「サムスン式 仕事の流儀 5年で一流社員になる」(ムン・ヒョンジン著) 

 今や韓国を代表する企業から、日本の家電メーカーを圧倒し、世界で認められるブランドへと成長したサムスン。グループの売上高は、韓国のGDPの22%以上を占める。日本で、サムスン製の薄型テレビを目にすることはほとんどありませんが、スマホの「GALAXY」シリーズなどで知られている。サムスングループの元社員、ムン・ヒンジンさんが語るサムスン流仕事術。ヒンジンさんは、サムスングループの中でも仕事の過酷さにおいて1、2を争うサムスンSDI(薄型パネルや電池製造)で、部長クラスに相当するグループ長として働いていた方である。「5年間」で身につける仕事のやり方を自身のエピソードを交えながら解説。ところで、なぜ、「入社5年」なのか?それは、最も多く成果が出せる時期が入社5年目だから。5年目にもなると、社長の立場から組織を見渡せるようになり、リーダーシップを身につけ、その後に活かす人脈がつくられるから。また、正味の仕事に専念できる時間で考えると、「1万時間の法則」にちょうど該当するのもこの5年目とのこと。ヒンジンさんが、ワイシャツの一番上のボタンを外して働いていたときに、常務から厳しく指導された話しなど、最近の日本のビジネス書では、なかなか目にする機会のないエピソード。こういった日本では忘れられている泥臭いエピソードを読むと、日本の家電メーカーがサムスンの後塵を拝した原因は、グローバル展開が遅れたことや、戦略にあるのではなく、日本のビジネスパーソンが失ったガムシャラさにあるように思える。

おとなり日記 レスタのひとりごと 2012-04-19 「サムスン式仕事の流儀」を読む>から
 サムスングループの社員数は30万人を超えるらしいですね。それだけいれば、優秀な社員からそうでもない社員、どうしようもない社員など、色々な人材がいるに違いありません。だから、この本に書かれていることを全社員がやっているわけないはずなんだけれど、今のサムスンの勢いを見ていると、これがサムスンの強さの源泉!?と信じてしまいそうになります。
 この本では、元サムソンの管理職だったムン氏が新入社員が入社5年で一流のビジネスマンになるために、一年ごとに何を習得し、何を心がけるべきか、具体的なスキルとともに紹介しています。ただ、日本のサラリーマンの自分にとっては、信じ難いような記述もありました。例えば、1年目で稟議書の作成方法習得、とか2年目で社長、役員への報告資料作成スキル習得とか書いてあるんだけども、さすがにホンチョいや、本当?って思いますよね。日本の同じ規模の会社だったらペーペーもいいところで、せいぜいプロジェクト内での作業報告書を書くぐらいと思います。これだけの超大企業でそれだけの権限が若手にも与えられるのが本当ならば、驚くべきことでしょう。もし、本当だったら、これが日本の企業との人材育成の大きな差だと思うのですが、実際どうなんでしょうか・・・
 色々と日韓の文化の背景の違いはあると違うんですが、同じアジアの人間として、欧米のビジネス書よりは一会社員としてのリアリティみたいなものは感じることができました。例えば、「ワイシャツの一番上のボタンをはずすな」とか、「接待と手土産」の話とか、「父親が死ぬ寸前でも仕事にいく」とか。やっぱり同じ(ような?)アジアの血が流れてるんだなあと感じました。(中略)
 さて、話を戻すと、「会議の後処理」の話とか、「出張報告書の期限」の話とか、改めてうんうんなるほどと言えるエピソードが色々ありました。「上司に合わせた努力が必要」とか、確かにそういうことなんだと改めて思います。デキるビジネスマンならやっていてもおかしくない話ばかりだし、そういうビジネスマンを目指している人(アジア人であること)ならば、読んでみる価値は十分あると思いますよ。(中略)一番の理由はやはり、「日本に負けたくない!」っていう韓国人の根底にある意識がビジネスの世界でも働いているんだろうなあと思いますけどね。