『期待バブル崩壊』(野口悠紀雄著)にみる『アベノミクスの今後は』、増税で景気回復どころか、さらに、後退へ。さらなる公共投資?

◆『期待バブル崩壊』(野口悠紀雄著)にみる
 株価が一進一退するなか、今後、アベノミクスがどういう方向に進むのか、気になっている方は多いのではないか。『期待バブル崩壊』というタイトルが示しているように、アベノミクスのこれまでを、「かりそめの経済効果」「空回り」と断じ、資産価格を上昇させたが実物経済には影響を与えていない事実を厳しく指摘。
 なかでも本質的な指摘と感じたのは、<輸出立国の基本的な条件は失われている>というお話。<今後の日本経済成長の主役は、製造業ではなく、非製造業である> という主張は、まさに今後、政策転換するにあたって、本質的な部分。今後の経済の見通しに関しても、本質的な変革の必要性を感じさせられる内容。例えば、<実質住宅投資は二桁減の可能性>
<一四年度の実質経済成長率はマイナスになるはず>にみられるように。
・資産価格の重要な特徴は、「期待」によって強く影響されることだ。将来株価が上がると多くの人が考えれば、買いが増えるので、実際に株価が上がる。つまり、自己実現的だ。期待は、安倍晋三内閣が「大胆な金融緩和を行なう」と宣言したことで高まった。金融緩和が実際に効果を発揮したからではない。
・経済には、実物の側面と資産価格の側面がある。前者は、生産、消費、投資、そして輸出入などだ。後者は金利、株価、為替レートなどである。
・利益増は、トヨタが自動車技術上の新しい革新を行なったためにもたらされたものではない。その大部分は、為替レートが円安になったことによるものだ。
・もし、日本経済にバブルの利用しか残されていないのだとすれば、地道な努力は放棄されるだろう。その結果、人材の質が劣化する。これこそが、バブルのもたらす最大の弊害だ。
・一四年度における公共投資は、前年度比マイナスになる。したがって、これ以外の条件が一三年七〜九月期から変わらないとすれば、一三年七〜九月期も、設備投資が増えたのは建設業。
・DIはGDP成長率とあまり相関していない・
・ソフトウエアを含み土地投資額を除く設備投資額を見ると、大企業ではいずれの産業も下方修正だ。全規模合計では、非製造業が上方修正、製造業と全産業が下方修正になっている。
・日本企業の自己資本比率は上昇している。このことは、つぎの二つの結果をもたらす。第一に、仮に企業が設備投資を増加させるにしても、金融機関からの借入に頼る必要がない。第二に、仮に金融緩和政策によって実質金利が低下したとしても、投資が増えない可能性がある。
貿易赤字拡大は、経常収支の黒字を縮小させる。一四年二月に発表された国際収支状況速報では、一三年の経常収支は三兆三〇六一億円の黒字だ。しかし、前年比では三一・五%の減となっている。
・円安にもかかわらず、現地通貨建ての輸出価格が低下しない。
・日本の輸出数量が増加した原因は、輸入国側の景気上昇。
・円安がさらに進むのでない限り、消費者物価をさらに押し上げることはない。
・いまや、規模の面で、実質民間最終消費の一項目である娯楽・レジャー・文化が、設備投資総額と同程度のウエイトを持つに至っている。

◆4月1日の消費税引き上げまで1カ月となった。1997年は2%だった上げ幅も、今回は3%。それだけ影響も大きくなると予想される。生活が苦しくなるのは間違いないだろう。
 GDP成長率への打撃も大きい。巷には、4―6月期の落ち込みを見越した発言が目立つ。7月以降の戻りは、多くの経済専門家が予想している。輸出ではなく、消費が回復してくるとの分析も少なくない。住宅投資や個人消費は1―3月期で目いっぱいとなるのは間違いない。その後も上向くことはなく、底を這うような動きになるだろう。住宅、消費の駆け込み需要は、団塊の世代が中心だ。その多くがリタイア組で、増税前に住み替えや建て替えを済ませたのである。将来的に買うことになりそうな高額な耐久消費財も、「いまのうちに」と購入した。恐らく大きな買い物は今回で終わりだ。こうなると、住宅や消費が盛り返す公算は極めて低いということになる。企業の海外進出は東南アジアを中心に顕著である。まさに、輸出を軸にした回復も難しい。製品を持ち出してもバンバン買ってくれるような地域はないし、仮にそんな場所があったとしても、日本では国内生産がどんどん減っている。日本企業は現地生産を活発化していて、国内から外に出す量は下降線だ。市場と生産の両面から見て、輸出の拡大は厳しい。
 住宅、消費、輸出は総崩れである。そのほかにも、7―9月期からプラス成長に戻すエンジン役は見当たらない。これでは「回復」と表現できるような状況にならないし、ムリにでもGDPを上向かせるには、公共投資を膨らますしかないであろう。そうなれば、赤字国債を大量に発行し続けることになる。4月以降は財政も家計も厳しい。さらなる増税で、日本の財政健全化は遅れ、逆に財政破綻につながる可能性が大である。(http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20131001/p1

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◆午前中、販促キャーペン会場を視察。午後から、近隣の営業所長会議。本社からは来ず、営業所長同士で自らの営業所の状況を分析、報告し、今後の参考とする。久しぶりの所長同士の懇親会も行う。少し、飲んでしまったが、帰宅後、原稿作成。なんとか来週には完成を目指したい。

<今日の出来事>
ケネディ駐日大使、“日韓 関係改善を”。米ケネディ駐日大使はNHKのインタビューに応じ、日韓両国が緊張緩和のプロセスを指導すべきだと述べ、オバマ大統領のアジア歴訪に向けて日韓が主体的に関係改善に取り組むよう促した。
・“繁殖期に入ったか” 公開中止に。東京・上野動物園のパンダが繁殖期を迎え、今日から公開中止になった。上野動物園では一昨年、2頭の間でオスの赤ちゃんが誕生したが6日後に死んでしまい、去年は出産はなかった。今年こそ赤ちゃんを誕生させたいという想いから、このような措置が取られた。
東日本大震災 復興支援 歌舞伎俳優ら チャリティーサイン会。東日本大震災の復興を支援しようと、歌舞伎役者らのチャリティーサイン会を国立劇場が企画し行った。劇場のロビーには公演を終えたばかりの人気歌舞伎俳優・中村時蔵さんや、若手俳優の中村万太郎さん、それに中村隼人さんなど5人の俳優が舞台の衣装を付けたまま現れ、抽選で選ばれたファンと記念写真を撮ったり、色紙にサインをした。

<今日のトラックバック
http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20140121/p1
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http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20131001/p1
http://d.hatena.ne.jp/ari-no/20140304
http://d.hatena.ne.jp/the-guppys/20140305

<昨年の今日>http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20130306/p1