「2015年の世界潮流を読む〜息をのむ激動の年〜」(講師:寺島実郎さん)の講演会に参加。

◆「2015年の世界潮流を読む〜息をのむ激動の年〜」(講師:寺島実郎さん)の講演会に参加。
 講演会の冒頭、司会の知研理事長久恒さんから昨日なくなったシンガポール建国の父・リークアンユー氏の日本に対する考えなどの話があった。1965年マレーシアからシンガポールが独立した際に独立が成功したことに関し、「資源が何もないから成功した。」との氏の言葉が紹介された。そして、日本に対し、「日本は平和的で非軍事的ではあるが、決して本気で悔い改め謝罪しない国である。」「ドイツ人の行っている歴史教育の方法を学ぶべきだ。日本人は精神の浄化ができていない。毒を取り去っていない。過ちを認め、謝罪し、前進して、より大きな信頼と信用を得てともに前進して欲しい。日本の文化は強靭で知能指数は欧米人より高い。日本はいかなる災難も克服していくだろうが、極端に振れるのが恐い点である。」との紹介があった。『リークアンユー回顧録」(下)のメッセージ』http://d.hatena.ne.jp/k-hisatune/20130127
 毎年、この時期に寺島実郎さんの講演会が開かれている。21世紀になり15年を経過して日本の置かれている状況を話された。『寺島実郎の時代認識と提言』 資料集(2015年春号)(http://www.terashima-bunko.com/terashima/recognition.html)を資料としながら講演された。
<講演要旨>
・リー・クワンユー日本に対し、「憎悪と尊敬」の念を抱いていた。平和・非軍事といいながら、日本はあきらめていない。まさに、日本人の精神の過ちであり、ドイツと同様に反省すべきである。
・勤労者可処分所得:1990年44.1万円、2000年47.3万円、2014年42.4万円。この15年で月5万円の減。年間60万円の減少。家計消費構造:消費支出は26873円の減少。増えたのは自動車関係、通信、電気、保健医療、健康保持摂取品、医薬品。減ったのはこずかい、交際費、仕送り、書籍、教養娯楽。貧困化の進行。アクティブではなくなった。学ばなくなった。(2000年から2013年)まさに、内向きの日本。
・大学院の修士卒業者7.3万人の2割、博士卒業者の5割が非正規、又は無業者。高学歴フリーター。フラストレーション。分配の歪み。
・日経はアベノミクスの宣伝媒体と化した。連合は労働者の18%未満を組織。公務員と大企業中心。8割以上は未組織労働者。労働分配率はダウン(2000年63.7%。2013年61.6%9.企業の内部留保194兆円から328兆円へ増加。企業も労働者も「不安」。「構造的要因」。
2010年中国が日本を追い抜いた。2014年2倍。2019年3倍に。一人当たりGDP(豊かさ)、2014年アジア4位に転落。「アジアの先頭」は幻想。世界26位。「アジアの追い上げ」。
構造的要因とアジアの追い上げがあり、何となく日本の立ち位置が危ういという雰囲気。近隣国には訛られたくない、プチ・ナショナリズムへ。異様な空気感。
・一方で、日本はアジア・ダイナミズムで飯を食っているという現実。訪日外国人2104年は1341万人。台湾283万人、韓国275万人、中国241万人、香港93万人、アメリカ80万人、シンガポール23万人。大中華圏から640万人(半分)。韓国を加えると3分の2であり、アジアから75%。
・日本の貿易相手国シェア:2014年:米国13.3%、中国20.5%、大中華圏30%。アジア50%。アジアのGDPは世界の中で現在25から30%を超えていく水準、2040年位は世界の50%。
・失業率は2000年4.7%、現在4.3%と下がってはいるが、中身が問題。製造業225万人、建設業から128万人が減少。サービス業(介護、タクシー運転手、ガードマンなどが増加)は471万人増加。製造業より193万円少ない報酬、建設業より167万円少ない報酬。(過去12年間)。
報道の自由度2010年11位、2014年61位(国境なき記者団)。映画「アンブロークン」。日本以外では話題。日本では配給しない。1936年のベルリンオリンピックのヒーローの物語。イヤな話は黙殺。ロンドン・エコノミストの「The World in 2015」。欧州の目線。「アベノミクスの限界」は日本版(日経BP)では削除されている。ここがすごいぞ!日本人」のような番組の横行。
IMFの世界経済見通し:米国2014(2.4%)2015(3.6%)2016[3.3%と絶好調。ユーロ圏2013年(-0.5%)2014年(0.8%)2015年(1.2%)2016年(1.4%)とゆるやかに上昇中。日本2014年(0%。マイナス成長)2015年(0.6%)2016年(0.8%)と低迷。いつまでたっても打たれない第三の矢、まさにアベノミクスは失敗。
日本株:1万9千円。外国人投資家17.8兆円の買い越し。日本人投資家1.9兆円の売り越し。日本人個人15.0兆円の売り越し。GPIF(年金基金)による買い。クジラ(公的年金)で株を支える構造(32兆円)。共済、簡保、日銀ETFなどを総動員した官制相場。運用能力はあるのか。崖っぷちの選択、禁じ手に踏み込み。反動の怖さ。リフレ経済論者たちは現場を知らない。
・米国経済の浮揚:シェールガス・オイル革命と次世代ICTが要因。ビッグデータ時代に向かっての戦略意思。マイナンバー制度。銀行カードと流通がリンクしていく。GE。バーコード開発。レジを通ると、銀行から金が落ちる。まさに、レジ不要。ビッグデータにより、トレーサビリティとデータ解析でマーケッティングやマーチャンダイジングが変貌。
・2001年のエンロン事件、2008年のリーマン、それから7年たった。そろそろ、産業力を高め、知の世界で飯を食うのは難しくなってきたが、新しい知性を投入していく時期。そろそろまた何か起きる可能性?今日の日本は技術と汗で築いてきた。今こそ、まっとうなプロジェクトエンジニアリングを。そして正気に帰る時期。

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<今日3月24日生まれの先人の言葉>
●本多光太郎
 ・傘があれば、雨でも濡れんでええわなあ。晴れなら荷物と反対の手にバランスが取れてええわなあ。
●川本信彦
 ・おやじさん(本田宗一郎氏)が創った「他人に迷惑をかけるな」、「自分で知恵を出せ」「得手に帆を揚げよ」といったホンダの思想は、まだまだ可能性があると思います。
●黒田 チカ
 ・天然ものは正直ですから、こちらが真を以て一生懸命で向つたら、必ず門を開きます。

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◆講演会に参加したこともあり、あまり英語の勉強は捗らず。明日以降に持ち越す。でも目標を立てた割には英語も江戸も進まないことに関し、なんとかしなければなるまい。今年の秋には成果をみせなかえれば。それは誰のためでもなく、自分のためにまさに7回読み勉強の本領を発揮していきたい。
(参考 「99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ」から学ぶ7つの仕事術のポイント。そして再び東大首席弁護士・山口真由に学ぶ「7回読み勉強法」とは。http://d.hatena.ne.jp/ks9215/20150210/p1)