今日は海の日。

 今日は海の日。昨日から、都内も猛暑続き。
 暑くなると、母親の体調が心配になる。また、逆に寒くなれば体調が心配になる。親だから仕方のないことだが、自分も元気で頑張って行きたいものである。

 明日から異動になる。たぶん最後の職場であろう。気負うこともなく、淡々と仕事をしていこう。自分以上でもなく、自分以下でもない。いまさら野心でもあるまい。仮に、新たな道にすすむにしても、それは野心ではない。欲でもない。まさに、夢であろう。新しい職場に赴任するにしても市全体で行こう。気負うことなく、でも、自分の管理職としてのカラー出していきたい。明日の職員への訓示が楽しみである。

●『山田方谷に学ぶ財政改革の在り方』
「日本一の財政家・名参謀・軍略家」とも称される幕末期の儒者山田方谷が32歳の時に書した論文『理財論』を読んだところ、有益な記述があった。 山田方谷(1805年-1877年)という人は、例えば安岡正篤先生なども幕末陽明学の大家の中では春日潜庵先生と並んで最も尊敬出来る人物であると述べている。方谷というのは「幕末期に、今の金額に換算すると百億円にものぼる借財を抱えた備中松山藩の財政改革を遂行し、八年後には、逆に百億円の蓄財を持つ裕福な藩に変貌」させた偉人であった。日本ではケネディ大統領の影響もあり、藩政の大改革を実現した人物として、米沢藩主の上杉鷹山が有名であるが、方谷も負けずおとたず、優れた改革者であったようだ。
方谷の『理財論』の最も大事なポイントを挙げると、それは、「それ善く天下の事を制する者は、事の外に立ちて事の内に屈せず。而るにいまの理財者は悉く財の内に屈す。だいたい、天下のことを上手に処理する人というのは、事の外に立っていて、事の内に屈しないものです。ところが、今日の理財の担当者は、ことごとく財の内に屈してしまっています」ということである。それは、真に天下を動かす者は「事の外」にいて一切のものから束縛を受けることなく、そして「財の内に屈す」ることのない自由を持って超越している存在である。つまり、真に経済をよくする者は決して金の奴隷になり、金に捉われ、経済に負けているということではない。そして、「財務改善の方法」として、方谷は人間の根本的な在り方から次のように述べている。
『義理を明らかにして以て人心を正し、浮華を芟し以て風俗を敦くし、貪賂を禁じて以て官吏を清くし、撫字を務めて以て民物を贍し、古道を尚び以て文教を興し、士気を奮つて以て武備を張れば、綱紀是に於てか整ひ、政令是に於てか明らかに、経国の大法は修まらざるなくして、財用の途もまた従つて通ず・・・・・義理を明らかにして人心を正し、風俗の浮華(うわべだけ華やかで、中身が伴わないこと)を除き、賄賂を禁じて役人を清廉にして、民生に努めて人や物を豊かにし、古賢の教えを尊んで文教を振興し、士気を奪いおこして武備を張るなら、綱紀は整って政令はここに明らかになり、こうして経国(国を治め経営すること)の大方針はここに確立するのです。理財の道も、おのずからここに通じます』
 江戸時代当時というのは「税金を徴収し、支出を削り数十年経過したが一向に良くならず、財政は悪化の一途をたどって」いたわけが、それは近視眼的に「ただ理財の枝葉に走り、金銭の増減にのみ」に拘る政治家達が、ちっぽけな経済というものに振り回され言わば金の奴隷になるというような状況であった。それ故やれ税金を上げねばならない、やれ歳出削減が必要だといった形で細々と理財に関する部分だけが訴えられていたわけですが、方谷が言うようにそうしたものを超越し根本的な所を直さねば全てがきちっと治まって行くことはない。
 これは、今日の民主党政権にみることが、できよう。民主党政権というのは2009年の夏にマニュフェストで政権を獲得し、マニフェストに「書いてあることは命懸けで実行」せず、マニフェストに書いていないことを一生懸命実現しようとしてきたわけで、あの政権交代時に為された国民との約束とは一体何だったのか。 方谷の時代においてそうであったように、消費増税や所得・相続増税といった形で税を上げるということにしか為政者の考えが及ばず不景気の中様々な部分で国民は萎縮しており、そこへもっと大事な筋を通すということが全く以てない。そして、国民を恫喝するかのように「日本は財政改革を推進する必要があり、大幅に増加を続ける政府負債額をコントロールできなければ、ヨーロッパのように、これまで以上に問題に直面することになる」などと野田総理はずっと発言していたが、仮にギリシャのようになるのであれば円はどんどん弱くなるはずですが、逆に強くなっているというのが現況である。即ち、1700年以上前の「ギリシャ・ローマ時代」の遺産だけを頼りに国が成り立ち総人口の約1割(日本:約3%)を公務員が占めているような公務員大国・ギリシャと、国民が十分な資産を保有し、国債の93パーセントを自国民が購入している日本とは訳が違うのであって、世界中で誰一人として日本がギリシャのようになるとは考えてはいないはず。野田総理のこれ程までに強い消費税に対する拘りが、むしろ野党時代の声高に主張していた所謂「天下り・わたり」というものの徹底廃止、即ちより大きな財源を生み得る無駄な独立行政法人の全廃に向かうのであれば、国民は拍手喝采するはず。なぜ、民主党をつぶすし、自民党と合流する愚行を続けるのか率直に言って私にはわからない。松下幸之助さんの想いを理解していないのではないか。民主党政権交代の時の選挙で公約したことについては、何の成果も残せずに野田内閣は終焉を迎えたぶん「7月解散・8月総選挙」になって行くだろう。もはや民主党が与党としてカムバックすることはない。方谷が言うように「国民の立場に立って財政・税制等の社会制度を考えるということ」であれば「自然と財政は豊かになる」わけですから、野田政権は山田方谷の『理財論』を読んで学ぶべきではないか。でも遅いかもしれないが。