『弘兼流 50歳からの定年準備―人生後半を自分のために生きるコツ』弘兼憲史著から

<参考になったポイント>
1無理して親友を作る必要はない
 冷徹な言い方をすると、サラリーマン同士で仲のいい関係というのは、利害関係が一致している場合が多いのではないでしょうか。お互いの利益のために無理をしてつき合い、言いたいことも言わず、すべて丸く収めようとする。
 だから、傍からは親しいように見えますが、実はお互いにたいへんなストレスを抱えているかもしれません。それも〝友情〟の 1 つの形ですが、永遠に続くわけではないでしょう。
 人生は出会いと別れの繰り返し。何かの歌詞のようですが、そう割り切ってしまえば、案外落ち着けるのではないでしょうか。
 無理をして親しい友人を作ろうなどと考える必要はない。その時々に周囲にいる人と仲良くしたり、昔の友人に久しぶりに連絡して飲みに行ったりすれば、人生はそれなりにハッピーになるはずです。
2.家事くらいできる男になる
 とても偉そうなことは言えませんが、夫ももはや家事から逃れられる時代ではないでしょう。最近は「男の料理」が人気なので、厨房に入ることを 厭わない人も増えていると思います。
 しかし、それだけではダメ。掃除でも、洗濯でも、買い物でも、家事全般を夫婦で役割分担するのが自然だと思います。
 家の中にいて役に立たないから嫌われるのです。逆に言えば、嫌われないようにするには「この家庭の中でも俺は役に立っている」と存在感を示すことができればいい。手っ取り早いのが家事というわけです。
 定年になってから、あるいは会社をリストラされてから始めるのでは遅い。まだ仕事のあるうちから、少しずつ慣れておいたほうがいいと思います。
3.ボケたくなければ恋をしよう
 かつて、医学博士の大島清先生による『人生を生ききる性脳学』(講談社)という本がありました。それによると、人間がボケを防止し、健康で長生きするためには、年齢に関係なく恋をしたほうがいいそうです。性的関係を持てばもっといいとのこと。これは、今日も通用する真理でしょう。
 性的関係というのは、別に肉体関係だけではありません。異性とコンサートや映画に行ったり、食事をしたりというだけでもいいそうです。それで自分の脳内ホルモンが刺激され、ボケ防止になるらしい。言われてみれば、誰でも思い当たるフシがあるのではないでしょうか。恋愛とまではいかなくても、家族以外の異性が近くにいるだけで、勘違いも含めて「自分は見られている」という意識が働きます。見られているということは、多少はストレスも感じますが、それがちょうどいい刺激になる。緊張感が生まれて「ボケている場合ではない」となるわけです。