読書をしていたので、質問をしたそうだ。「イギリスはインドを失ったときから没落が運命づけられています。」これも同じ学長が語った言葉だ。だから英国のエリートは没落のスピードをゆるめることが自分の仕事だと思っているそうだ。それゆえオックスフォードを出た最優秀の学生は、外務省を目指す。外交を強化することで、没落のスピードを遅くし、イギリスの存在を維持することができるからだ。外交を徹底的に大事にすることはイギリスの責務であると。学生が民間に入る場合は、一番優秀な学生は教師になるのだと。次の世代に英国の実態をきちんと教えることが重要だからだ。学長の話は大変示唆に富み、日本も成長したいのなら徹底的に人口を増やすか、あるいは冷静にピークアウトしたことを認め、その代わりに落ちるスピードを遅くして、徐々に降りていくという方向にまぜ方向転換できないかと疑問に思うと、出口さんは書いている。人口減少社会を今後どうするかが大きな課題であろう。政権批判をしないつもりなので、街コンや合コンを自治体の政策にしたいものである。
 また、英国大使館の人は公式の場では絶対に英語でしか話さないが、日本人同士で日本語で打合せしている内容はすべて理解しているのだと。まさにインテリジェンスである。エリートたちは、英国は外交でしか国家の力をキープできないという意識があるようである。さらに、出口さんはTOEFLは受けたことがないが、出口さんの教わった英語の先生によると、評価にブレがなく、グレードが信頼できるのは①TOEFL②英検③TOEICの順だという。TOEICは英語を母国語としない者を対象としたコミュニケーション能力テストであるのに対して、TOEFLは英語圏教育機関による入学希望者の外国語としての英語力判定テストなので、シンプルなコミュニケーション能力以上のものを求められるという。だからビジネスパーソンはTOEFL100点以上を常識とするのだと。私は語学力はないが、TOEFLを目指して勉強していきたいものでる。