「山のあなた」

◆これはカール・ブッセの詩でるが、当時の落語家三遊亭歌奴三遊亭円歌http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20130110)が創作落語「授業中」でこれを題材にして笑いを取っていたことを思い出す。たまたま今日生誕の上田敏を調べていた中でわかったことであるが、、、、。さまざまなつながりが人にはあるものである。同時代でなくても人にはつながりがあることも知らされる。偉人のつながりも新たな発見になるかもしれない。

<今日の出来事>
打撃の神様と呼ばれ、9年連続日本一を達成した元巨人元監督 川上哲治氏(93)死去

◆現役時代は「打撃の神様」と称され、引退後は巨人軍の監督として前人未到日本シリーズ9連覇を達成した名指導者である、川上哲治さんは、生前雑誌『致知』の中で、「強い指導者の条件」を語っていた。(抜粋)
 ●「熱心に集中して、賭けていますと、運というか、幸運というか、そういうものがプラスアルファが引き出せる」
 ・川上さんは後姿をみて部下がついてくるようでなければだめだと、おっしゃってますね。後姿で、指導するようになる、それがリーダーの最高の姿だ、  と。
  →これは私の禅の師匠である梶浦逸外老師が、私が監督になったときにはなむけの言葉としてくださったんです。「あんたは、正力さんに信頼されて
  巨人軍の監督を命ぜられたのだから、一生懸命やらなければいかん。それがためには、後姿で率いるような監督になんなさいよ、面と向かって率いると  いうだけでは絶対、大きな働きはできませんよ」と。
 ・後姿で率いるというのは、何もいわなくても部下はリーダーの気持ちを知ってついてくるということでしょうかね。
  →そうですね。ただ、何もいわんというわけにはいきません。こうやれ、こうすべきだということは教えていくし、また辛いときに辛いことを要求しな  がらやらせていくこともリーダーとしては大切です。しかし、それだけではうまくいかないと思うんです。やはり、お手本を示すといいますか、監督、  リーダーが自分の仕事を通じて自分の要求していることを自然にわからせるように持っていくことが大事です。指導する立場にいるものは、他人を指導  できるだけの人間になるべく、自分自身を鍛えていかないとね。
 ・やはり陣頭指揮といいますかね、自分が立派にならなければ人はついてこないですね。 能力の点、体力の点、あらゆる点でね。
  →まったくです。部下の率い方には、教え、しつける面と、自分が手本を示していく面とがあり、これを併用して率いてこそいい組織、勝ち抜くことの  できる組織づくりができるんだと思います。で、そのいずれの場合にも、一番大事なのは誠意といいますか、真心といいますか、これを土台にしながら  やっていくということでしょうね。これは集団では大切なことですよ。
 ・結局、野球も力の強いやつが勝つのだと思いますが、ああいう野球の集団の力の強さというのは、どうですか。王とか長島みたいなのが 一人か二人い  るのがいいのか、集団が全員やる気になって一致団結するほうが強いのか……
  →これはもう一人二人の選手がおったってだめで、そういう人たちの力を当てにしているようでは決して大きな成績はでないと思いますね。やっぱり、  集団の力というのは、みんながやろうとする目標達成のために、本当に一心になってやるときにでます。それで、これが一心になってやっているという  と、もう一つの力もひき出せると思います。例えば、幸運という運を呼び込む、プラスアルファということです。神仏の加護といってもいいと思います  けどね(笑)。熱心に集中して、賭けていますと、なにかしらん、そういう運というか、幸運というか、神仏の加護というか、そういうものがプラスアル  ファとして引き出せるという気がします。

(10月30日生まれの偉人)
◆上田 敏(うえだ びん、1874年(明治7年)10月30日 - 1916年(大正5年)7月9日)は、文学者、評論家、翻訳家。多くの外国語に通じて名訳を残した。号で、「上田柳村」とも呼ばれる。「山のあなたの空遠く 『幸』(さひはひ)住むと人の言ふ」(カール・ブッセの「山のあなた」)や、「秋の日の ヴィオロンの ためいきの 身にしみて ひたぶるに うら悲し」(ポール・ヴェルレーヌの「落葉」、一般には「秋の歌」)などの訳詞は、今なお、広く知られている。
 ・山のあなたの空遠く 「幸(さいはひ)」住むと人のいふ。
  噫(ああ)、われひとゝ尋(と)めゆきて、
  涙さしぐみ、かへりきぬ。
   山のあなたになほ遠く
  「幸(さいはひ)」住むと人のいふ。
   (カール・ブッセの詩を、『海潮音』所収「山のあなた」として翻訳したもの。)
 ●「山のあなた
     カール・ブッセ
     上田敏訳 『海潮音』より
 山のあなたの空遠く

 「幸さいはひ」住むと人のいふ。

 噫ああ、われひとと尋とめゆきて、

 涙さしぐみ、かへりきぬ。

 山のあなたになほ遠く

 「幸さいはひ」住むと人のいふ。


 Über den Bergen
                Karl Busse

 Über den Bergen weit zu wandern      

 Sagen die Leute, wohnt das Glück.      

 Ach, und ich ging im Schwarme der andern, 

 kam mit verweinten Augen zurück.

 Über den Bergen weti weti drüben,

 Sagen die Leute, wohnt das Glück.

<本の紹介>
ポール・ヴェルレーヌ http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/448083592X/hatena-ud-22/ref=nosim

<昨年の今日>http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20121030