『最強交渉人が使っている 一瞬で心を動かす技術』(マーク・ゴールストン著)

【ポイント】
1.心を動かす極意は"シフトダウン"だ
 車を運転して、急な坂道を上るところを想像してみてほしい。タイヤが空回りして、道路をグリップできなくなったら、あなたはどうするだろうか。車の運転をよくご存知の方なら、ギアを低い方へシフトする、つまリシフトダウンするはずだ。コミュニケーションで心を動かそうとするなら、同じことをすればいい。コミュニケーションが空回リするならば、まずはシフトダウンが必要なのだ。ところが「人に話を聞かせたい」「思いどおりに動かしたい」という気持ちが強くなるほど、人はアクセルを踏み込んで、どんどんシフトアップしてしまう。
2.相手をその気にさせる最強の質問
あなた:「実現は不可能だけど、もし実現できたらすばらしいと思うことはありますか?」
相手 :「それは○○○です」
あなた:「どうすればそれは実現できるでしょうか?」
 この質問の効果は、消極的で自分のことだけしか考えられない状態の人を、積極的な姿勢に変えることだ。この質問に答えようとすると、不可能な夢物語と思っていたことを、実現可能ととらえ直して、実現の方法を考える方向に進むことになる。
3."目線を合わせる"ための3つのポイント
●上から目線"にならない
 相手を上の立場から説教したとしても、相手は防御を固めるだけで、まず効果は見込めない。少なくとも、本心は聞けないだろう。
●問題を指摘せず、質問する
 ケーススタデイでも父親は「友だちが問題を起こすのを止めなくちゃだめだ」などと自分の意見は言わず「問題を起こしそうなやつがいるだろ?」「もしそうなったらどうする?」と質問をしている。つまり、気持ちのうえでも、話のスタイルでも、目線を合わせる姿勢をとったのである。
●会話を続け、相手の本心を引き出す
 質問をすることで会話を続ければ、相手と共有できる情報を増やすこともできるだろう。
4.パワー・サンキュー
 人に何かをしてもらった時に「ありがとう」と言えるのはすばらしい。それが礼儀というものだ。ただ、それだけでは、実務的コミュニケーションの域を出ない。(中略)
 受けた厚意への感謝が大きいなら「ありがとう」を超える言葉で応える必要がある。それが「パワー・サンキュー」である。パワー・サンキューはそれを受けた方にも、感謝や尊敬の気持ち、親近感がわき上がる。
<パワー・サンキュー 3つのステップ>
・感謝する
・相手の努力を認める
・変化を伝える