最後の告発『東京ブラックアウト』。東電さん、被災者補償より社員給与ですか。

◆現役官僚がリアル告発。『東京ブラックアウト』
 http://www.amazon.co.jp/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88-%E8%8B%A5%E6%9D%89-%E5%86%BD/dp/4062193418
 2013年秋、永田町、そして霞ケ関界隈に超弩級の緊張が走った。原因はたった1冊の本。タイトルは『原発ホワイトアウト』(講談社)。東日本大震災以降で多く見られた、原子力発電所とその周辺を舞台とした「フィクション」である。しかし、読み進めると程なくモデルとなる人物や団体が簡単に特定できてしまう驚異的な構成。何よりも衝撃的だったのは、若杉冽なる耳慣れない著者名の横に、「現役キャリア官僚」の文字があったこと。もちろん“若杉冽”はペンネームであり、その素性は全く明らかになっていない覆面作家。十中八九、内部告発。そして、『東京ブラックアウト』は若杉冽による告発ノベル第2弾であり、さらに恐ろしい内容に終始する。『原発ホワイトアウト』では東日本大震災を経験しておきながら政治家・官僚・そして利権企業である電力会社が暗躍し、結局再稼働させてしまった原発が、上越方面で絶望的な臨界事故を起こすところまでを描いていた。本作では時計が少しだけ戻り、原発再稼働計画の確定から実際の再稼働、事故、そして終着点となる事故後のエピソード、という展開。つまり、今現在我が国が取り組んでいる「原発再稼働」が施行された場合の「最悪」を、現実感たっぷりにシミュレートした作品であるである。今の日本の「原子力ムラ」と呼ばれるベールに包まれた一団の内情を暴露しているとしか思えない。そして後半・事故後の展開があまりに残酷すぎる。そもそも事故が起きることが想定されていない原子力発電所に事故が起こった場合、それがどのような悲劇を生むのかを、悲しい事に我々は実体験としてよく知っている。
 若杉冽という覆面作家について解っていることは、「東京大学法学部卒・国家公務員I種試験合格・現在、霞ケ関の省庁に勤務」という3点のみ。著者がもし本物の現役官僚だとするのなら、官はもちろん政も、そして財も、正体暴きに躍起になるに違いない。若杉冽が「勇気ある告発者」である。東京が荒廃し、闇に包まれてしまう未来が来る、というのは、決して絵空事ではないはず。あの震災を経験してしまった以上、そうなるのは自明の理である気がする。
・12月10日、特定秘密保護法が施行。これが最後の告発かも。原発再稼働が殺すのは大都市の住民だ! 高橋洋一氏のコメント「この小説は95%ノンフィクションだ。日本中枢で進行中の陰謀を見事に活写している。驚愕の結末は元官僚の私にも想像できなかった」

◆被災者補償より社員給与ですか。
 新潟県柏崎刈羽原発の再稼働にシャカリキになっている東京電力は2015年3月期の純利益で5210億円の黒字を確保し、経常利益は前期比2倍の2270億円になる見通し。原発事故が起こる前の2010年の経常利益が2043億円だったから、ナント、震災前より利益を増やしていたのである。これに気をよくした東電の数土文夫会長は、今年の年頭あいさつで「会社として成果が上がれば、何%かでも(給与を)戻していきたい」と発言。昨年に続き、原発事故後に下げた給与水準の回復にまで踏み込んだ。東電によると、「火力発電の効率化や修繕工事の繰り越しなど徹底したコスト削減で、黒字化に成功した」(広報担当)というが、それなら、間違っても社員給与のアップでなく、原発事故で故郷を追われ、今も仮住まい生活を余儀なくされている被災者の復興支援ではないか。まして、国から総額4兆5104億円に上る税金が投じられていなければとっくに潰れていた会社であり、余力があれば、国に返せ。そいて、被災者補償にお金を使うべきではないか。

<今日の偉人資料館>
・旧岩崎邸、三菱資料館 http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index035.html
岩崎弥太郎生家 http://www.akikanko.or.jp/kanko/yatarouseika.html

<1月9日生まれの先人の言葉>
岩崎弥太郎三菱財閥創始者
 ・魚は招いて来るものではなく、来るときに向こうから勝手にやって来るものである。だから、魚を獲ろうと思えば、常日頃からちゃんと網の用意をしておかねばならない。人生すべての機会を補足するにも同じことがいえる。
 ・武士を捨てて商人になりきるのだ。
 ・得意先の番頭や小僧に頭を下げると思うから悔しくなるのだ。今後はこの扇子を開き、小判に頭を下げると思ってやるがいい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<今日のニュースから>
生活保護「住宅扶助」引き下げ案まとまる。
 生活保護の受給者に支給される生活保護費のうち、家賃にあたる住宅扶助について、厚生労働省は、「住宅の質に見合った支給額にする措置の検討が必要」などとする報告書案をまとめた。背景に劣悪な住宅で家賃を住宅扶助の上限額に設定する貧困ビジネスがあると指摘している。厚労省は2015年度から住宅扶助を引き下げる方向で財務省と調整している。
 ***逆な感がする。特に都内であれば、家賃は高いし、扶助費が必要ではないか。貧困ビジネスがあるかもしれないが、それだけで下げるというのはいかがなものであろうか。
◆自動車など出荷低迷 11月の景気動向指数 3か月ぶり悪化。
 内閣府の出した去年11月の景気動向指数は、自動車などの出荷低迷などから3ヶ月ぶりに悪化した。一致指数は108.9となり前月比1ポイントマイナスとなっている。消費増税による自動車などの出荷低迷や、ガソリン販売額の落ち込みなどが要因。内閣府は「下方への局面変化を示している」というこれまでの景気判断を据え置いた。また先行指数も前月比で0.7ポイントマイナスとなり、2か月連続の悪化となった。