増税ではなく、産業政策を。

世界中の経済が停滞している。欧州の問題も長期化する可能性が高い。米国景気も減速している。新興国も欧米の直接投資に頼っている部分が大きいから、先進国の景気後退がすぐに反映される。インド国債は米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズが格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。中国も欧州景気の悪化に伴い、経済が落ちかけている。そのような中で、日本にも景気減速の波がやってくる可能性は高い。こういう時こそ、政府がしっかりと方針を定めて対策を打っていかねばならない。政局を繰り返してやっている場合ではない。この見通しができない政治だから、自民であれ、民主であれ、官僚任せで消費税増税の議論展開がされるのであろう。世界が減速する中で、日本は独自の産業政策を出して「世界経済の牽引役になってやろう」という気概を持たないといけない。昔は、社会学エズラ・ヴォーゲルの著書にあったように「ジャパン・アズ・ナンバーワン」だった。あまりに日本の家電製品が米国の市場を席巻していたために、米国議員が議会の前で日本製のカセットレコーダーを叩き割るというパフォーマンスをした。
 このように、再び日本の輸出産業を強くすることが必要。そのためには、この円高は厳しい逆風となるから、政府は積極的に円高対策を繰り出すことが必要。政権は今、数合わせが最優先であり、それどころじゃない。増税だけでは長期的には何も解決しない。ただ、財政赤字の増え幅が減るというだけ。経済を伸ばさない限り、多くの問題は、根本的には解決しなし。政府主導で産業政策を行う必要がある。