「お前らもっと『トヨタの片づけ』の凄さを知るべき」

<ポイント>
1.「キレイにそろえる」は「整列」にすぎない
 ただ並べ直しただけでは「整列」、単にキレイにそろえただけです。たとえば、本棚を整理・整頓しようというときに、本の大きさごとにそろえて収納する。あるいは、書類の入ったファイルを大きさや色別にそろえて並べる。見た目はキレイになるので、多くの人はそこで満足してしまいます。いらないものを捨てずに、右から左へモノを移動させることは、トヨタでは整理・整頓とはいいません。整理・整頓とは「捨てる技術」であると同時に、「必要をものを必要なときに必要なだけ取り出せるようにする」ことなのです。

2.「いつか」には「いつまでに」と期限をもうける
 私たちの身のまわりには、「いつか使うもの」があふれています。「この資料は、いつか役立つかもしれない」「この文房具は、いつか使うだろう」という思いから、ついついため込んでしまいます。これらとどのように向かっていくべきかが、整理のポイントになるのです。「いつか使うもの」に対しては、必ず「いつまでに使うか」を問わなければなりません。つまり、期限をもうけるということです。

3.書類は先入れ先出しで処理する
 たとえば、書類や資料は、整理を意識せずにいると、日々デスクの上に積み重なっていきます。すると、下のほうに埋もれてしまった書類や資料は、見返すことがありませんし、重要な案件が未処理になってしまう事態も発生します。ですから、書類や資料についても、先入れ先出しを徹底する。たとえば、デスク上に書類を受け取るためのトレーを1つ用意します。つまり、書類の入口を1つに限定するのです。そして、1日に何度か、そのトレーにたまった書類を入ってきた順に処理します。

4.ムダな動きをしないような配置を心がける
「振り向く」という動きも体に負担をかけます。「腰を曲げる」という動きも疲労を生みます。トヨタのなかでは、それらは「カイゼンのネタがある動き」と呼ばれ、モノの置き場所を変えていきます。(中略)これはオフィスでも同様で、よく使う書類や文房具は、手の届く範囲に置いておく。わざわざ立ち上がったり、体ごと移動しなければいけない場所に置いてあったら、体に負担がかかるばかりか、作業効率が悪くなります。

5.「使う頻度」が低いものはシェアする
 トヨタの工場で塗装を35年間担当してきた藤原健二は、トヨタ時代にこんな体験をしています。カッターナイフを登録制にしようと、個人が持っているカッターナイフを全部出してもらったところ、塗装課全体で百数十本も出てきたというのです。多くの従業員が、複数のカッターナイフを所持し、なかには、1人で5本持っている人もいました。(中略)
 「毎日使うものは個人管理」「3日に1度しか使わないものはシェアする」といったように、オフィスごとに基準を決めて、管理方法を分けるとよいでしょう。

6.オフィスやデスクに線を引く
 たとえば、オフィスでシェアしている備品があれば、それが置かれるべき場所に区画線を引いてしまう。ゴミ箱なども置き場所を決めて、床にビニールテープで「×印」をつける。「×印」が見えていれば、ゴミ箱が正しい場所にないということが一目瞭然なので、あっちに置かれたり、こっちに置かれたりということはなくなります。  デスクの上にテープなどで区画線を引いてしまうのも、アイデアのひとつです。「ここからここまでは、モノを置かない場所」と決めて作業スぺースを確保すれば、むやみににモノが積まれることはありませんし、整理・整頓の意識も身につきやすいでしょう。

7.モノの定位置がひと目でわかるようにする
 「必要なものを必要なときにすぐに使える」ようにするために、モノの定位置を決める。それに続けて行っていくのが、「モノの定位置を明示する」ということです。(中略)モノの保管のルールは、すべて現場に掲示する。何がどこにあるかは、そのモノのすぐそばに掲示するのです。
 ・紙に書いて貼り出す
 ・棚にシールを貼って、中に何が入っているかを書く
 ・ロッカーや棚に使用者の名前を書いた札をつける
 このように掲示することで初めて、現場の全員に周知徹底されることになります。