『負けてたまるか!若者のための仕事論』

◆『負けてたまるか!若者のための仕事論』丹羽宇一郎著(朝日新書)から
 伊藤忠商事の相談役であり、前中国大使であった丹羽宇一郎氏が若いビジネスマン、ビジネスウーマンに向けて書いた本である。著者は、まず、人は仕事で磨かれると訴え、若者に「まずはアリのように、泥にまみれて働け」と喝破している。それから、「君はアリになれるか。トンボになれるか。そして、人間になれるか」という言葉を紹介。会社に入って最初の時期、20代から30代までは、「アリ」のように地を這っていくことが大事。がむしゃらに進み、失敗を重ねていく中で迎える30代前半、そこから40代前半までは「トンボ」のように広い視野で世間を見て勉強する。会社のリーダーに近づく40代後半から50代にかけては、血の通う、温かい心を持った「人間」をめざす。
 また、人は読書でも磨かれる。著者によれば、人間には本来「動物の血」が流れている。人類が誕生して以来、「動物の血」は200万年も脈々と息づいている。一方、神々の血、すなわち「理性の血」はたかが4000年から5000年にすぎない。どちらが勝つかといえば、間違いなく「動物の血」である。著者は、読書によって「動物の血」を抑制することができると主張している。 「最近では、親殺し子殺し、あるいは通り魔的殺傷事件が後を絶ちません。不満や愚痴がたまると、それを抑制できずにすぐにキレてしまう。自分で自分の感情をコントロールできなくなっているのです。これは、読書をしていないことも一因ではないかと私は考えています。」
 そして、最後に人は人で磨かれます。著者は「教養というのは相手の立場に立って物事を考える力があること」として、次のように述べている。「どうしたら教養を身につけることができるか。もちろん読書も大事です。そしてたくさんの人と接し、人間社会で揉まれることです。自分の思い通りにならないことも多々あるでしょう。そんなとき、なぜなんだろうと立ち止まってみる。自分に非はないかと謙虚に帰みる。」こうした経験を積んでいくことで、相手の立場に立って物事を考えるということがわかり、「教養」がつく。このように、人は、仕事で磨かれ、読書で磨かれ、人で磨かれる。

山縣有朋記念館 http://www.general-yamagata-foundation.or.jp/
川端康成文学館 http://www.city.ibaraki.osaka.jp/shisetsu/kyoikubunka/1317033511310.html

【G戦スコアボード速報】
巨人が5連勝。菅野がリーグトップの8勝目を挙げた。8回2死満塁で亀井が右前安打。右翼手岡島の失策もからみ、3点を先制した。菅野は8回途中まで無失点の好投。9回にマシソンが1点を失うが、最後は香月が締めた。この日敗れた2位広島とのゲーム差は4・5に広がった。

<昨年の今日>「今週も金曜日になりました。」http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20130614/p1