「プロフェッショナルとは?どんな時でも自分に厳しく自分を甘やかず、厳しい状況にあっても周りに優しくできるそんな人。」

◆『訪問管理栄養士の第一人者・中村育子』(2014年10月6日放送 22:00 - 22:50 NHK総合プロフェッショナル 仕事の流儀」より)
 糖尿病から認知症を患い寝たきりになってしまった妻を介護する85歳の男性は、自分で料理を行い食事を与えているが、低栄養が問題になっていた。こうした患者の食生活を訪問管理栄養士の中村育子さんが劇的に改善してきた。訪問管理栄養士・中村育子さんはムダ嫌いのため職場から徒歩8分の場所に住んでいる。中村育子さんが在籍する福岡クリニックは在宅医療に特化した国内でも数少ない病院。自ら車を運転し現場へ急行している。村上俊郎さんは腎機能が落ちたためタンパク質の摂取量を半分制限しなくてはならない。マグロの刺し身が好物だという村上さんに赤身の魚以外、タンパク質を含まない食事を摂取するという大胆な提案をした。中村さんは会社に戻り綿密なプランを立てた後、高カロリー低たんぱくの料理法を介護ヘルパーに教えた。自宅での食生活は事故管理が難しく再入院をする患者が少なくない。中村さんは1人1人の食生活を意外な食品をも使って編み出していた。
 中村育子の朝は早い。仕事に行くまでの時間で3食分の食事を作る。中村育子にとってここが実験の場だ。中村育子はあるもので作るようにしていると語った。そこで豚汁を作ることになった。中村育子は豚汁を作って実際にそこで試食した。中村育子は様々な状況にも対応できるよう選び抜いた道具を持ち歩いている。栄養状態を把握するアナログの体重計、食習慣の聞き取りに欠かせない食品サンプル、その中でもマヨネーズとサラダ油のサンプルがお気に入りの様子だった。
 6月20日に新たな依頼がきた。ひとり暮らしをしている多田アキエさんは強度の肥満症に陥って歩くこともままならない状態だ。中村育子はいつもどおり聞き取りから開始した。そこで友人と食べているおやつが肥満を悪化させていることがわかった。しかし多田さんはその時間を何よりも楽しみにしている。3日後に中村育子はプランについて語った。そこで酢の物を食べるようにアドバイスをした。中村育子は食事が楽しみなのでそれが苦痛になるようだと良くないと語った。1か月後体重は5キロ減らすことに成功した。中村育子さんは幼い時から料理が好きで暇さえあれば晩御飯を作る少女だった。大学で栄養学を学び病院などで管理栄養士として働いた。だが32歳の時、料理を褒めてくれた70代の女性にお弁当を届ける事となった。だが部屋にあがると心不全で息を引き取っていた。病状に合わせて献立を立てていれば亡くなっていなかったかもしれないと考え、思い切って病院を出て患者の家を訪問する事に決めた。しかし食材を使わず腐らせる患者や指導に耳を傾けず入退院を繰り返す患者など受け入れてもらず1人で悩み転職すら考えた。
 中村育子さんは脳梗塞の後遺症で麻痺の残る75歳の男性を受け持つ事になった。男性は飲み込む力が難しく胃ろうに頼っていた。男性は口から食べたいと考え、諦めずリハビリに励んでいた。妻が作る大根の煮物が大の好物だという男性のために、中村さんは大根をミキサーにかけ細かく潰した。そして試行錯誤を繰り返した。1か月後、ペースト状にした特製の大根を食べてもらうと男性は「ああ、おいしい」と呟いた。食事療法を続けた男性は1年後、普通の食事ができるように回復した。中村育子さんには豊富な知識や技術を教えて欲しいと様々な依頼が寄せられる。中村育子さんは古内宏子さん宅を訪問。古内さんは脳卒中で倒れ入院していたが自宅で過ごしたいと退院してきた。後遺症で飲み込む力が低下し栄養剤に頼ってきた。そして夫・鍍八郎さんも重いパーキンソン病を患ってた。古内さんが脳卒中で倒れたのは26年前、メッキ職人だった鍍八郎さんが仕事をしながら介護を始めた。出歩く事ができなかった妻のために楽しみとして手料理を振る舞い、古内さんは夫が作る大根料理が好きだった。5日後、古内さんが口から食べられるようになるために中村さんは食事療法をスタートさせた。ミキサーで作ったおかゆを飲み込む練習をし、安全に飲み込むかの診断を歯科医が行う。ここではクリアできたが1週間後、古内さんがドロドロとした食感を嫌がりおかゆをミキサーにかけずそのまま食べていると報告が入った。古内さんは誤嚥による気管支炎をすでに起こしていると思われる。中村さんの説得は1時間を超えた。中村育子さんは古内さんの切なる思いに寄り添った。1週間後、中村さんはペースト状にする時の水分調整が難しいため制限してきたおかずを解禁した。味のあるおかずならドロドロの嫌悪感が解消できるかもしれなとペースト状にしたマーボー豆腐を食べさせた。古内さんはペースト状のおかゆを飲む練習に前向きに取り組むと約束してくれた。それから1か月、古内さんは毎日リハビリを続けた。9月上旬、古内さんは飲み込む力を回復し、鍍八郎さんが大根の煮物を食べさせてあげた。
 「プロフェッショナルとは?」という問いかけに中村育子さんは「どんな時でも自分に厳しく自分を甘やかず、厳しい状況にあっても周りに優しくできるそんな人だと思う」と話した。

◆東京駅100歳
 赤レンガの駅舎で知られるJR東京駅は12月、開業100周年を迎える。今月から丸の内駅舎の赤れんがを模したラッピング電車が山手線を走ったり、駅構内のギャラリーで開業からの歩みを記録した特別展が開催されたりと記念のイベントが目白押しで、首都の玄関口はお祝いムード? 同駅の開業は1914年12月20日。初代の駅舎は終戦直前の空襲で一部を焼失したが、戦後に修復された駅舎が「首都の玄関口」として親しまれてきた。駅周辺の再開発で赤レンガの駅舎を取り壊して高層化する方針が示されたこともあったが、保存を求める住民運動もあり、12年10月1日、5年半の工事を経て開業当時の姿に復元された。現在では新幹線を含め、1日約4000本が発着する国内最大の駅。JR東日本では100周年の節目を祝おうと様々な記念イベントを開く。今月11日から運行する山手線の特別電車が目玉。赤レンガ色にラッピングされた車両を1編成限定で用意される。

<今日のニュース>
◆今年最強 ”スーパー台風” 台風19号 日本列島に接近
 今年最大の勢力ともいわれている、台風19号が日本列島に接近中だ。米軍の合同台風警報センターは、5段階のうち最も強いスーパー台風としている。台風19号は900hPaまで勢力をましており、その要因には高い海水温を長く通過していることが考えられるとウェザーニュースの石河大氏はコメントした。また、2004年の台風23号が今回の19号と似たような経路で、西日本から東日本の広い範囲で土砂崩れや河川の氾濫を起こし、死者95人、行方不明3人を出した。台風19号は、18号と同レベルの強さでやってくると考えたほうがよさそうだと話し、台風が 北上するに連れて帯状の雲が広がり、前線となることから、前線と台風の2段階で大雨となりそうだと予想した。今週末の3連休は大雨と台風?

アスベスト健康被害 最高裁初めて国の責任認める。
泉南アスベスト訴訟で、最高裁が初めて国の責任を認めた。裁判では、昭和46年に国が排気装置の設置を義務付けた時期が遅かったかが争点となった。2審では、健康被害が懸念されるからといって、厳格な規制をすれば産業の発展が阻害されるとして国の責任を認めなかった。今日、最高裁の白木裁判長は、排気装置の設置を義務付けた昭和46年の規制は遅く、昭和33年には義務付けるべきだったとし、国の規制が遅れたと認定した。最高裁が認めたのは初めてのこと。

◆世界都市ランキング 東京は総合力で4位
 世界の都市の総合力を判定する「都市ランキング」が発表された。2020年東京オリンピック開幕が決まった東京は7年連続で総合力で4位の結果となった。これは経済、文化、交流、交通アクセスなど6分野の評価をもとに都市の総合力を判定するものである。

◆体操世界選手権 男子個人総合決勝を行い、前人未踏の5連覇を狙う内村航平は合計91・965点となり、自身の史上最多記録を塗り替える5連覇を達成した。内村は5度目の世界選手権で通算7度目の金メダルとなり、日本選手で歴代最多の堅物永三、中山彰規に並んだ。また、田中佑典が鉄棒で15・500点の高得点を出し、合計90・449点で銅メダルを獲得した。