いつもの週末、実家に行く。.「ロスジェネの逆襲」を読了。

◆「ロスジェネの逆襲」(池井戸 潤著・http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8D%E3%81%AE%E9%80%86%E8%A5%B2-%E6%B1%A0%E4%BA%95%E6%88%B8-%E6%BD%A4/dp/4478020507) を読了。
 この本は、テレビで話題になった半沢直樹シリーズ第三弾である。半沢直樹は証券会社に出向しているが、今回のストリーでは、企業買収だけでなく粉飾決算が重要なポイントになってくる。
 ロスジェネは、バブル崩壊により子供時代は経済的に大きな影響を受けたり、就職氷河期による就職難や入社後は後輩の入社が遅く雑用の期間が長かったなど、不景気の影響を大きく受けた世代である。ロスジェネの中には、IT関連で起業を行い成功している社長が多く、原作では対比として丁寧に描かれている。大手銀行は系列の証券会社を保有しているが、半沢直樹は銀行から証券会社への出向となっており、舞台は証券会社に移っていく。ロスジェネの逆襲は、上場企業が証券会社や銀行から調達した資金を用いて、企業買収を行っている点でも面白みがある。原作は銀行と証券会社の関係性を描いており、半沢直樹やIT企業の社長などの若手が活躍している姿は面白い。東京セントラル証券 半沢直樹出向と出世破綻を見ると、ロスジェネの逆襲を実写化するとどういった展開になるのかも楽しみ。
 今回は半沢自身 → 同僚 → 部下と前作からのポイントが移り変わっていく中で、この作品は一番メッセージ性が強い。現にそのメッセージを半沢から受ける若い部下の印象は最初と最後では大違いである。そういう「成長」という点においては彼が主人公だといっても過言ではない。しかし、それと並行してスケールと威厳を増した半沢はもう止められる人間がいないと思わせるぐらい段違いに強い。やはり、そこがぶれなく面白い。本当にわくわくする。前2作に比べて半沢節があまり聴かれないが、その分はロスジェネ世代の森山の恨み節を用いての世代論が語られる。今まであまり描かれなかった中野渡頭取の素顔が垣間みられ、しかも半沢に対する最大限の賛辞に喝采を叫んだ読者も多いのでは?『実力もないのにプライドだけ高い奴ってのが、一番手に追えないんだ』。

(10月19日生まれの偉人)
◆高橋荒太郎(たかはしあらたろう、1903(明治36)年10月19日〜2003(平成15)年4月18日)は、昭和時代の経営者。
香川県出身。神戸商業補習学校卒。小学校卒業後,商店づとめをしながら勉強。朝日乾電池に入り,昭和4年常務。11年業務提携先の松下電器(現パナソニック)にうつり,専務,副社長をへて,48年会長。松下幸之助の片腕として,フィリップス社との提携,経営管理体制の整備につとめた。

<昨年の今日>http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20121019