八百屋お七の日。廣池千九郎記念館。佐藤一斎。そして、「自動ブレーキ型」の今年の新入社員

◆1683(天和3)年のこの日、18歳の八百屋の娘・お七が、3日間の市中引回しの上、火あぶりの極刑に処せられた。前年12月28日の大火で避難した寺で出会った寺小姓・生田庄之介のことが忘れられず、火事になればまた会えると考えて3月2日の夜に放火、火はすぐに消しとめられたが、お七は御用となった。当時は放火の罪は火あぶりの極刑に処せられていたが、17歳以下ならば極刑は免れることになっていた。そこで奉行は、お七の刑を軽くする為に「おぬしは17だろう」と問うが、その意味がわからなかったお七は正直に18歳だと答えてしまい、極刑に処せられることとなった。お七が丙午の年の生まれであったことから、丙午生まれの女子が疎まれるようになった。

廣池千九郎の生涯全般をじっくりみるのであれば、千葉県柏市廣池千九郎記念館。大分県の中津記念館には、生家が残っている。群馬県にある谷川記念館は、温泉保養施設が同じ敷地内に。近くには、臨終の間が残る大穴記念館がある。静岡県の畑毛記念館には、代表作『道徳科学の論文』を執筆した部屋が残されている。それぞれに規模は異なるが、千九郎の息吹に触れることができる。(http://www.hiroike-chikuro.jp/chikuro_hall/hall.htm
 廣池千九郎は、明治維新直前の慶応2年(1866)、現在の大分県中津市に生まれ、苦学の末に教師となり、修身(道徳)の教科書を編纂し夜間学校を設立するなど、地域の教育改善に取り組んだ。その後、歴史学者として数々の論文・書物を著し、法学を学んで早稲田大学講師、神宮皇學館教授を歴任。また、国家的事業『古事類苑』(日本最大の百科史料事典)の編纂に携わり、新しい学問分野「東洋法制史」の開拓・研究を経て、独学で東京帝国大学を通じて法学博士の学位を取得した。大正15年(1926)には『道徳科学の論文』を著してモラロジー(道徳科学)を創建、昭和10年(1935)には現在地(千葉県柏市光ヶ丘)に道徳科学専攻塾(麗澤大学・麗澤中学高等学校等の前身)を開設。今日の廣池学園およびモラロジー研究所の基礎を築き、モラロジーに基づく生涯教育・生涯学習を推進した。(http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20130329/p1

佐藤一斎http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20131114/p1)とは、安永元年(1772)〜1859。名は「坦」〔タン〕。字は「大道」、通称は「捨蔵」、号が「一斎」または「愛日楼」・「老吾軒」。江戸の人。曽祖父の「周軒」が初めて儒学をもって岩村侯に仕え、家老に昇格、祖父の「信全」、父の「信由」とこれを継いだ。よって「一斎」は江戸後期の、朱子学陽明学を兼ねた学者である。21歳にして林簡順の門下に入るが、程なくこの師匠が亡くなり、33歳と若くして林家の塾長に抜擢され、昌平黌の教官となった。諸大名以下門下3000人と称され、佐久間象山、安積艮斎らの俊秀を輩出。86歳で逝去。主著=『言志四録』『近思録』など。42歳にして『言志録』、57歳にて『言志後録』、67〜78歳にかけて『言志晩録』を成し、80〜82歳で『言志耋録』を上梓している。この4作をまとめて『言志四録』(http://1000ya.isis.ne.jp/1489.html)と伝わっている。勿論「真名」(=漢文)で書かれており、「凡天地輭事。古往今来。陰陽昼夜。日月代明。四時錯行。其数皆前定。」と、割と平明である。その内容は一番通じていた「易経」の影響が色濃い。
 「西郷南州」こと西郷隆盛はこの佐藤一斎に心酔し、その抄録版を出版している(明治21年、『南州手抄録言志録』)。その中で「人など相手にするな! 天を相手にしろ! 己を尽くし、人を咎めず、自分の足りなさをこそ羞じよ!」と云っている。小泉純一郎も総理就任時の所信表明演説で例の「米百俵」と共に佐藤一斎を引用していた。「少(わか)くして学べば壮にして為すあり。壮にして学べば老いて衰えず。老にして学べば死して朽ちず」。

◆「自動ブレーキ型」の今年の新入社員
 佐藤政権。米軍の北ベトナム爆撃エスカレート。ビートルズの来日公演……。ベトナムの“戦争を知らない子供たち”世代か。こちら“バブルを知らない子供たち”世代、「自動ブレーキ型」と名づけられた今年の新入社員。ネット情報を防備に、危険を感じると速やかに静止し……。
 平成26年度 新入社員のタイプは、知識豊富で敏感。就職活動も手堅く進め、そこそこの内定を得ると、壁にぶつかる前に活動を終了。何事も安全運転の傾向がある。人を傷つけない安心感はあるが、どこか馬力不足との声も。どんな環境でも自在に運転できるようになるには、高感度センサーを活用した開発(指導、育成)が必要。「自動ブレーキ型」については、自動車のCMでよく見るようになった自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)装置。高感度センサーで障害物を敏感に検知して自動的に車を停止させ事故を未然に回避する。そのハイテクは、情報収集能力に長け、頭の回転の速い若者像をほうふつとさせる。車もかつては野性的なパワーを競ったものだが、昨今は、エコロジーと洗練された自動制御能力がセールスポイントとなっている。しかし上の世代からすればいささか物足りない印象を持つようだ。新入社員についても、失敗を恐れずに「あたってくだけろ」の精神でパワー全開、突っ走って欲しいとの声もある。新入社員には、リスクを恐れずに、前向きに挑戦する失敗から学ぶ経験もしてほしい。なおCMの末尾に表示されるように、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)装置は「完全」を保証する装置ではない。使う人がその特性を十分に考慮し、上手に活用して初めて真価を発揮する。新入社員も同様に、先を読む能力(高感度センサー)を活かした指導、育成(開発)をすることによって、衝突を回避するだけではなく、適切に加速(スピード自動調節)をしながら、どんな環境でも運転をしていくことができるようになるだろう。

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<今日の出来事>
・未来のタカラジェンヌ 宝塚音楽学校 合格発表。宝塚音楽学校の合格発表が行われ、102期生40名が合格。競争率27倍の狭き門を通った合格者は、バレエや日本舞踊などのレッスンを受け宝塚の舞台を目指す。
・新橋〜虎ノ門間 “マッカーサー道路”開通。都心部と臨海エリアを結ぶ環状2号線の一部区間、通称「マッカーサー道路」が開通した。開通したのは新橋から虎ノ門の1.4kmで、今年6月には環状2号線が通る真上に「虎ノ門ヒルズ」がオープンする予定。
・29日は、各地で今年一番の暖かさを記録したが、30日は低気圧が本州付近を通過し、荒れ模様の天気になる見込み。低い土地の浸水や川の増水、土砂災害のおそれもあり、警戒が必要となる。

<本の紹介>
朱子学陽明学 (岩波新書 青版 C-28)http://d.hatena.ne.jp/asin/4004120284
儒教とは何か (中公新書)http://d.hatena.ne.jp/asin/4121009894

<今日のトラックバックhttp://d.hatena.ne.jp/ks9215/20140210/p1
http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20131008/p1
            http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20140123/p1

<昨年の今日>http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20130329/p1