「プロフェッショナルとは、目標を持って努力をし、心をこめて出来る人」「清掃は、やさしさ:」(新津春子)

◆「心を込めて、当たり前の日常を ビル清掃 新津春子さん」(2015年6月1日放送 22:00 - 22:50 NHK総合プロフェッショナル 仕事の流儀
 羽田空港は清潔な空港世界一を2年連続で受賞した。快挙を支えたのは新津春子45歳、ビル清掃のプロ。全国ビルクリーニング技能競技会で最年少で日本一になった新津、その影には過酷な半生があった。東京国際空港に着いた新津春子さんはエスカレーターを使わず階段で職場に向かう。事務所に到着し筋トレを行った。新津は中国生まれの日本人、17歳で日本に来てから言葉がわからなくてもできるとこの仕事に就きずっと続けてきた。新津さんは現場でまず汚れのチェックを行う。ロビーにある冷水機の表面の汚れを指摘した新津さんは、80種類以上の洗剤の中から数種類を選び、冷水機の清掃を行った。アルカリ性洗剤、酸性洗剤を使い汚れを落としていった。さらに周辺の細かい汚れも見逃さない。冷水機の下の汚れも同時に落としていった。新津さんは清掃は職人の仕事だと思っていると語った。清掃開始から2時間、冷水機はまばゆいばかりの輝きを取り戻した。新津さんはきれいにするためならどんな手間もいとわない。さらに手を乾かす乾燥機も自ら開発に携わった道具で清掃を行った。
 次は床に目を配り始めた新津さんは使う人のことを考えて清掃に向き合う。大切にしている流儀は「清掃は、やさしさ」。ビル清掃の新津春子さんが一般家庭で清掃の技を伝授した。小林晴美さんの家で風呂のカビはお酢を使う清掃法を教えた。つづいて蛇口のくもりには食器洗い用の洗剤などを使ってキレイに仕上げた。つづいて塚田啓子さんのお宅で、換気扇の油汚れをつけ置き洗いで落とした。
 羽田空港の清掃のプロ新津春子さんは同僚と一緒に昼ごはんを食べる。今の仕事を17歳から続けてきた新津さんは中国・瀋陽で生まれた。父親は日本人残留孤児。小学生の頃から日本人というだけでさまざまないじめを受けた。17歳の時に一家は日本に向かうことになった。ところが日本でもまたいじめにあった。また両親もすぐに定職につけず生活は苦しくなり、高校生の新津さんは清掃員のアルバイトで生活費を稼いだ。新津さんは清掃は中国でもレベルが低い、日本でも一緒だとわかったと話した。23歳の時、新津さんは羽田空港の清掃員として働き始めた。そこで運命を変える上司・鈴木優さんと出会う。新津さんは鈴木さんの熱血指導をうけ清掃という仕事に面白さを感じ始める。そして自分にはこの仕事しかない、ならば極めてみようと考えた。がむしゃらに学び続け3年が過ぎ、全国ビルクリーニング技能競技会の予選会で2位となった。鈴木さんは心に余裕が無いといい掃除ができないと新津さんに話したという。そこで技術だけでなくその場の人に気を配る姿勢が大切だと気付いた新津さんは技能選手権で日本一に輝いた。新津さんは鈴木さんに認められたことがうれしかったと話した。新津さんの恩師・鈴木さんは3年前に他界した。新津さんはその遺志を受け継ぎ後進の指導に当たっている。本人がどう感じたか、感じたことを心を込めてやってくれれば嬉しいと語る。東京国際空港閉館後、ビル清掃の達人・新津春子さんは天井の清掃を行った。月に2度担当する夜間清掃で日中に掃除しにくい場所を清掃する。空港の中でもトイレは汚れやすい場所で清掃員にとって最大の難所。担当者が汚れが落ちないと報告した多目的トイレの床は凹凸の隙間に汚れがこびりついていた。新津春子さんは細かい毛がついたパットを取り出し、機械に取り付け床を磨いた。さらに壁についた原因不明の汚れを少しずつ取っていき落としきった。夜勤を終えた新津春子さんは最後に空港を一周りしてゴミを拾って歩いた。
 羽田空港の清掃員・新津春子さんはプロフェッショナルとは、目標を持って努力をし、心をこめて出来る人だと話した。朝8時30分、新津は夜勤を終えて帰宅した。

<今日のニュース>
◆12年半ぶり…一時125円台。
 きょう午前、東京外国為替市場で一時1ドル125円台となった。2002年以来約12年ぶりの円安ドル高水準となった。 アメリカの経済指標が市場予想を上回り年内の利上げ実施の見通しが強まったためドルを売って円を買う動きが加速した。
◆本年金機構に不正アクセス 個人情報125万件“流出”…影響は
 日本年金機構の理事長は125万件の個人情報の流出があったことを公表した。基礎年金番号・氏名・住所の流出が116万件にもなった。菅官房長官は「セキュリティーに対する日本年金機構の認識の甘さがあったし、内規でやるべきことをやっていない部分というのはその責任を免れない」と述べた。情報流出の実態把握を徹底的に行い再発防止に全力で取り組むと強調した。民主党の細野政調会長は「政権全体の極めて重い責任」とし、政府責任を追及する考えを明らかにした。ウイルスメールを開封したことにより不正アクセスが行われ情報が流出した。日本年金機構では業務上必要な場合に、管理システムから共有サーバーに情報を移すことが認められている。今回は端末とつながる共有サーバーから流出した。稲垣隆一弁護士は「今回の情報だけで年金をだまし取るのは非常に難しい。しかし、既に漏洩した個人情報と合わせて使うことで二次被害に結びつく可能性はある」とした。日本年金機構では情報が流出したとみられる人の基礎年金番号を変更して郵便で通知する。今日になって不正アクセスの手口が明らかになった。届いたメールには厚労省が出した文書と同じタイトルがつけられていた。標的型のメールとかんがえられる。情報セキュリティ会社・ラックの西本逸郎取締役は「受け取った人がその添付書類を開くように巧妙に仕込んだのが標的型メール。添付書類の不審rっしさを見分ける能力が必要になってくる」と答えた。経済産業省の村上貴将情報システム厚生課長補佐は「年に数界模擬訓メールを送って職員に対して開いてはダメと啓発している」と話した。職員の意識が高まってきていて対策の効果が上がっているとのこと。
 来年からマイナンバー制度が始まり国民全員に12桁の個人番号が振り分けられる。納税の状況や年金の給付状況などが番号1つで管理される。金崎健太郎内閣参事官は「情報流出が起こる可能性は極めて低い。マイナンバーで使うデータは暗号化し、極めて限定された人間しかアクセスできないようにする」とした。
◆九州などで梅雨入り。
 九州などで梅雨入りが発表され、鹿児島県口永良部島では停電などで観測態勢に影響が出ている。避難所の1つでは雨が降ったりやんだりを繰り返している。

<6月2日生まれの先人の言葉>
中山みき(宗教家)
 ・心に積もったホコリを取り払い、心を澄ませることが必要。
河野一郎(政治家)
 ・こんなことで死んでたまるか。
大村はま
 ・子どもに考えさせるということをした人が、いちばん教師としてすぐれている。
小田実(作家)
 ・まあ、もうちょっと、行ってみようやないか。ほんとうに未知なものにむかって進むとき、人はそんなふうに自分に対して言うほかはない。
●矢代英太(政治家)
 ・僕が好きなことを書いて、誰かが楽しんでくれれば、それ以上は望むべくもないです。
●魚谷雅彦(経営者)
 ・ピンチのときこそ、仕事の本質が見える。
 ・仕事で大事にしていることは、情熱を持って仕事をすることです。
 ・モノが売れない時代にモノを売るには、新しい価値を持った商品の一番手になることが大切なのです。市場は奪うものではなく、創るものなんです。
 ・理屈だけではなかなか共感は生まれません。それだけではなく、心に響くコミュニケーションをしなければいけません。