自らに矜持を。

◆たとえ、サラリーマンでも自営業者でも仕事をする人間としての心がけであれば誰にでも適用可能であり、まさに、それは「矜持」は一人の人間として大切なプリンシプルである。矜持の「もと」になっているのは、たしかに「自尊心」であるが、「矜持」を使えるのは、その人の社会的・対外的「立場」を前提とした場面である。例えば、「聖職者としての矜持を持つ」とか、「男としての矜持というものがある」などの例が示すように、「××(=立場)としての矜持」、という形で使うのが原則であり、まさに、その立場にある者としての「誇り」「妥協できない態度」「示すべき態度」などを指すのが「矜持」であるから、「自尊心」と単純に置き換えると、意味が少しずれてしまう。「本当の人は目に見えないところでも丁寧な仕事をしている。ごまかしや手抜きを恥と思うのが人であり、まさに、それが矜持であろう。
 さてこの「矜持」を英語で何と言うのか、手元の広辞苑(第四版)には「自分の能力を信じて抱く誇り(正しくは矜恃)」と定義されていた。
 ・pride(誇り)
 ・dignity(尊厳)
 ・integrity (高潔)
 矜持にはこの3つが重なる部分とでも言いたいニュアンスがあり、まさに、英語の professional がぴったりである。Professional には、それを生業にする人(=それで収入を得ている人)という意味があるが、「プロ」や「匠(maestro)」に通じる意味もある。矜持とは integrity に裏打ちされた pride なのですが、一つの英単語で良い表せるものではないのかもしれない。
 どんな立場であれ、自らの矜持が重要であり、それがないのであれば、人生のリッセットが不可欠。どんな立場であれ、自らに矜持が不可欠である。