「組織を変えるマネジメント」から

 北海道の函館に近い森町に、辣腕経営者が町長としてやってきました。それまでの森町は借金200億円、財政調整基金(預金のようなもの)がゼロ。どこの役場も同じだと思いますが、サービス精神もゼロ。毎年、毎年同じ仕事を続けていたのです。何もしない人に過失はない、しかし何もしないこと程、大きな過失はない。そこに佐藤町長は次々と手を打っていきます。「役所は町民サービス業だ。」そして、笑顔、挨拶、スピード、プラスアルファの親切の職員教育。手すりが40万円で、ガソリンも定価プラス15円という役場価格は撤廃する。職員の給与削減。税滞納の回収。赤字事業建て直し。などなど、こうした手を打った結果、財政調整基金は、目標の十億円を突破しました。職員の教育にも力を入れています。人材ではなく人財たれ。まさに、罪ではなく、宝である。これからは役所も金を稼ぐ時代ということです。トップが替わるとこれだけ変わるという証しである。
<ポイント>
●電話は一回ないし二回の呼び出しで出るようにし三回鳴ったら「お待たせしました」と出、四回以上になってしまったら、「大変お待たせしました」と出ること(p59)
●知らないということは恥ずかしいことだが、勉強しようとしないことは、もっと恥ずかしいことだ(p86)
●注意はわからずにやった場合です。承知の上でやった場合は情け容赦なく、法律で許される最大の処分をすることにしています(p96)
●リーダーに欠かせないのは率先垂範です。今週は何度徹夜をしているんだろう」と思わせるくらい仕事をやる(p113)
●森町では、長期返済のための資金を除いての総予算に占める労働分配率が四十%を超えていました。企業においては三十%を超えては危険水準(p142)
●整備されたパークゴルフ場。三百万円稼ぐために、千二百万円かけている。業務委託費は二百万とする。その代わり売上は全部、請け負った企業のものとする(p150)
●「町長、議会とうまくやったほうがいいぞ」と進言してくれる人が数多くいます。私はそんな時、うまくやろうとすればうまくいかないもの」と答えています(p166)
●日本一お年寄りを大切にする町づくり。これは私の公約です。しかし私はお年寄りの福祉予算をドシドシ削りました。私の持論は「自分のことを自分でできる人はお年寄りではない」(p206)
自治体が収益事業を始め、自分達の食い扶持を少しでも稼ぐようになれば、国全体としても楽になるはずです。国から交付金補助金を貰うことが当たり前という今のシステムは制度疲労を起こしています(p209)
●今が良ければいいのではない。十年後、二十年後、三十年後の森町のために汗を流す(p239)