来春都知事選。行政に期待することは。

◆まず、日本経済状況をみると、極めて厳しい状況にあり、都民生活のあらゆる側面に深刻な影響を与えている。2000年対比。素材原料250.1。中間材114。最終財86.9。(内、耐久消費財59.3。非耐久消費財106.2)。川上インフレ、川下デフレ。この20年はストックからフローへ位相転換。土地と株を持つ資産家の没落。資産デフレ。勤労者家計(可処分所得)はここ10年で年間60万以上の減少だった。年収200万以下の労働者は34%に上っている。中間層意識は崩壊。貧困化が進行。日本の貿易構造をみると、2012年は米国12.8、中国19.7、大中華圏28.3、アジア49.2。シンガポールの2012年の一人当たりGDP5.5万ドル。香港3.2-3.3万ドル。台湾3万ドル超。日本3.8万ドル。アベノミクス。産業間移動。製造業はマイナス250万人、建設業はマイナス145万人で計400万人。この人々が転移しサービス業はプラス415万人。雇用は維持されているが、給与・条件が悪い。120万円から145万円低い。チープジョブが増えている。介護、運転手、。規制緩和といって首切りが地涌にできるという流れになってきている。
一方、一昨年の総選挙で、消費税導入問題で、鳩山政権、菅政権、野田政権と三年続いた民主党政権から、新たに自公政権が誕生した。民主党政権は、「消費税は導入しない。」ことを公約に「政権交代」を果たしたわけであり、沖縄問題、東日本大震災の対応等の問題も相俟って、国民の信頼を失い、政権から脱落し、現安倍政権が誕生した。自公民三党合意である消費税の実施に向け、アベノミクスとして、2%のインフレ目標円高の是正などによる大胆な金融政策、大規模な公共投資(国土強靱化)などのよる機動的な財政政策、日本経済再生本部を設け、さらにその下に経済財政諮問会議産業競争力会議を設置し、民間投資を喚起する成長戦略という三つの柱による円高デフレ脱却を図り、本年4月の消費税値上げ実施に向け、昨年11月末頃から積極的な経済対策を検討し、補正予算化している。しかし、現実的には具体的な成長戦略が描けず、実際には給与も上がらず、「格差と貧困」の問題を増幅しているにすぎない。
 一方、地方自治体をみても、東京都を始め、大阪府など、地域状況を踏まえた特区構想を掲げ、また、被災地復興に向けた東北3県の動きも活発化するとともに、また、熊本県の“営業部長”として活躍する「くまモン」や愛媛県今治市の「バリィさん」、ゆるきゃらグランプリ2013「さのまるくん」、(参考までに申し上げるまでにも第10位である島根県の「しまねっこ」)など、ゆるキャラを使った地方自治体のPRが人気であり、また一方で、強力なゆるキャラを持たない県がこぞって始めたのが、クスッと笑える「すべらないコピー」を前面に打ち出し、お堅い役所のイメージを覆すネット動画で県産品や観光地を売り込む新手法である。「このたび、香川県は『うどん県』に改名いたします」――。香川県出身の俳優、要潤が登場するネット動画が県のホームページに登場したのは、2011年10月。この大胆な“改名宣言”がネット上で話題になり、特設ページへのアクセスが2日間で21万件と、県のサーバーが一時ダウンするほど集中したそうである。 香川県は過去に、「『高松県』なんて言わないで」とお願いする自虐コピーを採用したそうであるが、今回はストレートに県内ナンバーワンブランドの讃岐うどんをネタにした。誰もが思っていることを当事者が声高に言う、「開き直り」が受けた形である。メインコピーも『うどん県。それだけじゃない香川県』と続け、さらに、2番手で得した「おしい! 広島県」2,012年3月に始めたのが、「おしい! 広島県」キャンペーンだ。「生産量日本一なのに、全国的には知られていない…。広島レモン」「日本ではなく、世界で先に評価された…。熊野化粧筆」など、一見自虐的だが、実は自信たっぷりのコピーが並ぶ。事実、おしい! 広島県キャンペーンは、かなりの経済効果をたたき出している。例えば、県産レモンをカゴメがジュースに採用して740tを出荷。広島産カキはローソンがカキフライに使って約150t、ワタミが「おしい! 広島カキ」をメニュー化して65トンを仕入れた。このように、ゆるきゃらや「うどん県」などの例でわかるように、競って、積極的にまちおこし、地域おこしに取組んでいる。また、地元産の物産を送付するなどの地元産業の振興を図り、ふるさと納税により、財源確保を図っている自治体も多数ある。
 地元を支える行政サービスの財源である税の役割はまさに従来にもまして大きくなっている。平成19年度の所得税から住民税への税源委譲以降、すべての地方自治体が、地方税収確保に向けて積極的に様々な手法で取組んでいる。また、産業廃棄物税、森林環境税、別荘等所有税、核燃料税、宿泊税など、自治体が目的税を条例化するとともに、「固定資産税の新築減免制度」の導入など、税を政策手段として積極的に活用してきている。まさに、自治体職員が一丸となって、「税収確保」に取り組んできている。まさに、「税は政」ということが具現化されてきている。ところが、消費税増税後もさらに進むと予想される地方税収の偏りを是正するため、法人市民税の一部国税化である。さらに、地方消費税導入時に、地方消費税の配分方式が住民の生活エリアよりも業務・商業エリアに手厚い配分方式で、しかも地方消費税の創設と住民税減税が同時に行われるため、生活中心の都市では大幅減収、業務・商業拠点都市では大幅増収という形で偏りが進んだ。わが国の地方税制は「煙突が増えれば税収も増える」とされた戦後高度成長時代以降、生活エリアよりも業務・商業エリアに税源が集中しやすい仕組みが続いてきたが、地方消費税創設時も見直しはされなかった。消費税の仕組み上、止む得ない状況であり、さらに、税収の偏りは進み、特に市町村間では著しいものになっている。
 グローバル経済下、わが国が国際競争力を維持していく過程で、業務・商業機能が大都市、特に東京になお一層集中することは避けがたいのかも知れない。「国家戦略特区」や2度目のオリンピック誘致は、それが国策でもあることを示している。分権・地方財政自立を共通目標に地方が主体的に取り組んだ「三位一体改革」で、地方は、3兆円の税源移譲と引き換えに4.7兆円の国庫補助金削減を受容した。その時点(2007年度)で、国が地方に配分する地方交付税補助金等の総額は26兆円程度だったが、わずか4年後の2011年度には37兆円に膨らんでいる。地方は、一部大都市等の移管により、全体として国への財源依存度を高め、国は巨額の負債を積み上げて対応している。この構造が持続可能とは思えず、国の負債のツケは、早晩、地方財政を直撃するおそれが強い。わが国では、社会保障分野を含む主要な公共サービスを地方が担う。従って、偏りが少なく、国への依存度の低い地方税財源制度の構築は、国と地方双方の行財政の安定のみならず、高齢社会下の国民生活の安定のためにも不可欠と私は考える。消費税の配分に限らず、地方税制全体、また地方交付税のそもそものあり方など、地方税財源問題について、地方とそこに住んでいる国民すべてがわが事として正面から向き合っていく時期にきているのではないだろうか。単に向き合うだけでなく、日本を変えていかなければならない。これから、少子高齢化・人口減少社会を迎え、このままいけば、日本は世界の中でも貧困国になるであろう。それを防止するのは、「少子化」からの脱却しかほかに道はない。
 まさに、脱少子化のために、雇用の創出・所得の引き上げ、保育・教育・医療の充実など様々な総合的な政策をそれぞれ自治体で競っていくことが大事であり、増税でなく、増収効果にもつながり、日本経済に新たな活力を生み出し、景気対策にもなる。婚活パーティが人気のようだが、今こそ「結婚してはじめて子どもが誕生する」モノであり、自治体自ら競ってもよいのではないか。まさに、「今でしょ。」それぞれの自治体が脱少子化に向かうことにより、日本経済の真の明るさが見えてくるように思える。10年後、20年後の日本を担うことにあんる。全国的にも高齢化が進む東京こそ、オリンピック後をにらみ、脱少子化に向けて取り組んでほしい。まさに、世界の大都市東京を描く知事の誕生を望みたい。これからの行政に期待したいものである。

(今日の出来事)
日本レコード大賞・・・『EXILEPRIDE〜こんな世界を愛するため〜』EXILE。三年ぶり四度目のEXILE

(12月30日生まれの偉人)
◆巌谷 大四(いわや だいし、1915年2月30日 - 2006年9月6日)は、文芸評論家。童話作家巌谷小波の四男として東京に生まれる。早稲田大学英文科卒。戦時中日本文学報国会で事務をとり、戦後鎌倉文庫の編集者から、1950-56年『文藝』編集長、『週刊読書人』編集長を務め、1965年から文筆活動に入る。父の評伝『波の跫音』がある。1989年勲三等瑞宝章受章、1991年大衆文学研究賞受賞。
 文芸編集者としての経験から文壇裏面史に詳しく、大岡昇平『花影』のモデルが、大岡の愛人で、以前は河上徹太郎の愛人だった坂本睦子だと明かしたのも巌谷である。長兄・巌谷慎一は劇作家、次兄・巌谷栄二は児童文学研究家で、栄二の息子で甥の巌谷国士はフランス文学者という文学者一家である。
◆溝畑 茂(みぞはた しげる1924年12月30日 - 2002年6月25日 )は、偏微分方程式論を専門とする数学者。大阪府生まれ。1944年に第三高等学校理科を卒業。1947年に京都帝国大学理学部を卒業。1954年から1957年にかけて、フランス政府給費留学生としてフランスに留学。京都大学名誉教授。師は岡村博教授。
 関数解析的手法を用いた偏微分方程式論を日本に持ち込んだ泰斗。特に双曲型の偏微分方程式を精力的に研究し、Lax-Mizohataの定理を初めとして多数の業績を残している。1962年に出版された論文で考察された作用素は、線形偏微分方程式の局所可解性の研究において基本的な例である。著書の『偏微分方程式論』は英訳され、世界的な名著として知られている。1966年に松永賞を受賞している。
◆] 開高 健(かいこう たけし、1930年12月30日 - 1989年12月9日)は、日本の小説家。昭和29年寿屋(現サントリー)に入社,広告コピーに才能を発揮。33年「裸の王様」で芥川賞ベトナム戦争特派員の体験をもとに「輝ける闇(やみ)」「夏の闇」などを発表。ルポルタージュ、エッセイなども精力的に執筆した。牧羊子の夫。平成元年12月9日死去。58歳。大阪出身。大阪市立大卒。作品はほかに「日本三文オペラ」「もっと遠く!」など。
【格言など】成熟するためには遠まわりをしなければならない
茅ヶ崎市 開高健記念館 http://kaiko.jp/kinenkan/

<昨年の今日>http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20121230/p1