『脱少子化』

◆1941年1月22日は「人口政策確立要綱」が閣議決定。1夫婦の出産数を平均5児とすることを目標。「生めよ殖やせよ」。それが、戦後のベビーブーム以降人口抑制に切り替わり、今日の少子化問題が起きたのかも。若い世代の結婚観、仕事観が変化してきて、「結婚しない女」「結婚できない男」と言う言葉が流行し、今日に至っているかも。まさに、いまこそ『脱少子化』を声高らかにさけばなければならない時期。2020年東京オリンピック後が大きなヤマ。2030年には日本の人口が1億を割るというのに、時に世界の人口は70億をこえているにもかかわらず。これからを見据えた対策的な行政施策ではなく、これからの日本をどうするのかということを考えたら『脱少子化』総合対策しかないであろう。
 安倍政権は少子化国難と位置づけている。最近では少子化対策のために全国都道府県に「少子化危機突破基金」を創設する案をまとめたり、「婚活・街コン議員連盟」を設立したり、その動きは活発である。しかし不思議と少子化対策としての「移民」についてはあまり議論がなされていない。一国の経済成長率=人口成長率+一人当たり実質GDP成長率(労働生産性)であることから、少子化問題としての移民政策はわが国の経済成長にも関わる避けては通れない議論である。一方で移民受け入れには反対する声が多いのも事実である。私自身も、できることなら移民を受け入れることなしに脱少子化を実現してほしいと思っているが、ここで改めて移民に頼らず脱少子化は可能かを考えてみたい。
 少子高齢社会と人口減少が同時に進んでいるという危機にある中で、仮に移民に頼るとしたら受け入れなくてはいけない人数はどの程度なのだろうか。2000年に国連が公表したレポート(NEW REPORT ON REPLACEMENT MIGRATION ISSUED BY UN POPULATION DIVISION)によると、生産年齢人口(15−64歳)維持を目標とするシナリオだと1995-2050年の間に約3,350万人の移民受入が必要で、年間約60.9万人を受け入れ続けないといけないと当時試算している。総人口維持するためだけでも2050年までに約1,700万人、年間にして約38万人の受け入れが必要と試算している。また、内閣府が2003年に発表した「平成15年経済財政白書」でのデータによると、生産年齢人口(15-64歳)を維持するためには年間約64万人の外国人・移民の受け入れが必要であると当時試算している。総人口を維持するためだけでも約34万人が必要とのことだ。もちろん、どちらの試算も10年前のものではあるが、概ね生産年齢人口を維持するためには年間約60万人程度、総人口を維持するには年間30万人程度は最低でも必要ということが分かる。現在のわが国の外国人登録者数は全ての年代合わせても207万人であるから、いずれにしても、かなり途方もない人数を受け入れなくてはいけない。
 しかし、移民を受け入れたとしてもバラ色の未来が約束されているわけではない。それは実際に移民を受け入れた諸外国の事例を見ても明らか。例えば、日本と同じ少子高齢化に悩むシンガポールは今年初旬、2030年までに人口を1.3倍にし、新しい市民を年間15,000-25,000人受け入れると発表したが、約半年後には移民が原因で雇用などの分野で社会不安が起こり国民が激怒。外国人労働者への規制を強化し、受け入れの抑制せざるを得ない状況に追い込まれている。他の国々に目を向けてみても、米国も不法就労や不法滞在などの問題に常に頭を悩ませているし、移民先進国のイメージが強いスウェーデンすらも今年、移民暴動が起こっている。韓国の移民政策が若干の安定感を見せていると言われているものの、欧州、米国、アジアどの国も総じて移民問題に苦悩しているのが現状だ。
 移民に頼らず脱少子化を図ろうとすると、自力で出生率を上げなければいけない。わが国の出生率は2012年で1.41であり、人口維持に必要といわれている2.07を大きく下回っている状態だ。一般的に先進国になると出生率が下がっていく中で、実際に出生率を回復させた国はあるのだろうか。大まかに調べてみると、オランダ、スウェーデン、フランスの3カ国がある。オランダは1.53(1995年)が1.76(2011年)、スウェーデンも1.5(1998年)から1.9(2011年)、フランスも1.73(1993年)から2.03(2011年)まで回復している。これらの国々はいずれも移民大国であるものの注目に値するのではないか。共通するのは女性の育児と仕事の両立を可能にした環境整備にある。オランダだと育児休業中の100%所得保障や、労働時間に自由度を持たせ女性にとっては育児も仕事も両立させやすい環境を整えた。女性の労働力参加率が高いほど出生率が高い傾向にある。しかし、日本では女性の就業率が上がったのに出生率は下がっているのはなぜか。働く女性が仕事と育児を両立できる法環境、企業文化、価値観を整えてこなかったからと言える。こうしてみると、移民に頼らず脱少子化を可能にするには、「ヤマトナデシコ」に頼るしかないという結論に達してしまう。でも、まず結婚あり気の私の主張からすると、矛盾してしまうが、意識の問題では少子化からは脱却できないのではないかと考えがちである。

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◆今日は朝からデスクワーク。夕方、職場の新年会。飲み過ぎたが、帰宅後原稿整理。なんとか今週末には完成させたい。

楽天田中投手。ヤンキースと7年160億円で契約。

◆明日は都知事選挙の告示日。選挙権を有しない自分には発言する権利はないが、下手な発言をすると、公職選挙法違反になるので、結果が出るまであえて予想も批判も辞める。そうしないと暫くこのブログを公開できない恐れがある。とりあえず、下書き原稿に日付を入れて2月9日結果発表後に公開したい。

<昨年の今日>http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20130122/p1