2020年の東京オリンピック招致を成功させた戦略的コミュニケーションアドバイザーによる「プレゼンの極意」とは。そしてプレゼンの本質とは。

◆『世界を動かすプレゼン力』(ニック・バーリー著 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140816309)は、2020年の東京オリンピック招致を成功させた戦略的コミュニケーションアドバイザー、ニック・バーリー氏による、「プレゼンの極意」。著者は、もともとジャーナリストであり、2012年ロンドン・オリンピック招致委員会に参画したことから、五輪招致の戦略コンサルタントに転身。以降、ロンドン、リオ、東京と、3大会連続で勝利し続けているという、まさに「五輪招致の請負人」です。東京オリンピック招致では、関係者に入念なインタビュー、調査を行い、プレゼンターのスピーチ原稿を作成。IOC委員の心をつかみ、見事、五輪招致に成功しました。本書には、そんなスピーチのプロフェッショナルである著者が、プレゼンで成功するための「7つの戦略」を説いた一冊である。今回の東京五輪招致の最終プレゼンを徹底分析し、どんなストーリー構成になっているのか、なぜそのプレゼンターが選ばれたのか、どうやって聴衆の心を掴んだのか、詳しく解説が付され、さらに氏のプレゼンの極意が体系化されている。
 その中でも、緻密な戦略・戦術が書き込まれてい。その戦術の部分をみると、代表的な例だが、
・個人のストーリーを、より大きなストーリーに結びつける
・オーディエンスに対して自然にへりくだる
・ベルベットの手袋(間接的にライバルを攻撃する)
・自分の土俵に持ち込む質問を投げかける
・3のパワー
・出てくる単語の内容に合わせた感情表現
・自国の言葉をキーワードに使い、エキゾチックなフレーバーを加味する
・懸念材料について話す時はsomeを使う(英語の場合)
<ポイント>
●間接的にライバルを攻撃する
●自分の土俵に持ち込む質問を投げかける
●スピーチの世界で言われる「パワー・オブ・スリー」の法則を使っている
●出てくる単語の内容に合わせた感情表現を心がけることです。たとえば「セレブレーション」という言葉を使うときには、お祝いを想起させるような雰囲気を出さないと説得力がありません。
●竹田理事長のスピーチを聞くと、声のボリューム、トーン、話すペースまで、すべて、何度かギアチェンジがあることがおわかりでしょう。これは、オーディエンスの注意を逸らさないようにするためのトリックです。淡々と話したあとに、急にペースを変えたり、言葉を区切ったりすると効果があります
●日本をアジア大陸の玄関に据えることで、アジアの人々の若さに関心が移り、高齢化のイメージを払拭する効果が生まれます
●相手の懸念点に具体的数字を挙げて応える
●相手の言語を話すことは、好印象につながる
●「o mo te na shi」はミステリアスな存在としてスピーチの中に残ります。「ホスピタリティ」という言葉を使うより、日本語のまま使ったほうが、どこか日本という異文化にミステリアスな要素を漂わせて、深みを持たせ、東京の文化はちょっと違うという印象を与えることができます。リオデジャネイロの招致キャンペーンでも、「リオの住民」という意味の「カリオカ」という言葉を使いました。「リオの住民」と言うよりも、「カリオカ」と言われたほうが、よっぽどエキゾチックで、興味をそそられます
ミシュランの星がいちばん多い都市、と言ったのには理由があります。投票権を持つIOCの委員たちはグルメなのです。これは「自分のオーディエンスを熟知しろ」というプレゼンの鉄則を活かした発言だった
●何か懸念材料があって、それについて話さなければならない事態になったときは、People(人々)、Many(たくさんの人たち)、Everyone(みなさん)、You(あなたがた)を使うより、Someを使うことをお勧めします。「心配している方もいるかもしれませんね」と、ニュートラルなトーンで、深刻さを出さずに言うことができるからです
●本当の問題は、どれだけの収入が見込めるのか、五輪を開催することで、どうやって「五輪」というプロダクトを売ってくれるのか、という点です
●オーディエンスは、自分たちのために用意されたプレゼンに反応します

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◆『これだけ! プレゼンの本質』(野村尚義著)から
 アマゾンの内容紹介から。『プレゼンテーションでは、「話し方」や「資料の作り方」のような〈テクニック〉よりもはるかに大事なことがあります。それが〈戦略〉。目の前の相手に求められ、選ばれるための戦略が明確でなければ、いかにテクニックに長けていたところで相手に選ばれることはありません。相手に選ばれる思考法、プレゼンの本質がわかる一冊です。」
<ポイント>
●受け手のフォーカスを受け手自身に向ける
 プレゼンでは、受け手の意識が自分自身のことにフォーカスし、自分にとって価値のある選択をすることに夢中になるような状態をつくらなければならない。「話がうまいですね」という感想が出るのは、受け手のフォーカスが受け手自身でなくあなたに向いているということです。これではいけませんね。
 では、プレゼン後の理想的な感想とは何でしょうか?「あなたのおっしゃるとおりにするのが、一番の選択だと気付かされました」の一言です。
●「価値の三次元分析法」で視点をコントロールする
 一般論で言うと、機能レべルのプレゼンだけでは受け手には選んでもらいにくい。最低でもその先の効用レべルが求められます。なぜならば、機能レべルはあくまで商品アピールであり、受け手が得られるものに意識を向けられていないからです。一方、効用レべルのプレゼンでは、受け手が得られるものを中心に据え、受け手のメリットに照準を合わせている。そして、さらにその先にあるのが未来レべルのプレゼン。未来に目を向けるということはより遠くを見るということ。視界は広がり、より大きなものを見せることができます。
●ウィッシュに思いを巡らせ、未来を語る
 重要だからこそ、あえて名前をつけます。目の前の人特有のニーズで、かつ未来レべルのニーズを"wish(ウィッシュ)"と呼びます。【受け手のウィッシュに思いを巡らせ、それを叶えるための未来価値を語る】本書最大の私の主張がこれです。これができると、受け手はあなたのプレゼンテーションに抗えなくなる。なぜならば、受け手の頭のなかで、あなたのプレゼン提案と自分が叶えたいウィッシュが繋ぎ合わさるから。あなたのプレゼン提案を受け入れることこそが、自分が叶えたいウィッシュを実現する方法だと思えたならば、その提案を選ばないわけはないのです。
●.ターゲットを絞り込む
 ここで、あなたに質問をします。
Q1 あなたのプレゼンを聞いたほうが良い、ターゲットはどんな人ですか?
Q2 あなたのプレゼンを絶対に、死んでも聞かなけれぱならないのはどんな人ですか?
 Q1のターゲットよりも、Q2のターゲットのほうが絞られたはずです。そして、Q2の答えこそが、あなたの真のターゲット。言い換えれば、Q1の答えはターゲティングとしてまだまだ甘いのです。
●優先順位上位以外は、バッサリ切り捨てる
 プレゼンは「広く浅く」か「狭く深く」しかありません。話題を捨てられず、広く話そうとすれば、ひとつずつの話は浅くならざるを得ない。深く話そうと思うのならば、語る要素を削り、狭く話すことが必須なのです。聴き手に、原稿用紙1枚分しか印象に残せないとしたら、何を話し、何を捨てるか?こう自問することで、「ここのパートは、ものすごく大切だから、じっくりと話す必要があるな」とか「ほかで時間をかけるためには、ここのパートは切り捨てざるを得ないな」などと判断がつくようになっていきます。
●受け手にイメージ化作業を担ってもらう
 たとえば、オリンピック東京招致のプレゼンテーション。フェンシング銀メダリストの太田雄貴選手は言いました。「想像してみてください。東京という都市のまさに中心で生活することを。目覚めれば素晴らしい水辺の景色があることを。すぐ近くの競技会場で競技することを」ありありと、その情景を言葉で説明する必要はなく、それは受け手が想像してくれるのです。それを話し手がいちいち細かく説明しても鬱陶しいだけです。
●受け手が痛みを感じる部分の提案をする
 虫歯が痛くなると歯医者に行きますが、痛くなる前から予防で通う方はぐっと少ない。だから、私たちが受け手のためになる提案をしたとしても、受け手がそこに痛みを感じていなければ、プレゼンに価値を感じて行動してくれる可能性は低くなります。プレゼンの現場で、よく見ます。受け手が痛みを感じていないポイントに対して、むりやり解決策を語っているシーン。しかし、これでは受け手は前のめりになって聞いてはくれません。だから、確認してください。自分は、受け手の痛くもないツボを必死に押してはいないかと。

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◆朝から打ち合わせ。コメント表整理。資料整理。夕方若手社員との懇親会。かなり飲みすぎ。

<昨年の今日>http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20130227/p1