車内販売のカリスマ・齋藤泉さんの「仕事を面白くする秘訣」

◆「仕事を面白くする秘訣」
 ● 「ラクにこなしたい」では仕事の楽しさに気づけない
 「私がこの仕事を続けているのは、人に出会える楽しさがあるからです。お客様とのやり取りのなかで、相手の人となりや人間味が感じられたときに、仕事がとても楽しいと感じます。もちろん、ときにはお客様からクレームをいただくこともあります。『前に乗った新幹線で、販売員にひどい対応をされた』と怒られたこともありますね。他の人がしたことで怒られるのですから楽しい気持ちにはなりませんが、そんな場合は『状況をどう改善すればよいか』を考えます。お客様のクレームには、どんな根本的な原因が隠されているかを考えてみる。たとえば、それが販売員の知識不足が問題だと気づいたら、それを改善提案として報告するのです。ただ『こんなクレームを受けました』というだけでは、愚痴で終わってしまいますが、『この事項が周知されていないようなので、全員へ再度伝えていただければ助かります』と報告すれば、それを聞いた上司も現場の問題点を認識して、改善につながる行動を取ってくれるはず。このように、面白くないことがあっても、それをどう改善したらいいかと考えると、『現状を自分の手で変える楽しさ』がみえてくると思います」そうした行動を取ることで、クレーム以外のミスやトラブルも、「楽しさ」につなげることが可能になるという。「たとえば、新幹線の車内から次に停まる駅に商品補充の連絡を入れたのに、担当者が忘れてしまって商品が用意されていない、というミスが続いたことがありました。そこで『なんで忘れたんですか』と文句をいっても、あまり効果的ではありません。それで私は、商品補充の連絡を入れる際に、『あとで確認の電話を入れますから、よろしくお願いします』とひと言念を押すことにしたのです。それだけで、ミスが起こる回数は格段に減りました。つまり、どうしたら相手に動いてもらえるかを考えて、それを実行したわけです。『不満があるから仕事がつまらない』と聞くことがありますが、私は不満をもつべきだと思っています。そうでなければ、自分で改善する楽しさは味わえません。何となく仕事をこなすのはラクかもしれませんが、決して『ラク=楽しい』ではないはず。ラクなのは、刺激がないということ。刺激がなければ、喜怒哀楽の感情も湧いてこない。感情が動かない毎日って、とてもつまらないと思うんです」
 ●ストレスのないやり方で売上げがさらに伸びた
 こう語る斎藤さんだが、心の底から仕事を楽しめるようになるまでは、紆余曲折があった。「20代のころ、待遇を改善してほしくて、『実績を出せば、会社も私の声に耳を傾けてくれるだろう』と考えて、売上げを伸ばす努力をしました。自分より多く売っている販売員がいたら、話を聞いてその方法を取り入れたり、ほかの販売員が車内を3回回るところを、5回も6回も回ったり。その結果、売上げの記録を塗り替えることができて、会社にも要望を受け入れてもらうことができました。ところがその後、心がどんどん疲れてきたのです。『売上げを伸ばすために押し売りしているのではないか』と思い始めて仕事が楽しくなくなり、辞めようかと思うまでになりました。そこで、どうせ辞めるのなら自由にやろうと開き直って、売上げよりお客様に喜んでいただくことだけを考えました。お酒を飲んでいる方がいらしたら、以前はビールを2本、3本と勧めていたのですが、『これ以上飲んだら、帰れなくなりますよ』といって、お水を勧めたり。販売員対お客様ではなく、人対人として関わるようにしたのです。そう心に決めた瞬間、気持ちがとても明るくなりましたし、不思議なことに売上げはさらに伸びたのです。
 お客様に『この商品、おいしい?』と聞かれて、それが個人的に苦手なものだったら、私は正直に『じつは私、ちょっと苦手なんです』といってしまいます。そのうえで、『でも、甘めの味付けがお好きな方にはお勧めですよ』とお伝えすると、お客様も『正直だな』と思ってくださるようで、意外と『じゃあ、試してみようかな』と買ってくださることが多いです。『私も苦手だけど、子供はこういう味が好きだから、お土産に買っていくわ』というお客様もいらっしゃいます。無理に押しつけていないから、ストレスはないし、お客様に喜んでいただけて、売上げも伸びる。こんな楽しい働き方があるのだとわかってからは、仕事がほんとうに面白くなりました」
 ●気づきを行動に移せば仕事はさらに楽しくなる
 こうして、自ら仕事の楽しみを創造する斎藤さんの姿は、周囲にもよい影響を与えている。「一緒に乗務していた後輩が年配のお客様に飲み物を販売していて、窓に立て掛けてあるものに気づいたのです。尋ねると、それは亡くなった奥様の写真で、一緒に旅行をする約束が果たせなかったから、せめて風景を見せてあげたいと窓の外に向けて写真を置いていらしたんですね。それを聞いた彼女は、『励ましの手紙を書いて渡したい』と私にいうのです。私は『きっと喜んでくださるよ』と背中を押しました。手紙を受け取ったお客様はとても感動なさったようで、なかなか離してくれなかったと聞きました。後輩が写真に気づかず手紙を書かなくても、仕事は滞りなく進んだでしょう。でも、人として感情を働かせて、その気持ちに素直に行動すれば、普通にやっていたらあり得ないようなすばらしい出来事を起こせるのです。ふとした心の動きに敏感になって、自分にできることはないかと考えてみる。それが仕事を面白くする秘訣だと思います」
 ●今日の一瞬の出会い
 そして、齋藤泉さんは、「今日の一瞬の出会い」を大切にしている、と語る。それは、お客様に、「気持ちよく・心地よく」過ごしていただきたい。
そのために、今日できることを考える。考えて・考えて・考えて、考えるだけでなく、実行すること!だと。
 常に心がけて意識している5つのことを教えてくれました。
 1.お客様のニーズを予測する
  今日はどんな出会いがあるかのか?今日のお客さんはどんな思いで乗ってくるのか?天気予報や外部の情報だけではなく、常に自分の五感を大事  に!フル回転させて予測する。
 2.予測にあわせて、考えて準備をする
  今日のお客さんに合わせた店づくり(ワゴンつくり)(普通なら30分で終わるところ、たっぷり1時間かけて)
 3.実際のお客様を確認する
  自分の予測があっているのかどうか、よーく見る!よーく聞く!(もちろんさりげなく)しっかり観察することで、見えないものが見えてくる・
 4.手直しをする
  予測や準備が間違っていれば、手直しし、修正する。
 5.仕事が終わったあと、一日を振り返る
  単に「できた・できなかった」ではなく、「できなかった」ときは、なぜできなかったのか?これをやれば、あれができたはず!と反省する。「う まくできた」ときも、もっとできなかったか?と。
<本の紹介>
・「またあなたから買いたい! カリスマ新幹線アテンダントの一瞬で心をつかむ技術 」(斎藤泉・徳間書店
 http://www.amazon.co.jp/gp/product/4198627851/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4198627851&linkCode=as2&tag=ec093b-22

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<今日の偉人資料館>
 ・西郷隆盛・維新ふるさと館  http://www.ishinfurusatokan.info/ 
 ・西郷南洲顕彰館 http://www.saigou.jp/
 ・西郷隆盛宿陣跡資料館 http://www.city.nobeoka.miyazaki.jp/kanko/kitagawa/saigou.html

<1月23日生まれの先人の言葉>
西郷隆盛
 ・人を相手にせず、天を相手にして、おのれを尽くして人を咎めず、我が誠の足らるを尋ぬべし。
 ・己を利するは私、民を利するは公、公なる者は栄えて、私なる者は亡ぶ。
湯川秀樹
 ・一日、生きることは、一歩、進むことでありたい。
 ・現実は複雑である。あらゆる早合点は禁物である。
 ・取り返しのつかない大きな失敗をしたくないなら、早い段階での失敗を恐れてはならない。
 ・アイデアの秘訣は、執念である。
星野仙一
 ・俺は超二流
中田英寿
 ・偉大な人間は反復の大切さを知り単純作業にも気持ちをこめる。