『一倉定の経営心得』(一倉定著・日本経営合理化協会)と『灘中. 奇跡の国語教室 - 橋本武の超スロー・リーディング』(黒岩祐治著)について

● 嫌われる覚悟がなければ、トップは務まらない。常に課題を出し、難しいと思う目標を設定し、改善を社員に求め続けるのが、トップの役目なのでしょう。好きとか嫌いとか、そういう問題ではない。
<ポイント>
・任せるのは「実施」であって、「決定」ではない(p48)
・人間というものは、目標があると、それに向かって努力するという不思議な動物である(p70)
・社長は自らの会社の内外作区分についての、明確な方針と目標をもたなければならない(p139)
・自分の性格に合わない事業は、手を出さないほうが無難である(p174)
・新たな収益をあげる最も早く、確実な道は、今ある商品の欠陥を見つけだし、これを直すところにある。(p186)
・企業内に良好な人間関係が維持されているということは、革新が行われていない実証である(p198)
・社長は、ムリを承知で社員に頼め。(p206)


●灘中、灘高といえば、東大合格数トップの常連として有名ですが、このような国語の授業が行われていたとは驚きました。中勘助作の「銀の匙」という小説を3年かけて読むというもの。「銀の匙」を切り口に実際に体験したり、調べたり、覚えたりするのです。それも、そうした解説書は、橋本武先生が毎ガリ版で作ってくる。つまり、「銀の匙」を切り口に、毎回、手作りの教科書を使っているということです。こうして物事を掘り下げていくと楽しいよ、ということを橋本先生自身が生徒に示しているということなのでしょう。
<ポイント>
・もともとかるた遊びが百人一首の本来のあり方なのだから、みんなだ暗誦してかるた大会に臨むことこそ、本来の百人一首の勉強法だと先生は考えたのであった(p71)
・「・丑紅の牛も大切であった・・・」まずは「丑紅」という言葉が入り口になる。研究ノートの「語句の意味」の欄には「寒の丑の日に売る紅で、口の中のあれを防ぐという」という解説がつけられている・・・そもそもこの「丑の日」とはなんぞやということになる(p86)
・たくさんの文章を書かされたということである・・「“百聞は一見に如かず”という。書くことにおいては“百論は一作に如かず”(p161)
・中学の三年間は毎月毎月、橋本先生が決めた課題図書があってその感想文を提出しなければなかった。(p166)
・気になることは追体験・・自分の記憶に強く残す・・たとえば、駄菓子屋に行く場面では、実際に教室で駄菓子を配って食べさせる。凧揚げをする場面になれば、美術の時間も使って、それぞれが好きな凧を手作り(p213)
・「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなる」ということです。何でも興味をもったことをどんどん自分で掘り下げていってほしい。・・そうして自分で調べて見つけたことは一生の財産になるかと。(p215)
・答えは後回しでもいい。疑問をもつことが第一歩(p219)