二週続きの土曜日仕事です。伊豆大島、土砂災害から今日で1ヵ月。関東南部震度4.

◆先週に行き続き、今日も仕事です。
◆台風26号による土砂災害に伊豆大島が見舞われてから、今日で1ヶ月が経過し、最大1400人態勢で活動していた自衛隊が昨日全て撤収した。またこれまでに集まった義援金は約1億5000万円になり、住宅再建などに行われる予定だ。そして昨日までに35人の死亡が確認されたが、以前4人の安否がわかっていない。午後1時から島民、関係者で黙とうがされた。早期の復興を願っている。
◆午後8時44分頃に、関東を中心に大きな地震があった。関東南部震度4。最近の地震に不安を覚える。なんとなく、首都圏地震の予兆?

◆「海賊と呼ばれた男」(百田尚樹著・講談社
 出光興産を創業した1885年(明治18年)生まれの出光佐三の95年の激動の人生を描いた小説。2012年7月に刊行されたこの小説は、本屋大賞を受賞した。「太平洋戦争後の日本人のこと」とか、「人が企業で働くということ」について、あれこれ考えずにはいられませんでした。太平洋戦争後、敗戦国となった日本は、すっかり「アメリカの言いなり」になっていて、それがずっと今まで続いていると思い込んでいたのですが、僕が生まれる前、昭和20〜30年代の日本人には、こんな「気骨のある人」がいたのだなあ、と。戦争によって、力差を見せつけられたあとでも、欧米から敵視されているイランから石油を輸入しようとした出光の行為に対して、快哉を叫ぶくらいの「意地」が、当時の日本人にはあったようだ。いま、同じようなことを日本の会社がやったら、「国益に反する」と、日本中から大きなバッシングを受けるのではないでしょうか。日本人が骨抜きにされたのは「戦争に負けたから」だけではなくて、「戦争に負けたあと、自分たちで奴隷根性を植え付けていった」のではないか、と考えさせられた。
 出光は、戦後、石油を扱えない時期も「社員は家族だ」という佐三さんの考えのもとに、社員を「ひとりも会社側からはクビにすることなく」経営を続けてきた。もちろん、仕事もないのに社員を養っていくのは困難であり、ラジオの修理や「旧海軍の残油浚い」というような仕事を請負いながら、なんとか生き残りをはかっていくが、この「旧海軍のタンクの底にわずかに残っていた、泥混じりの残油さらい」という仕事などは、読んでいると、まさに「3K(きつい、きたない、きけん)労働」であった。きついわりには、儲かるわけでもないし、今後の確固たる保証があるわけでもない。イランへのタンカーの派遣は、この本のクライマックスだが、会社にとっても、タンカーを運航した人たちにとっても、かなり危険な賭けでしたし。結果によっては、「歴史的な愚行」として語り継がれていたかもしれない。
 ところが、出光の社員たちは、こういう「3K労働」を活き活きとやっていた。「仕事がない時代」であり、「食べさせてくれている会社」への恩返し、という気持ちはあるのでしょうが、それにしても、いまの時代との「働くことへのモチベーション」の違いには驚かされる。「この会社を、そして日本を復興していくのだ」という意思の強さにも驚かされる。もちろん、途中でイヤになってやめてしまった人たちも少なからずいたようである。ずっとこの会社に残り、会社を支えてきた人たちは、みんなキツイ仕事もしているだろうし、休みもそんなになかったようだが、すごく充実した人生を送ったようにみえる。仕事の内容とか労働条件を考えれば、いまの「ブラック企業」も裸足で逃げ出すくらいなのに、そこで働いている人たちは、幸せそうにみえる。出光佐三という、「異端の起業家」の物語であるのと同時に、「働く」ということについて、問いかけてくる物語でもある、まさに、「やりがい」があれば、どんなにキツイ仕事でも、人は喜んで働けるのではないか。今、失われてしまったのは、その「やりがい」ではないのか。「こういう人の元で、働いてみたい」
物語のなかでも、そういう人って、そんなに出会わないものだが、この小説には、そう感じさせる「店主」がいる。「ガソリンなんて、どこの会社も同じようなもんだろ」と考えていたけれど、これを読んだら、出光のスタンドで給油しようかなって思う。
 このように、出光佐三というカリスマがそう生きてきたのだろうか。様々な出会いがあり、リーダーとしてのすばらしさをみる、人との出会い(日田重太郎)、石油という魔物の商品に着目したこと、戦争など激動の歴史の中で翻弄される佐三、何度も訪れる危機で出会う僥倖、アメリカと日本官僚と同業者とのえんえんたる戦い、家族と呼ぶ社員たちの奮闘、企業よりも日本を優先する思想、お世話になった人たちへの義理堅さ、危機に際し原則と方針を明確に指し示すリーダーシップ、禅僧・仙がいの絵との遭遇と蒐集(月は悟り、指は経典)、丁稚奉公の主人や神戸高商校長の影響。このような人物が日本の石油業界にいたことの幸運を感じずにはられない物語だった。NHKの「プロジェクトX」を大きなスケールとして実行した男の物語であり、血湧き肉躍る書きっぷりは素晴らしい。このような真の日本人が様々な分野と業界にいたのだろう。その日本人が礎となって今日の日本がある。なぜ今、受けているのだろうか。「日本人」というキーワードが、じわじわと時代に沁み出てきているのではないか。混迷する時代を生きる指針を真の日本人に求めているのではないだろうか。そうやって眺めてみると、最近話題となった「半沢直樹」などそういった流れの中にあるのかもしれない。彼の人生をみると、もしかしたら人類は石油など手にしないほうが幸せだったのではないだろうかと感じざるえない。

◆生活の党の小沢代表は岩手県奥州市の記者団に対し、特定秘密保護法案について「基本的人権を侵す恐れがあり、少し修正したからよしとする法案ではない」と述べ、反対する考えを改めて示した。特定秘密保護法案をめぐっては、自民・公明が“少しでも多くの賛成を得て今国会で成立を”と日本維新の会みんなの党と修正協議を行っていた。

(11月16日生まれの偉人)
◆石田 退三(いしだ たいぞう、旧姓澤田、1888年11月16日 - 1979年9月18日)は、元豊田自動織機製作所(現豊田自動織機)社長、元トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)の社長・会長・相談役。戦後のトヨタ自動車http://toyota.jp/)の建て直しをし、豊田英二(http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20130912)と共に「トヨタ中興の祖」と呼ばれる。

<昨年の今日>http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20121116