「舞妓の言葉」(西尾久美子著)にみる言葉の力。「特定秘密保護法案 大規模な反対集会」。「夢と魔法の王国のつくり方 知られざるディズニーの神髄」そして日本型グローバル人材の条件

◆京都の花街。そこは、350年の伝統が育んだ、キャリアを支える「励み、癒し、気づき」の言葉がある。京都女子大学の西尾久美子教授は経営学、そして人材教育、キャリア形成という学術的な観点から、京都花街の舞妓・芸妓社会のシステムを解明しながら、その真髄を表す「言葉」をピックアップし、読む者に、より心に響く実践的な書にまとめられている。
 ・まだ舞妓になる前、仕込さんのころの右も左もわからいないときのコミュニケーション方法を指示する言葉、それは、「電信棒見ても、おたのもおうします。」
 ・見習いさんのころに置屋のお母さんがかける言葉、それは、「かわいがってもらいよしや」
 ・出たての舞妓さんの周りへの指導に対する感謝の気持ちを示す言葉、それは、「言うてくれはる、見ててくれはる」
 ・お紅をさしたころの心構えを表す言葉、それは、「そのままほっとくのが恥かしいことや」
 ・髷替えのころ後輩の指導に当たり始めた時の姿勢を示す言葉、それは、「姉さんが言わはる前に、うちが気ぃつかんと」
 ・舞妓の社長になったころの決意の言葉、それは、「一歩上がると、見えへんことがわかるようになるんどす」
 ・舞妓から芸妓へとなる衿替えの心境を表す言葉、それは、「一生、一人前にはなれへんのどす」
 この本から、15歳から故郷を離れ、京都の花街で、わずか5年余りでプロフェッショナルになる彼女らの秘密ともいえる、言葉の力を垣間見ることができる。そしてさらに、言葉の力を支える人材育成システムがこの本から掴むことができる。

◆「特定秘密保護法案 大規模な反対集会」(2013年11月21日放送 21:00 - 22:00 NHK総合ニュースウオッチ9」より)
 東京・日比谷公園では市民グループなどの呼びかけで、特定秘密保護法案の大規模な反対集会が開かれた。主催者代表の海渡雄一弁護士は法案の完全撤廃を掲げ、参加者らは国会に向けてデモ行進した。今日の参院の特別委員会では参考人として出席した西山太吉氏は、昭和46年に沖縄返還交渉を取材するも、機密文書の入手が違法だとして有罪判決を受けた。その後も日本は返還を巡る密約の存在を否定したが、アメリカでは存在が裏付けられている。
 特定秘密保護法を巡って、西山太吉氏は「成立に向けて国民に真実を伝え、共感を得ることが大切だ」と述べた。また落合洋司氏は慎重な議論、審議が必要だと述べたが、与党は来週にも法案を衆院に通過させたいとしている。日本維新の会は修正協議で合意するも、明日意見集約を図るとしている。一方で民主党の松原国対委員長は「巨大与党になびく方向にある気がしてならない」と延べ、修正協議では特定秘密の指定が30年を超える場合は第三者機関の承認を得ることの義務付けを訴えた。だがまとまらず、引き続き協議することになった。

◆「夢と魔法の王国のつくり方 知られざるディズニーの神髄」(2013年11月21日放送 22:00 - 22:54 テレビ東京カンブリア宮殿 」より)
 小池栄子アメリカ・ロサンゼルスにあるウォルト・ディズニー・スタジオを訪れた。本社前にはウォルト・ディズニー銅像が建てられていて、本社隣のウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオでは新作映画「アナと雪の女王」の製作が行われている。日本人アニメーターのロング実由さんは5分間の動画を担当していている。アナハイムにあるディズニーランドは1955年に開業し、風景はほとんど変わっていないという。また「マッターホルンボブスレー」は創業当時のアトラクションだが、小池栄子も興奮するほど面白い。アトラクションを作るディズニーの黒子集団はイマジニアリングと呼ばれ、世界で1500人いる。2012年開業のカーズランドにある「ラジエーター・スプリングス・レーサー」は映画 カーズの世界を忠実に再現している。一つのアトラクションを作るのに莫大な資金を要するが、イマジニアは最先端の技術を駆使して最高のものを作るという。創業者のウォルト・ディズニーは「シリー・シンフォニー 花と木」といった世界初のカラーアニメーションに取組み、アニメに奥行きのある遠近感を生み出す機器も考案した。ウォルト・ディズニーは1937年に世界初の長編アニメ「白雪姫」を手がけ、アニメの世界を現実に再現したディズニーランドを建設。そして現在、コンピュータ制御された噴水による水のスクリーンにディズニーの世界観が展開する「ワールド・オブ・カラー」が絶賛公開されている。閉園後の深夜にはイマジニアと呼ばれる集団がiPadを駆使して、冬休みに向けた演出の調整を行っていた。
 ウォルト・ディズニー・カンパニーのロバート・アイガーCEOと村上龍が対談。アイガーCEOはディズニーによって、世界は素晴らしい場所だと教えてくれたとコメント。また村上龍は高品質のコンテンツを作り出せることとビジネスはバランスが難しいと述べると、アイガー氏は株主、世界中の人々に素晴らしいものを提供する大きな責任を背負う中、最新テクノロジーのお陰で我々に様々な新しいストーリーを作るための様々な手段を実現できると述べた。
 ディズニーは昨年、スター・ウォーズを生み出したルーカス・フィルムを傘下に収めた。そしてD23 Expo Japan2013ではスター・ウォーズの演出が披露され、現在は新作映画が急ピッチで進められている。ディズニーはルーカス・フィルムの高い技術力とスターウォーズに4000億円を投じた。ディズニーは4年前にマーベル・コミックを4000億円で買収し、アイアンマン、スパイダーマンなど知名度の高いヒーローを次々に映画化していった。そして現在、アメリカで高視聴率をたたき出しているドラマ「Agents of S.H.I.E.L.D」の製作が行われている。撮影には巨額の制作予算が投じられていて、放送1回分で約2億円。アメリカの3大テレビネットワーク ABCは1996年にディズニーが買収していて、ディズニーグループのおよそ4割の売り上げはテレビ放送が占めている。これまでに「デスパレートな妻たち」、「LOST」などが世界に売りだされていて、アン・スウィーニー社長は最新技術にこだわり、老若男女楽しませつつグローバルな展開を目指すウォルト・ディズニーの理念が今も息づいているとコメント。
 ロバート・アイガーCEOは買収したルーカス・フィルム、マーベル・コミックは魅力的な物語、キャラクターなどの共通点があると述べた。アイガー氏は放送前に誰も乗り気でなかった「ツイン・ピークス」を高く評価し、視聴者やメディアに衝撃を与えるためにリスクを取る経験は経営者として進歩する上で役立ったと述べた。そして高い品質のものを世界に届けることで儲けは後からついてくるが、メリットの前にリスクを恐れてはいけないと述べた。ディズニー傘下のピクサー・アニメーション・スタジオはモンスターズ・インクなどフルCGで大ヒットをとばしてきた。広々としたスタジオ周辺にはスポーツ施設があり、子どもを同伴することが許されている。アートディレクターの堤大介さんは「作り手にとって、信じられないくらいサポートをしてくれる会社」と述べた。ウォルト・ディズニー・ジャパンでは日本限定のアニメ作品の制作会議が行われていた。ディズニーのCEOは各国に合わせた販売戦略を打ち出していて、スティッチのグッズ販売が好調だったことから日本オリジナルアニメ「スティッチ!」を制作するに至ったという。ロバート・アイガーCEOは「ディズニーキャラクター全てが世界中で受け入れられているわけではない。地域に眠るクリエイティビティを活用し、アーティストに自由を与えることで独創性を発揮する」とコメント。アイガー氏は製作過程に関わることでアーティストに客観性を持たせたいとしている。また変化に対して、これまでの成功体験に捕われないようにしている。ロバート・アイガーCEOは「創業者のウォルト・ディズニーに対して、ピクサー、マーベル、ルーカス・フィルムを所有していると言い、現在のディズニーを見てもらいたい」と述べた。
 収録を終えた村上龍はロバート・アイガー氏について、アートに造形が深く、多くの決断を創造に基づいて下すという言葉は印象的。ディズニーには人々だけでなく自分自身の幸福になる哲学があり、それを支えているのが創造性と感じた」と評した。

◆「日本型グローバル人材の条件}とは久恒啓一さんは語る。
 グローバル人材とは、多国籍人材で取り組むプロジェクトを適切にマネジメントし成功に導く人材である。そして、「日本型」グローバル人材の条件は、(1)アジア・ユーラシアダイナミズムに関する深い理解、(2)図解コミュニケーションという日本独自の国際言語の駆使、そして(3)日本人の生き方への再評価だ。これを日本型のグローバル人材像の一つの答えとして提案したい。
 グローバリズムとはアメリカ流と同義であったが、陸と海のネットワークで発展している中国、ASEAN諸国の勃興、、。こういったアジア・ユーラシアのダイナミックな動きを実感し、深く理解することが必要だ。
 日本企業の人事担当者は常に「我社には考える社員がいない」と嘆いている。その元凶は、「文章と箇条書き」というスタイルにある。ごまかしのきく文章への盲目的信仰と、各項目の重要度や各項目間の関係を考えない箇条書きの横行。これらの欠点を解消し、全体の構造と部分同士の関係を明らかにし、企画力・構想力を刺激するのが図解だ。図解を構成するキーワードを英語や他の言語に翻訳さえすれば相手には伝わる。指導しているJICA(国際協力機構)では図解を用いて自らのミッションを明らかにし、海外の赴任地で成果を挙げている。
 そして、日本人の築いてきた生き方を再認識することである。この10年ほど600館近い全国の人物記念館で日本の偉人の人生に向き合ってきた。この過程で本物の人物の条件がわかった。「仰ぎ見る師匠の存在」、「敵との切磋、友との琢磨」、「持続する志」、「怒涛の仕事量」、「修養・鍛錬・研鑽」、「飛翔する構想力」「日本への回帰」の7つだ。日本人の生き方と勤勉の哲学は海外に輸出できる。

(11月21日生まれの偉人)
◆服部 金太郎(はっとり きんたろう、1860年11月21日(万延元年10月9日) - 1934年(昭和9年)3月1日)は日本の実業家。服部時計店(現セイコーホールディングスhttp://www.seiko.co.jp/)の創業者。輸入時計の販売店を開業し、のちに掛時計・腕時計の製造・販売へと事業を拡大して世界のセイコーの礎を築き、「日本の時計王」とも呼ばれる。
◆蝋山 政道(ろうやま まさみち、1895年11月21日 - 1980年5月15日)は、日本の政治学者・行政学者、政治家、お茶の水女子大学名誉教授。民主社会主義の提唱者であり、行政学研究の先駆的存在である。

<昨年の今日>http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20121121