今年の天気についてお天気博士はどう語るのであろうか。

◆今日はお天気博士と呼ばれた藤原咲平さん生誕の日である。10月に台風が多かった今年の天気をお天気博士はどう解説するのであろうか。

◆『新・尊徳伝―二宮尊徳に学ぶ心を高め、運命を伸ばす生き方』(講師:中桐万里子)より
 ちょうど田植えが終わった初夏でありました。農民が、重労働が終わったと一息ついていたある日、金次郎は大変な形相で村人全員にこう言ったのです。「今年植えた米の苗、全部抜いてほしい」彼はその日、ナスの漬け物を食べて驚愕したのです。「秋ナスの味がする」と。暦ではこれから夏が来るというのが常識であります。ところが金次郎はいまが秋で、これから冬が来る、つまり冷夏がやってくることをナスは伝えているのではないかと判断したのです。そして寒さに弱い米から、稗などの寒さに強い作物への植え替えを指導しました。この年から、日本全国が地獄絵図になったと言われる「天保の大飢饉」がやってきたのです。
 しかし、金次郎がいた村では、一人の餓死者も出しませんでした。植え替えの結果、作物が実ったのです。金次郎はこの事例を通して、どんな環境の中でも必ず豊かさを手にして生活できると実証してみせたわけです。それは金次郎にしかできないのではと思うかもしれません。けれどもしそうであったなら、
六百もの村が再興することはなかったのです。彼は村人一人ひとりが実践できるよう、水車を使ってその方法を説明していきます。水車と川の関係では、全然違う個性のもの同士が生かし合い、さらにエネルギーが生み出されている。金次郎はこれこそ理想的な現実の姿だと説きました。皆さん、自分自身を水、直面している現実を川だと思ってください。そこで重要なのは、どんな水車も思い切って川に飛び込むところから回り始めるということです。何が流れてこようとも、頭から突っ込むことが始まりだというんです。しかし、そのままでは水車は流されてしまいます。水車にとってもう一つ大切なことは、その場に踏みとどまり川とは逆向きに動くことであるわけです。つまり彼は、私たちは現実に半分従い、半分逆らって動けばいいと言うのです。
 彼が言う「従う」とは相手を知ること、さらには、どんな現実や相手でも、覚悟を決めて受け入れることでありました。そしてその上で大切なのは逆らうこと。つまり現実に対して対策を立て、実践することだというのです。先ほどのナスの事例は、まさにこの通りでありました。彼は冷夏をなくしたわけではありません。ここは米のための土地だといったこだわりを捨て、冷夏を生かす方法を考えたことで知恵が生まれたことが、彼にとって最も大切なことでし。そして彼が現実を知ることを重んじた背景には、どんな現実も実りを生む力を持っているという信念があったのです。私たちは困難にぶつかった時「自分って無力だなぁ」と思ってしまいがちです。けれど金次郎は、一人として無力な人間はいない、私たちが壁を越えられないのは、無力なのではなく「無知」だからだと言い切ります。彼は、実りを生み出すのは能力ではなく、従い、逆らうことができるかどうかだと考えていたのです。
二宮尊徳とは http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20130904
 二宮尊徳記念館 http://www.city.odawara.kanagawa.jp/public-i/facilities/sontoku/

(10月29日生まれの偉人)
◆藤原 咲平(ふじわら さくへい、1884年10月29日 - 1950年9月22日)は、長野県諏訪市生まれの気象学者。
 1909年7月に東京帝国大学理論物理学科を卒業し、中央気象台(現・気象庁)に入って技術見習員講師となる。岡田武松課長(http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20130817)のもとで天気予報に従事する一方、田丸卓郎、佐野静雄らの指導を受ける。1910年には積雪中の熱伝導の問題を研究。また、水産講習所にも出講し、1911年には技手となる。統計課では、「雷雨報告」第一号や「雨量年報」の編集に携わるとともに、風向観測法の研究も行う。1918年には技師に昇進し、大阪臨時出張所長、1920年に東京に戻り天気予報に専心。
 1922年3月、中央気象台測候技術官養成所(現・気象大学校)の主事となり、翌1923年からは岡田台長を補佐。1926年1月には寺田寅彦の後任として東京大学地震研究所員。1941年7月30日、岡田の後任として第5代中央気象台長に就任。戦時中は軍の嘱託で風船爆弾の研究にも携わり、そのことが原因で戦後公職追放となった。
日本の地球物理学界の草分け。お天気博士と呼ばれ、気象学・地震学の全体を通貫した渦動論は世界的に有名。
諏訪市図書館「藤原咲平記念室」http://www.city.suwa.lg.jp/www/info/detail.jsp?id=655

<本の紹介>
・「風船爆弾」秘話 http://d.hatena.ne.jp/asin/476981335X

<昨年の今日>http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20121029