「ビジネスマンの働き方」を考える。まさに、これからの生き方に通ずる。

◆『ビジネスをつくる仕事』(小林敬幸著・講談社現代新書 2229)
 http://www.amazon.co.jp/%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8B%E4%BB%95%E4%BA%8B-%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%B0%8F%E6%9E%97-%E6%95%AC%E5%B9%B8/dp/4062882299
 「ビジネスをつくる」仕事とは、起業や新規ビジネスの立ち上げ、だけではなく、新しい顧客の開拓、新しいシステムの開発・運用、新しい組織のつくりかた、プロジェクト立ち上げ、新規提携先との事業 などのすべてを含む。いまのビジネスマンに必要な基本から実践を網羅。
<参考>これからのビジネスマンの働き方を提案する・・・『ビジネスをつくる仕事』著者・小林敬幸氏インタビュー
 (http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37284
【ポイント】
1.現場で見てアウトプットする
 新しいビジネスをつくるのにいちばん大切なのは、一言で言うと、よく見て、いろいろやることである。野球にたとえるなら、バットをよく振ることと、よく球を見ることである。素振りで振り、ネクストバッターズサークルで振り、バッターボックスでも振る。そして、人のプレーに野次を叫んだり、バッティング理論を暗記したりするよりも球をよく見ることが大事である。ましてや、監督のほうばかり見ていては、ボールにかすりもしない。さらに、球を見るのとバットを振るのを同時にしないと向上しない。大リーグの偉大なプレーを見てばかりいるよりも、街中のバッティングセンターで球をたくさん打つほうが上達する。
2.「川の真ん中・船の端」を狙う
 どの業界、分野においても、独自の特殊な視点や商習慣があるものだ。長年その業界にいるとそれが当たり前になってしまうが、世の中全体から見ると、なんとも特殊で非合理的なものがある。そういうものを新しいビジネスの機会と捉える。その業界の中では、端っこだけれども、社会全体で見ると実は、むしろ真ん中にあるビジネスをやってみる。自分の周囲からは「変」に見られるが、外から見ると「普通」のものをする。たとえると、船の端っこだけれども、実は、その船が浮かぶ川の真ん中のような場所、つまり「川の真ん中・船の端」を狙うのである。
3.社会のひずみを狙う
 新しいビジネスの一番有望なタネを得やすいのは、日頃自分が仕事をしていて気付いた社会のひずみを狙うものだ。規制、規制緩和、技術革新、情報の非対称性に伴う市場のゆがみにより不当に高い利益を享受しているかに見える業界・商品などがあれば、それを適正にもっていこうとする商売は、成り立ちやすい。社会の嫌な面を見たと思って目をそむけるよりもむしろ身を乗り出して調べたほうがいい。ビジネスをつくる人にとっては、社会のゆがみは、飯のタネである。この点は、へッジファンドも、紀伊国屋文左衛門も一緒だ。ライフネット生命も、生命保険市場のゆがみから生まれたともいえる。
4.セクシーな企画書の書き方
●一文の平均文節数をできるだけ少なくする。修飾語をできるだけ使わない。
●情五分、利三分、理二分と心得る。
●みんなが飛ばし読みするであろう文章も、適切な量を入れておく。梱包材のようなものだ。たいした意味はないが、なくなると、大切な中心のものが危険にさらされ、壊れてしまう。
●結局、一言で言うと、「におうような文章」をよしとする。「かおるような名文」や「透明無臭で美しい論理」は、願い下げだ。
5.さらに悪い事態に進むのを食い止める方法をあらかじめ準備しておく
 損失の最小化という点でいうと、どういうわけか、日本の社会は、水際防御に固執し、縦深防御が苦手である。かつての日本軍も原発も、困ったことが起こる手前で完壁に防ごうと全力を注ぐが、一度そこを破られると、抵抗する手立てを準備していない。想定を超える悪い事態が起こっても、さらに悪い事態に進むのを食い止める方法を、あらかじめ準備しておくということが大切だと思う。潔く散る美しい作戦よりも、奥行の深い泥臭い作戦のほうが、現実にはより有益だ。これもまた、想定を超える偶発災害のダメージを最小化するという点で、偶然を取り込む1つの発想と言えるだろう。
6.お金を得るところと、客を集めるところを見誤らない
集客装置は、それこそお客を集めるために積極的に目立つようにしているので、ビジネスをその集客装置だけで分類しがちだ。一方で集金装置は、目立たぬようにしずしずと動いているので、気がつきにくい。だからと言って集金装置を見なくては、ビジネスの表面を見ているだけだ。多くのビジネスでは、集金と集客は別であり、いいビジネスは、それがうまく組み合わされている。実際、人は集まるけれど儲からないビジネスというのもよく起こる。
7.成長率が低い業界でもビジネスの可能性はある
「規模が違うと全く別のビジネスである」という視点からいうと、業界全体の成長率が低いからといって、そのビジネスの可能性をすぐに否定するのは間違っている。業界の80%のシェアを持っている会社なら、毎年10%ずつ縮小している業界規模の影響をもろに受けるだろう。しかし、数%程度滅少している業界で、シェアが40%に満たない事業者が、自らの不調を業界規模の縮小のせいにするのはおかしい。
8.その他 ・・・
●失敗の隣に成功がある/「成功の隣に成功はない
●起業しない勇気と、起業する勇気を同時にしかも強く持つ
●現実の認識はアナログに、現実の行動はデジタルに
●別れの理由は、出会いのときに気付いているもの。

◆『売る力 心をつかむ仕事術』(鈴木敏文著・文春新書)から
【本の概要】
セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長兼CEO、鈴木敏文さんの最新刊。
アマゾンの内容紹介から。
「皆が反対することこそ成功する」――40周年を迎えるコンビニ業界トップのセブン-イレブンをはじめグループ総売上高九兆円の巨大流通企業、セブン&アイ・ホールディングスを率いる鈴木敏文さん。本書では秋元康佐藤可士和牛窪恵、鎌田由美子、小菅正夫各氏ら異分野の人々の考え方を引きながら、「『お腹がいっぱい』の人に何を食べさせるか」「海辺の店でなぜ、梅おにぎりが大量に売れるのか?」「人は『得』より『損』を大きく感じる」「動物の『絞り込み』で成功した旭山動物園」といった身近な話題を基に独自の経営理念を分かりやすく説いています。(http://www.amazon.co.jp/%E5%A3%B2%E3%82%8B%E5%8A%9B-%E5%BF%83%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8B%E3%82%80%E4%BB%95%E4%BA%8B%E8%A1%93-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%B0%E6%9B%B8-939-%E9%88%B4%E6%9C%A8/dp/4166609394
【ポイント】
1.「普遍的な笑い」は「視点」が面白い
 秋元(康)さんによれば、お笑いの世界でも、「普遍的な笑い」と「飽きられる笑い」があるといいます。その年の流行語になるような言葉を生み出しても、それに頼っていると、その言葉が飽きられたら終わりです。それが「飽きられる笑い」です。一方、たけしさんなどは、そういう「飽きられる笑い」ではなく、いま話題になっていることを「ネタ」にして、それを自分の「視点」を通して、何か面白いことをいったり、やったりしてくれる。そのお笑いの「視点」が面白いので飽きられないというのです。
2.「上質さ」と「手軽さ」を両立させる
 ポイントは「上質さ」と「手軽さ」という、タテとヨコ、2つの座標軸で市場をとらえたとき、競合他社も進出していなければ、誰も手をつけていない「空自地帯」を見つけ、自己差別化をすることです。青山フラワーマーケットは、家庭用に販売する花について、イべントで使うようなおしゃれな花という「上質さ」のなかに、従来よりずっとリーズナブルな価格という「手軽さ」をちりばめることで、手つかずの空白地帯を見つけ出し、これまでになかった新しい価値を生み出しました。その着眼が見事です。その空白地帯は、お客様から見れば、まさに自分たちも気づかなかった潜在的ニーズの真芯をつかれたような、いわば、スイートスポットのゾーンだったわけです。
3.新しいことに挑戦しようとするとき、周囲から反対される理由
「教科書では『戦略とは人と違うことをやること』とあるのですが、しかし人と違っていても、儲からないのでは意味がありません。ですから、正しくいえば、人と違った儲かることをやりなさいということになりますが、『儲かるいいこと』だとすぐにわかることだったら、とっくに別の誰かが思いついているはずです。そう考えると、本当に新しい産業を生み出すイノべーターが出てきた場合、その人が始めようとしていることは、多くの人からはすぐに、『儲かるいいこと』とは受けとめられないのではないかと思います。鈴木さんがセブン-イレブンを始めたときが、まさにそうだったのですね」(楠木建氏)
4.「お客様のために」はウソ、「お客様の立場で」が正しい
 (トーハン時代の)上司たちは、新刊目録を多く載せるほうが「お客様のために」なると考えました。しかし、それは、本をできるだけ多く売るという自分の立場がまずあって、そのうえでお客様のことを考えている。つまり、結局は売り手の立場で考えていたのです。その根底には、過去の経験にもとづいた「読書家とは本をたくさん買う人のことだ」「だから読書家は新刊目録を求めている」という思い込みや決めつけもありました。
 つまり、「お客様のために」といっても、「売り手の立場で」考えたうえでのことであり、そこには、過去の経験をもとにしたお客様に対する思い込みや決めつけがある。これに対し、「お客様の立場で」考えるときは、ときには、売り手としての立場や過去の経験を否定しなければなりません。
5.「ほしいもの」を聞いても「本当にほしいもの」は出てこない
 このように、セブン-イレブンには数々のヒット商品がありますが、もし発売前にアンケート調査などを行い、「こんな商品が出たら買うか」と質問していたら、「買わない」と答えたであろうと思われる商品も少なくありません。それが、商品となって店頭に並んだ途端、お客様は手を伸ばすのです。消費が飽和したいまの時代は、消費音は商品の現物を目の前に提示されて、初めてこんなものかほしかったと潜在的なニーズに気づき、答えが逆転します。現代の消費者は「いうこと」と「行うこと」が必ずしも一致しない。消費者自身にも具体的なイメージをもって「こういう商品がほしい」という意見がない時代なのです。
6.消費者は「理屈」でなく「心理」で動く
 リーマン・ショックと同じ年、夏に原油の記録的な高騰により、ガソリン価格が上昇したときの「ガソリン割引券」も好評でした。期間中のお買い上げ金額の合計5千円ごとに、ガソリン1リットルにつき10円の割引券(上限50リットル)をプレゼントする。これも理屈上は10パーセント引きで、一般的な経済学ではどちらも効用は同じと考えます。しかし、結果は大好評で期間中の既存店全店の売上高は前年同期比で2割増えました。単なる値引きではこうはいきません。
7.「現金下取りセール」が大ヒットしたわけ
 初め、わたしがこの企画を提案すると社内からは、消費税分還元セールのときと同様に、「割引きをしても簡単に売れない状況なのに、割引きもせず下取りするだけではお客様は反応しないだろう」と効果を疑問視する声が返ってきました。それは理屈で考えたからです。
 しかし、人間は心理や気持ちや感情で動いています。どの家庭も、タンスのなかは服でいっぱいです。着なくなった服もなかなか捨てられない。それは本能的なもので、捨てると損をするという心理が働くためでしょう。ならば、タンスのなかを空ける仕かけを考えればいい。下取りならば、着なくなった服に価値が生まれ、損はしないから、お金に替えて買い物をしようと思う。わたしはその心理を読んだのです。
8.こーひーについて
・豆はハイグレードなものだけを厳選
・コーヒー鑑定士の風味確認を経た素材を使用
・甘味をより引き出すため、2段階の温度で2工程かけて煎り上げるダブル焙煎を行う
・その豆を各店舗にチルド温度(10度以下)で配送
・抽出に最適な軟水を使用
・1杯ごとに挽きたてをペーパードリップ  こんなのを100円とかでやられたら、それは人気も出ますよ。
 *いかに、消費者心理を読むか。個の企業のすごさを垣間見た。ただ、企業と言うより、鈴木敏文さんのすごさである。

(10月22日生まれの偉人)
◆清水 達夫(しみず たつお、1913年10月22日 - 1992年12月28日)は東京府出身の編集者。マガジンハウス創業者、同名誉会長。戦後、1945年、岩堀の誘いで「平凡」誌を創刊。次いで「週刊平凡」「平凡パンチ」「anan」を創刊し、戦後を代表する大雑誌に育て上げて、雑誌の神様と呼ばれた。

<昨年の今日>http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20121022

<本の紹介>
ライフネット生命社長の常識破りの思考法 ビジネスマンは「旅」と「読書」で学びなさい!
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4820718002/hatena-ud-22/ref=nosim
 「ライフネット生命社長の常識破りの思考法 ビジネスマ...」を含むはてなダイアリーの人気ブログ http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20101229
レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのかhttp://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822249840/hatena-ud-22/ref=nosim
佐藤可士和の超整理術 (日経ビジネス人文庫http://d.hatena.ne.jp/asin/453219587X
・百年たっても後悔しない仕事のやり方 http://d.hatena.ne.jp/asin/4478015651
 「百年たっても後悔しない仕事のやり方」を含むはてなダイアリーの人気ブログ http://d.hatena.ne.jp/potato_gnocchi/20130429/p1
・直球勝負の会社―日本初! ベンチャー生保の起業物語http://d.hatena.ne.jp/asin/4478008876