池井戸潤「銀翼のイカロス」を読む。御嶽山が噴火。

池井戸潤銀翼のイカロス」を読む。
 「銀翼のイカロス」(池井戸潤著・ダイヤモンド社http://www.amazon.co.jp/%E9%8A%80%E7%BF%BC%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%82%B9-%E6%B1%A0%E4%BA%95%E6%88%B8-%E6%BD%A4/dp/4478028915
 半沢直樹シリーズ第四弾。経営危機に瀕する巨大航空会社「帝国航空」を巡る人々が織りなす波乱万丈のストーリー。主役の半沢の勤める東京中央銀行の中野渡頭取は、政治家と政府系銀行、帝国航空再生タスクフォースとの駆け引きの中で決断を迫られる。その時の述懐が読者の心に響く。テレビの影響か、半沢直樹は堺であり、中野渡頭取は北大路の顔が浮かぶ。かなり、印象強かったのであろう。今回のシリーズの中では、政権交代時の民主党、経営危機に陥ったJALをモデルにしたストーリーは分かりやすくてリアリティもあり、また、金融庁の天敵・黒崎検査官が、新政権の官僚蔑視への反発という意図ではあるものの、半沢に悪徳政治家の弱点を示唆するクダリで、黒崎の人間くささが垣間見えたのと、「敵の敵は味方」「昨日の敵は今日の友」的な感じで面白かった。さらに、また、半沢が政治家を直接追いつめる場面は現実離れしたまさにファンタジーだが、白井大臣はあの大臣の「事業仕分け」等での思慮の浅い、パフォーマンス先行の言動を連想させている。政治に翻弄される政府系金融機関の難しさも共感できる。現代版チャンバラ劇であり、やはり「正義は勝つ」系のストーリーは、読了後の爽快感がたまらない。いつ、どのタイミングで「倍返しだ!」の台詞が来るかワクワクしながら読み進められる痛快ビズネス小説である。
 半沢と頭取の会話の中で、「信用は一日にしてならず。しかし失墜するのはあっという間だ」「我々が間違わなければ、必ず気持ちはひとつになれる。そのためには、決して逃げてはいけない。他人に転嫁することなく、真摯に全てを打ち明け、そして責任を果たしていくことが重要だ。若い行員たちの将来のために。この銀行の未来のために。それこそが我々経営者たる者の覚悟の在り処であると思う。」「頭取でなくなっても、私はバンカーであり続けるだろう。バンカーである以上、常に何かと戦っていなければならない。我々に休息などない」
「おもしろい、銀行員人生だったなあ。愉快に働かせてもらった」という先輩に、「オレも、いつか最後に、そういってみたいですよ」と半沢は本気で言う。「ひっそりと銀行を去ろうとも、この男が生きてきた道のりは尊く、そして光に輝いている。そのことを半沢は知っている。かくてまたひとり、勇者は消えゆき、後に伝説が残る。それを引き継ぐのがオレの使命だ。いま半沢は、はっきりとそう胸に誓ったのであった。池井戸潤のビジネス小説は、組織で真面目に働く人々や、彼らが属す組織そのものを愛情を持って描き出す。不正と保身に走る、どこにでも巣食っている人間には鉄槌を下すが、基本は日本のビジネスマンを応援する小説かもしれない。。

<今日のニュース>
特定外来生物セアカゴケグモが、住民の通報により発見され、10匹以上が確認された。東京都と三鷹市が調査を行い、それらしきものを採取した。セアカゴケグモは、1995年に大阪で確認され、現在は34府県で確認されている。東京・三鷹市の公園で、セアカゴケグモの調査を行った。駆除のため殺虫剤がまかれた。昨日も3匹発見されており、確認が行われている。クモに触れるだけで危険とのこと。どこから飛来したものか不明であるが、デング熱の蚊やこの毒クモなど、温暖化等の影響により、日本にも増えてくるのであろうか。不安を覚える。
御嶽山が噴火。きょう昼前、 長野と岐阜の県境にある御嶽山が噴火し、気象庁は火口周辺警報を発表して噴火警戒レベルを、入山規制を示すレベル3に引き上げた。7合目にある山荘の男性によると、12時頃、雷のようなドンドンという音が4、5回聞こえ、ハイが音を立てて降り、1〜2センチほど積もったという。