連立与党 3分の2維持 「自民一強」に野党どう臨む

◆連立与党 3分の2維持 「自民一強」に野党どう臨む( 2014年12月15日放送 21:57 - 22:25 テレビ朝日  「報道ステーション 」より)
 衆議員総選挙で与党は326議席と圧勝し、連立与党3分の2を維持した。要は現状追認である。しかし、投票率は戦後最低の52.66%となった。選挙に行かなかった人たちは、選挙で何が変わるのか、出来レース感があったなどと話す。自民党に投票した人は、アベノミクスはとりあえず成功しているから。民主党に投票した人は、だらしないから頑張ってほしいという意味を込めてと話す。また、共産党に投票した人は、選択肢がないが故の自民党の圧勝だと思うと話す。
 北海道7区では、新党大地鈴木宗男代表の長女である鈴木貴子が民主党の公認で出馬し、歌手の松山千春も応援した。貴子氏は小選挙区では225票差で負けたものの、比例当選した。新潟2区では鷲尾英一郎が102票差で敗れた。東京3区では、自民党の石原が当選し、民主党の松原は約4000票差で敗れた。自民党小選挙区得票率は48%で、投票率は52%なので、今回の小選挙区の選挙結果は有権者の25%の意思でしかない。低い投票率について安部首相は、「寒い中投票所に行き、権利を行使した皆さんに敬意を表したい。」と述べた。また総理は、24日の組閣で大臣全員を続投させる方針だ。
野党の海江田代表は落選を受けて辞任の意向を表明した。党内は代表選に向けて動き出している。細野さんや岡田代表代行、前原元代表蓮舫参院議員らの出馬取り沙汰されている。細野さんや前原さんは野党再編に前向きで、代表になれば一気に現実味を帯びてくる。生活の党の小沢代表は、「自民党に代わる政権担当能力のあるグループを作るのが私の最大の目標。与えられた任期中精一杯頑張る。」と述べた。落選した渡辺喜美氏は、「声なき声にも耳を傾けて、今後の身の振り方行動にについては考えたい。」と述べた。渡辺氏は大手化粧品会社の会長から8億円を借り入れた問題で告発されており、東京地検特捜部が渡辺氏の事務所などを9月に政治資金規正法違反の疑いで家宅捜査をしていたことがわかった。
 野党で唯一躍進した共産党志位和夫委員長は、「自共対決がいよいよ現実性を強めるものになった。日本の政治を変えるために全力を尽くしたい。」と話した。アベノミクスは継続されるが、市場はあまり反応がよくない。平均株価の終値が約1カ月ぶりの安値となった。日銀短観では、景気の先行きが大企業・中小企業ともに悪化の見通しだとしている。
 政権公約について安倍首相は、「集団的自衛権の一部容認を含めた閣議決定に基づく法整備を来年の通常国会で提出していきたい。原子力規制委員会が再稼働に求められる安全性を確認した原発については地元の理解を得つつ再稼働を進めていく。憲法改正は国民的な理解と支持を深め広げていくために努力をしていく。」と述べた。大間原子力発電所は明日原子力規制委員会に安全審査を申請する。高浜原発3・4号機は明後日審査書案を公表する見込みで、早ければ来年春にも再稼働する。
 アメリカのワシントン・ポスト紙は、ほぼ選択肢の無い中日本は安倍総理に経済を軌道に戻す猶予を与えたと述べた。韓国の朝鮮日報は、次の目標は村山談話、過去の歴史を否定する右傾化制作が加速するだろうと述べた。イギリスのガーディアン紙は、原発再稼働に加え集団的自衛権行使で世界で武力展開を可能にするという2つの課題に取り組む余裕を得た。構造改革実行への意欲があるかには疑問が残ると述べた。イギリスのデーリー・メール紙は、アベノミクスで持続可能な経済成長を遂げられるか疑問が残ると述べた。ドイツのシュピーゲル誌は、多くの日本人は原発を拒否しているがそれでも総理に票が入った。国民の80%が原発再稼働に反対、アベノミクスもほぼ失敗に終わっている。勝利できたのは弱い野党のおかげと述べた。
 沖縄では、4つの選挙区全てで普天間基地辺野古への移設に反対する候補者が当選した。翁長知事は、「県民の民意はブレることなくさらに拡大し、辺野古に基地は作らせないという民意がしっかりと大きな力で日本政府にも伝えられる。」と述べた。この結果に対し安倍総理は、「大変残念な結果だが、真摯に受け止めたい。普天間基地の固定はあってはならず、辺野古への移設が唯一の方法であるという考えは変わらない。」と話した。これを聞いた沖縄4区で当選した仲里氏は、「沖縄を蔑視している。県民自らが政府を通り越して世界に訴えるしかない。」と述べた。小選挙区で最大2倍を超える1票の格差があり、弁護士グループは全小選挙区の選挙無効を求め全国一斉提訴した。最高裁違憲状態にあるとの判断を示している。
 今回の自民党の得票数は2009年の惨敗した選挙よりも少ない。12月24日に特別国会招集、1月中旬に通常国会招集、4月に統一地方選挙が行われる予定。そのため2月に補正予算、3月に2015年度予算を成立させなければいけない。さらに2月に川内原発再稼働、5月に集団的自衛権法整備が行われる。有権者の4分の1の票で75%の議席をとっているので民意がどこにあるのかしっかりと見極めて政治を行わなければいけない。