「日本経済の真実」(辛坊治郎・辛坊正記著、幻冬舎)

 消費税増税論議がされています。野田内閣は今月中に政府案を国会に上程したいみたい。でも、野田さんは選挙の時、この4年間は消費税を上げないと堂々と演説していたはず。内閣総理大臣になると変るのですね。5%→10%へ。しかし、10%からさらに増えるかもしれません。なぜなら1%増税で2兆円、5%で10兆円の税収増が期待されますが、国家予算の支出は90兆円、税収50兆円で不足の40兆円には足りない。こうした状態が長く続かないということは、だれもがわかることでしょう。
 この本では、バブル崩壊後の歳出増、税収減が小泉首相の時代に回復したことを指摘している。小泉首相時代に国家破綻が少し遠のいた。小泉首相の格差拡大を批判する人は多いようですが、格差は小泉以前から拡大していた。小泉首相が批判されるとすれば、国の貯金箱である郵政を民営化し、国の自由になるお金を制限しようとしたことなのでしょう。
<ポイント>
・貯蓄されたGDPは、好むと好まざるとにかかわらず誰かの手で必ず投資されます。上手に投資すれば経済の成長につながります(p47)
・欧米に比べて現金・預金の比率が圧倒的に高く、株式・出資金の比率が際立って低い・・現金・預金は、大部分が銀行や郵便局などの金融機関に預けられたお金です(p53)
・国内のお金を、何に使うかということこそが決め手(p45)
・社員の人気取りに走る経営者が、将来社員に取り返しのつかない迷惑をかけるのと同じで、余っている税金を使うのではなく、借金をして人気取りに走る政治家は間違いなく、国家を破綻に導きます(p65)
・「私にお金を貸してちょうだい、貸してくれたら君にあげる」と言われたらどうします?この友達こそ、現在の日本政府の姿なのです(p144)
・90年代にどんどん増えた歳出は、小泉時代に入ると横ばいになり、税収もバブル崩壊後初めて持続的な上昇傾向に転じています。公社債発行額も横ばいになります。(p164)