ザ・ラストマン・日立グループのV字回復を導いた「やり抜く力」

◆「ザ・ラストマン」(川村 隆・角川書店)より
 この本は2008年に8000億円もの赤字を出した日立製作所の社長として5年間指揮を取った川村さんの著書である。このラストマンというのは、彼が工場勤務の時に当時の工場長の言葉である。「この工場が沈む時が来たら、君たちは先に船を降りろ。それを見届けてから、俺はこの窓をけやっぶてとび路降りる。それがラストマンだ。」その意図は「最終責任は自分がとる。最終的な意思決定は自分でする。自分の後ろには誰もいないのだという覚悟をもって、最後までやり抜く。「一人ひとりがラストマンとして働いていく先には良い結果が待っている。その可能性が高い。」ということを述べている。確かに、表面的に見てみると川村さんの打ち手は、カンパニー制の導入。グループ会社すべてで役割グレード給に統一。テレビ、HDD、電力事業の整理。非常に大胆な決断をしているだけに大きな障害や葛藤、そして批判が大きくあったようである。『社員の尻に火をつけ、健全な競争を生み出す「仕組み」をつくる・・・。そのために実行したことの一つが、「社内カンパニー制」だったのです。(p46)』また、大人数の会議では何も決まらないと断言され、少人数で決定することで、尖った(驚きの)方針を打ち出した。『各部門のすべての利益代表が参加する多人数の会議ではうまくいきませんから、「少人数で摺り合わせる」のです(p47)』
<ポイント>
・結局、自分がやるしかないな。(「まさに最終的な意思決定は自分でする」という考えの現れ。)・・・。そんな感覚で、しかし楽観的に、淡々と実行を続けることこそが重要です(p5)
・人は困難な経験をした時ほど成長しますが、「これぐらいでいいだろう」と思った途端に成長が止まり、後退していきます(p91)
・数字だけではなく、「なぜ必要なのか」「何のために必要なのか」「それを達成すると何が起きるのか」といった背景や将来を語ると、 部下も「それなら私も実現させたい」と意欲がわくでしょう(p114)
・ノートは今では160冊を超えました。・・・。書くという行為を通して考えるので、頭の中が整理されますし、その内容が記憶に残り、何かの拍子にふと思い出すことがあるのす(p121)
・ラストマンは「情」を理解しつつ、「理」をとることができる人間。・・・。「小事には情、大事には理」(p134)
・私流のリスクベッジの仕方の一つが、「早く、小さく失敗する」という方法です。・・・。完璧をめざそうとすれば撤退の判断が遅くなります・・今の仕事が51点の及第点に至っていればOKだと考えてよい。(p159)
・「見通しが甘い」だの、「問題を先送りしている」だの、「過去の蓄積を無視して厳しすぎる」だの、さまざまな批判が殺到します。ラストマンは
 孤独と仲良くしないとやっていきません(p178)


<4月6日生まれの先人の言葉>
●池田英一
 ・種を蒔け。
小沢昭一
 ・お客様は悪魔です。でも悪魔相手に勝負するのは相当面白い。笑う悪魔、泣く悪魔、感動する悪魔になってもらおうじゃないかってね。

◆今日の学習塾
 ・江戸と英語。

◆今日のトラックバック
 ・「今日は海の日。」 http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20130715/p1