消費税を上げることは、緊縮財政の実施

 国民の収入が同じで税金が上がるということは、可処分所得が減り、景気が悪化する可能性が高い。このまま消費税を増やしても、消費が減り、その結果、企業の利益が減少して所得税法人税などの税収が下がり、景気も悪化し、最終的に税収も下がるという悪循環に陥ってしまう。増税を行うなら、それと同時に景気刺激策、成長戦略についても考えなければならない。GDPを上げる方法を考え、その政策を行いながら緊縮財政を行わないと、悪循環に陥る可能性が高い。現在の日本の名目GDPは20年前と同じ水準であり、経済成長はすでに長い間停滞。「現金給与総額」長期的にはほとんど上がっていない。「法人企業統計 営業利益」も長期的なトレンドで見ても、やはり停滞感は否めない。また、企業は、ますます海外で利益をあげる傾向が強まりそう。国内では事業を縮小する動きも自動車などを中心に小さくない。このままでは、増税を行っても付け焼刃にしかならず、財政赤字の膨張を食い止めることはできない。国内景気をさらに悪化させる懸念が大きい。政府が景気刺激策なり成長戦略なりを実行することで、企業の利益を増やし、さらには税収を増やすということをやらないと、どんどん負のスパイラルに陥ってくる。稼げないのに税金だけ増えるということになってしまう。
 可処分所得が減って、消費支出が増えない状態が続いていき、結果、GDPも増えないという状況になる。さらには、国内の消費が伸びないと、企業は海外進出を加速させますから、直接投資の赤字額も増えて行く。二重の負のスパイラルに陥ってしまう恐れがある。日本経済はもう、経済的な元手を増やさないといけない時期。対名目GDP比の財政赤字額が200%を超えており、先進国中最悪ですが、これもこの20年間に米国並みの成長をしていれば、比率的には半分ほどに下がっていたはず。重要なのは経済を刺激することを考えなければならない。景気刺激と言うと、公共投資などが思い浮かべがちであるが、産業政策です。伸ばすべき産業を選択し、それらを集中的に伸ばしていき、世界に対抗するという産業政策が、日本経済を救う重要なポイントになる。年々膨らむ社会保障費などによって、日本の財政赤字はどんどん増えてくる。増税だけでは成長率を上げることはできない。