今、イラク問題にみる日本のありようは?

 世界のジャイアンアメリカ様がまたまたごり押しです。イラン原油をめぐっては、イランとの交渉よりもアメリカの横やりのおかげで日本はいままで何回も煮え湯を飲まされてきています。現在、日本はイランから年間必要量の1割もの原油を輸入しています。イラン原油は過去5年間で4割も削減してきている。今後も削減されていくでしょう。脱原発ですから。でも、原発事故の影響で日本のエネルギー政策をどう考えていくのでしょうか。
 困ったことに、日本はイランから原油を買ってるだけでなく、1999年に発見されたアザデガン油田開発を手がけている。これは推定埋蔵260億バレルといわれている。資源のない日本としては絶対に実現したいプロジェクトである。石油業界の指示を受けて、ブッシュもオバマも日本政府に横やりを入れてきました。イランの核疑惑なんて、この契約をぶちこわすために利用できるものである。もし油田開発に成功でもされたら、メジャーから日本への原油輸出が減ってしまい、減った売上はそっくりイランに入る。その資金で核をさらに開発されるのを防ぐために、アメリカとしては、この契約は絶対にぶちこわしたい。
 その時、結局、漁夫の利を得るのは中国。中国はアメリカの行動には与しない。日本と韓国、ヨーロッパが買えない原油はそっくり中国が引き取る。どさくさ紛れにイランと直接契約。代金決済も人民元スワップ取引
 軍需で伸びてきたアメリカ。米国中心の世界からG20でもまとまらない世界無秩序社会となっており、イラン制裁問題はアメリカの思うとおりには進まない。
 これからの日本のアメリカとの関係をどうしていくのか。日本は敗北のトラウマをまだ引きずっている。中国に対し、アメリカの力をかりる。内なる危機(財政赤字・少子高齢・人口減少など)に悩まされて世界に目がいかない。(例:世界人口が70億人を超えていること。)東西冷戦の意識のまま。戦後60年アメリカを通してしか世界をみられない日本。二国間しか見えない。冷戦中はアメリカに見守られて、繁栄してきた。アメリカは戦後、蒋介石政権を支持してきたが、中国が共産党政権になったために、やむなく日本を支配・支援し親米国家としてきたようである。本当に日本政府はどこまでもアメリカに従うのだろうか。

(参考)日本の石油事情
● 高い中東依存 日本では、1970年代には1次エネルギーの約8割を石油が占め、さらに石油の8割を中東地域に依存していました。2005年に1次エネルギーに占める石油の割合は5割を切りましたが、石油だけでなく石炭や天然ガスなども大半が輸入に頼っており、天然エネルギーの海外依存という構造に変化はない。さらに非中東産油国の輸出伸び悩みもあり、中東地域への依存度は約80%に達している。
● 地政学的リスク 原油の供給元では、かつては70%のシェアを占めていたアメリカなど石油メジャーの比率が減少している。産油国が石油会社を国有化するなどの措置を続けたためで、2007年度のメジャーからの輸入シェアは18%にまで減り、代わって各産油国の国営会社からの割合は75.3%にまで増えている。それだけ世界の石油情勢や地政学的なリスクに翻弄(ほんろう)されるリスクも高まっている。ある意味中東産油国に振り回されているといってもかどんではない。
●完全自由化の石油業界 日本では、石油の供給と石油精製の安定化を目指して1962年に「石油業法」が策定され、政府の監督指導のもとで石油輸入と精製事業がなされてきた。さらに1986年には、IEA(国際エネルギー機関)による石油製品の輸入自由化要求に対して、石油製品の輸入を一定秩序のもとで促進するために「特定石油製品輸入暫定法(特石法)」が制定・施行された。その後、10年間の時限立法である特石法が1996年に廃止になり、さらに戦後の石油供給と精製を規定してきた石油業法も2001年12月に廃止となり、日本の石油業界は名実共に完全自由化の時代を迎えた。