いよいよ最後の週を迎える。『里海 SATOUMI 瀬戸内海』

◆今日のNHK大河ドラマ黒田官兵衛」は、松寿丸を人質として織田に差し出す官兵衛の苦悩の様子を描く。
 そういえば、黒田官兵衛からの問いに豊臣秀吉は次のように答えた。「一職を得れば一職、一官を拝すれば一官、 心頭を離れず、ひたすら努めしのみ」「自分は信長殿のぞうりとり時代には、一番よいぞうりとりになろうとし、士分にとりたてられた時にはまた、一番えらい武士になろう と、その時々に授けられた仕事に、一番になろうなろうと一心不乱に心がけただけサ。」と。まさに、秀吉の出世の心得。
 そして、官兵衛(如水)の言葉。「天下に最も多きは人なり。最も少なきも人なり。(人間はいるが人がいない。人材や人物がいない。人材不足)」と。
 ⇒⇒ ●明日が最後の週を迎える。複雑な気分である。まさに、「まじめに仕事をする。」ことが日本社会の本質。そして「知識より教養。技術より人格。促成より晩成。」がこれか らの自分の第二の人生を歩む心得であろう。まさに、新たな遅咲き人生を楽しんでいこう。「ゼロからのスタート」であり、続きに人生ではない形で生きて行こう。

◆『里海 SATOUMI 瀬戸内海』(2014年3月23日放送 21:00 - 21:50 NHK総合NHKスペシャル」より)
 カキ筏の歴史が紹介。戦後、沿岸が埋め立てられ工場などが立ち並ぶ頃、養殖する場所がなく沖にカキ筏を作った事が説明。カキは長さ9mのロープに吊るされ育てられる中、年月で海藻に包まれ卵を産むものもいると伝えられた。この場所には、天然で生きているものが集まり、そこで魚や海藻が暮らしながら共存している様子が紹介された。近畿〜九州にまたがる瀬戸内海を紹介。全国の人口の4分の1、約3000万人が周辺に暮らしている。かつて沿岸にコンビナートが立ち並んでいた1970年代は、赤潮が1年に300回近く発生するほどの瀕死の海だった。原因は工場などから流れ出る「富栄養化物質」でプランクトンが大量発生した為である。それから40年、排水機制もあり、海も元の状態に戻りつつある事が伝えられた。この海の浄化に重要な役割をしたのが「カキ筏」で、広島大学の松田治名誉教授は、カキの入った水槽にプランクトンを入れ濾過する現象を見せてくれた。松田は、カキ養殖は人間がエサを与えるのではなくカキが天然のエサを食べ、最後に水揚げするだけですと説明した。また、近年の広島湾の様子を確認すると赤潮の様子の違いも証明した。カキの活躍によって海が綺麗になりアマモという海藻が復活しメバルなど、魚たちが集まってくるようになった。岡山の日生では最も少なかった頃の17倍まで増えた。コウイカや藻エビなどアマモが少なかった頃には見られなかった生物が見られるようになった。藤生泰三さんら日生の漁師たちが地道にアマモの種を植えたりカキいなだを移したりと努力を重ねてきた。アマモの復活は海の環境を変えつつありカブトガニは絶滅寸前から蘇り、途絶えていた自然の浜での産卵も見受けられるようになった。藤生さんは自分が育てたアマモの中で、魚を取り過ぎない昔ながらの定置網で漁をする。
 瀬戸内海で始まった里海の取り組みは世界で注目されており、40カ国が参加する会議でもテーマになった。里海の第一人者である九州大学の柳哲雄は壇上で語った。アメリカのチェサピーク湾では貝の取れなくなった海を再生しようと里海の取り組みを始めている。インドネシアのジャワ島でもマングローブを使った里海の取り組みが進められている。春は瀬戸内海がにぎわう季節で、魚の習性を知り尽くした漁師がカキ筏の上で魚の模型を動かすと縄張りを荒らされたと感じたクロダイを獲っていた。夏の大潮の日は、カニが一斉に動き出す。その日を漁師は待ち構え、カニを捕まえてカニが大好物のタコを獲っていた。夏休みの子ども達もアマモのそばに住むウミホタルを鑑賞していた。
 夏の瀬戸内海。漁師は水温が高い海面近くまでカキを引き上げて産卵を促す。カキにはオスとメスがあり、粉のようなメスの卵子と、紐のようなオスの精子を合わせて受精が行われる。こうして産まれた赤ん坊は、しばらくの間海を漂って成長する。ある程度大きくなると幼生になるが、固いものにくっつけられないと潮に流され死んでしまう。幼生がくっつくよう漁師はホタテの貝殻を用意するが、天候や潮の流れのタイミングを見てどこに下ろすか、漁師の力量が試される。広島・宮島のカキ漁師・森脇慶さんは、試しに下したホタテの貝殻を引き上げて幼生の付き具合を調べる。猛暑が続いた去年の夏、幼生の成長は予想以上に遅れていた。森脇さんはわずか数個しかついていないと落胆した。数日後、森脇さんは仲間の漁師と幼生を顕微鏡で見たところ、幼生が大きく成長。漁師から貝殻を下ろしていいと言われた。瀬戸内海では1億を超えるホタテの貝殻が下ろされ、漁師たちが一斉に幼生を集める。瀬戸内海で集められたカキの幼生たちは、3mの満ち潮を繰り返す海岸に吊るされる。森脇さんは夏の日差しに耐えられた強い遺伝子だけを残し、弱い子どもは淘汰させると話す。人間に選ばれた丈夫な子どもたちを1年半かけて育てると、ホタテの貝殻が見えなくなるくらい大きくなる。瀬戸内海でカキの種取りが終わる頃、アマモの刈り取りが始まる。アマモを適度に間引くことで光が入り、来年には新たなアマモが育つ。漁師曰く、里山クヌギ林に手を入れるのと同様だという。刈り取ったアマモは海沿いの洞窟に作られたサウナの床に敷き詰め、石風呂として利用される。磯の香りが立ち昇り、心と体を癒やす。アマモは畑の肥料としても重宝され、腐ることで土が柔らかくなるという。
 瀬戸内海での生態系で頂点に立ち、かつては1万頭ほど生息していたスナメリだが、現在はほとんど見られなくなったという。山口沖で調査を続ける市民グループに同行したところ、イワシを追ってきたハセルイカの大群に遭遇。これだけの大群は地元の人でもほとんど見たことがないという。別ポイントで調査を続ける広島工業大学・上嶋教授にも同行して周防大島(山口)近くを航行したところ、イワシを追う野生のスナメリの群れを捉えることができた。冬を迎えた瀬戸内海ではカキの季節を迎えた。1年半かけて育ったカキは身が大きく詰まり、網で焼くと絶品だ。カキいかだに吊るされた子どもたちは、プランクトンを食べて海をきれいにしてくれる。瀬戸内海は里海として、これからも豊かな海を作っていく。

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<今日の出来事>
・安倍首相はオランダで開かれる核安全保障サミットに出発した。サミットにあわせて行われる日米韓首脳会談について安倍首相は、「未来志向の日韓関係の第一歩にしたい」と話し、またウクライナ情勢については「G7首脳会合でアジアにも影響する問題だと指摘したい」と話した。

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       今年の桜の満開はいつでしょうか。