日銀、苦渋のマイナス金利導入。

◆日銀、苦渋のマイナス金利導入。
 日銀はきのう、新たな金融緩和に踏み切った。これまでの大規模な金融緩和に加えて、銀行が日銀に預けるお金の一部について金利をマイナスにするという内容だ。日銀が異例のマイナス金利の導入に踏み切った背景には、中国経済の低迷・中東情勢の混乱を受けて原油価格が急落し世界金融市場が混乱していることがある。それによって、日銀が目指すデフレ脱却や経済再生の先行きに暗雲が立ち込めている。このため日銀はマイナス金利を導入し、懸念を吹き飛ばそうという狙いがあったと考えられる。金融市場が大きく揺らぐ中、日銀が何もやらないとマイナスの影響が出るという見方と、これ以上の金融緩和をするほうがかえってマイナスの影響が大きいという見方の両方の間で揺れた結果の苦渋の選択だったと言える。何故、日銀がマイナス金利の導入に踏み切ったのか。一つ目は原油価格の急落で、日銀が掲げる2%の物価目標がどんどん遠のいているということへの懸念。二つ目は、このところ進んでいる円高によって実体経済にも影響が出かねないという懸念。今後の課題は、国債の買い入れはこれ以上増加は限界なのかという懸念、マイナス金利の副作用の予測が難しいという点もある。未知の領域に足を踏み入れた日銀が、副作用に目を配りながらどのような手を打っていけるのか、今後一段と難しい舵取りを求められる。