いよいよ3月です。「知の武装」、そして『空から見た大震災〜災害ヘリ・3日間の記録〜』

◆ラストです。まさに、年度末を迎えた。仕事も最後の追い込みである。

◆ 国際外交インテリジェンスの専門家による現在の国際情勢の分析である。テレビで報道される内容との差に愕然。まさに、インテリジェンスのである「知の武装」(手嶋 龍一、佐藤 優著)から。
・まず、中国との尖閣諸島問題である。尖閣諸島については、中国の海洋進出の戦略の一つだが、台湾侵攻のための一手でもある。こうした確信的利益については、中国共産党のブレはありませんね。「尖閣問題とは、台湾有事の一つの変形と考えるべきです。すでに他国が実効支配しているにもかかわらず、中国が 強固に領有権を主張する構図がそっくりだからです。東アジア政局における導火線は、尖閣諸島から台湾にいたる線なんです」(佐藤)(p246)
・TPPについては、自由貿易の推進という視点もあるが、TPP内のブロック形成という面もある。そういう意味では、TPP参加は 日米経済の一体化を目指すとすれば不可避であり、政権として進めなくてはならない課題なのでしょうか。「我々は、このTPPを自由貿易の新たな発展型と捉えがちです。 しかし、TPPは二十一世紀の新たな「帝国」の一つの類型でもあると考えてみる必要がある」(手嶋)(p176)
・最後は、1月17日に中国の拘束から解放された 東洋学園大学の中国人教授、朱建栄さん。朱さんは、テレビなどで中国を擁護する発言をしていたが、それでも拘束される。国内の中国人は震撼しているはず。今、中国国内で何かが起こっている。対日諜報戦で中国軍と国家安全部が動いており、非常に危険な状況と分析している。「朱建栄事件は、いまの日中間で現実になにが起きているかを知る上で、見逃せません。・・中国に従業員を送る際には十分心したほうがいい。公安当局に眼をつけられる潜在的な危険を抱え込むことだと肝に銘じるべきでしょう」(手嶋)(p243)
・「民間のかなり大事な交渉で、自社の社員に英語で折衝をやらせている経営者がいますが、危険極まりないですよね。外交の世界では決してそんなことはしません。外交官は・・・
 非公式な社交の場では英語で会話をしますが、正式な折衝では通訳を使うのが鉄則です(手嶋)(p59)」
・「2013年5月15日には、龍谷大学松島泰勝教授を中心に「琉球民族独立総合研究学会」が創設されました・・・本土の政権がこれまでの惰性で沖縄の米軍基地問題を扱っていれば、 本「韓国との関係改善を優先すべきです。韓国とは、自由や基本的人権など民主主義の価値観を共に分かち合うことができ、また政治指導者も国民の選挙によって選ばれるからで    す・・・安部政権も韓国に対しては、あえて大胆な譲歩をして見せる覚悟があってもいい」(佐藤)(p126)
・「第二次世界大戦が始まると、祖国イギリスを裏切って ドイツのスパイになる怖れがあるというので、英仏海峡に浮かぶマン島潜在的なスパイとされる人々を強制移住させたん ですね・・なんと九万人ですよ(佐藤)(p186)
・「カトリック教会畏るべし。日本では、ンテリジェンス機関としてのカトリック教会には、驚くほど注意が払われていません。しかし、インテリジェンスの世界では、バチカンの存 在にはじつに重いものがあります」(手嶋)(p215)
・「日本版NSCをひとことで言えば、究極の有事に遭遇して、日本が戦争に突き進むのか否かを決める機関といっていいでしょう」(佐藤)(p219)

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◆『空から見た大震災〜災害ヘリ・3日間の記録〜』(2014年3月1日放送 21:15 - 22:05 NHK総合NHKスペシャル」より)
 東日本大震災3月11日から3日間で400基のへりが投入され撮影された映像は膨大な量となった。今回は巨大災害と格闘したヘリの映像であの日の3日間に迫る。2011年3月11日マグニチュード9の地震が発生し3分後には大津波警報が発表された。仙台平野では14分後に最初のヘリコプターが離陸し自衛隊や消防など10基以上が飛び立った。当時ヘリコプターから撮影された仙台空港津波などの映像。仙台平野に押し寄せる第1波の映像。津波到達の直前では海は穏やかに見えたが突然海水が浜辺を登り始めた。仙台市消防航空隊の須田淳さんはどこからが津波かわからなかったと話している。仙台平野に押し寄せる津波は海面の上昇があまりにも緩やかだったため津波は陸に溢れるように到達した。海面の盛り上がりはおよそ12キロにわたっていたと推定された。仙台平野の津波は到達から9分後には海岸から2キロ内陸まで押し寄せていた。九州工業大学の幸左賢二教授は津波の挙動の解析を行っている。自分のいるところの標高がどのくらいかなどをトレーニングしておくだけで対処方が違うと話している。たった1メートルの標高差が津波の流れを変えて浸水が遅れたエリアを生んでいた。
 津波が引き始めたころ三陸沿岸に向かった撮影機はさらなる驚異を目の当たりにしていた。各地の市街地で津波火災が同時多発的に起き被災地全体で159カ所にのぼっていた。最も焼失面積が大きかったのは岩手県山田町だった。津波火災の被害を拡大させた原因が空からの映像で明らかになってきた。プロパンガスボンベなど瓦礫中の大量の可燃物が爆発し火が燃え広がっていた。阪神淡路大震災などこれまでの地震火災では広い道路が延焼を防ぐ役割を果たしていた。東日本大震災での岩手県山田町では被害を拡大させる導火線となっていた。現場には5トンの海水が撒かれて火はようやく落ち着いた。
 地震発生から一夜が明けた3月12日、被害の把握に追われていたヘリコプターが救出活動を本格的に開始した。航空自衛隊松島基地などが水没し機能不全に陥り限られた戦力で救出活動を強いられることになった。ヘリによる救出を指揮していた宮城県防災航空隊の菅原道彦さんは捜索が遅れていた地域にヘリを派遣したかったが人員や機材が限られていた。全国からかけつけたヘリは200基を超えた。災害対策本部の菅原道彦さんはすぐにヘリを向かわせることができなかった。救助要請が殺到し一向に減らず同じ場所から重複して依頼が届くことも多かった。目の前に積み上がった救助要請に一つ一つ対処するしかなかった。現在ではヘリが目的地を発見しやすいように建物の屋上に名称を描く対空表示が全国に広がりつつある。

<昨年の今日>http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20130301/p1