もう一度憲法を考えてみよう。

 先週5月3日は憲法記念日でした。ゴールデンウイークでお休み気分が強いため、憲法記念日でありながら「憲法」をそれほど意識しなかった方も多い。当日は、憲法擁護、憲法改正の二つの大会が国会議員等により、行われていたようである。私も、法学部出身ではあるものの、考えてみれば、憲法について最近はそれほど深く考えてはいなかった。単なる祝日の一つぐらいにか考えていないかも。
 憲法改正には第96条で「各議院の総議員の三分の二以上の賛成」を必要とすることが、政治がこれだけ不安定でふがいない中での憲法改正などあり得ないと考えていたことも憲法に関心が薄いことも原因の一つかもしれない。多くの国民が、この国日本が、経済的には大きな閉塞感に覆われながらも、なんといっても平和で安全で住みよい国だから、憲法を意識しなくても過ごしていける。まさに平和ボケかも。
 憲法前文の格調が実に高い。「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和における成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争のもたらす惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を制定する。」ではじまる前文である。日本国憲法は、太平洋戦争終結後にGHQによって作られた憲法であるが、戦争の惨禍を二度と起こさず、国民主権を確保し、かつ国民の基本的人権を確保するという理念が、前文と全103条にちりばめられている。戦後、65年以上経過し、まもなく70年近くになっている。
 現在、これらのこと(平和、国民主権基本的人権の確保)を、たいして意識することなく、当然のことと感じられるすばらしい社会に暮らしているという認識が必要であるが、あまりに当然と思ってしまっている感がある。冷戦構造が崩れ、中国が台頭、さらには北朝鮮の脅威、プーチン復活のロシアの動きなど、日本を取り巻く国際情勢も大きな変化を見せている。いまこそ、憲法や政治のあり方を、もう少し真剣に議論すべきではないか。憲法第九条にしても、「自衛権」をはっきりとで明記すべきであり、自衛のための軍事力の確保もきちんと明文化すべき。しかし、日本の閉塞感を打破し、憲法の理念を守りながらも、再び活力ある国によみがえらせるには、政治のシステムを根本的に見直し、活性化する必要がある。まずは、憲法改正なしにやれる「道州制」の導入(憲法第92条には「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とある。)などを真剣に議論すべき時にきている。