「勉強脳」を作るために

『つねに結果を出す人の「勉強脳」のつくり方』から学ぶ7つのポイントとは
【ポイント】
1.どんなことでも3日ずつ10回続ければ習慣になる
 副腎皮質が分泌するホルモンには、ストレスを防御する働きがある(以下、本書ではこれを防御ホルモンと呼称する)。これが作用すると、いくら嫌なことでも3日間は我慢できるようにしてくれる。その間に、新しいことを知ることは楽しいと、ふと思う瞬間が訪れる。そう思ったあとに、さらに3日続ける。そうやって10回やってみよう。あれほど嫌いだった勉強が嘘のように習慣になる。"クセ"が身につくのだ。いくら嫌いなことでも3日ずつ、10回だけ続ければ、クセになり、習慣になる。これは脳科学の実験的な結論だ。
2.小さな計画から始める
 大脳新皮質は「始めよう」「習慣を変えよう」と促すが、動物的な辺縁系は反発する。新しい変化は、いつも恐怖を伴うからだ。嫌いな勉強をするためには、ここをうまくなだめなければならない。壮大な勉強計画であるほど、辺縁系の恐怖は大きくなる。よって、小さな酎画から始めてこそ辺縁系の警報発令を防ぐことができるのだ。動物脳は嫌なことに反発する。勉強を嫌なことと感じれば、当然動物脳が反発する。やりたくないことをしなければならないときは、辺縁系を刺激してはいけない。とても小さな計画だよと、辺縁系を騙さなければならないのだ。
3.息抜きは机の周りで
 勉強は瞬間集中が肝心だ。集中しているときだけ机に向かい、集中力が散漫したらノルアドレナリンが発動される前に、ぺンを置いて机から離れなければならない。(中略) しかし、完全に目前のテーマから意識を離してしまってはいけない。少し歩くのなら、勉強していた場所から遠く離れたりせず、付近を歩き回ろう。どう動こうが、何を見ようが、潜在意識だけは目前のテーマに向けておこう。(中略) 勉強の影響圏の中で軽く体を動かしていると、机の上に開いておいた本の中にある単語がふと目に入ることがある。これが再び勉強するきっかけを作ってくれる。まるでスイッチがオン、オフするかのように、緊張と弛緩が繰り返されるのだ。
4.勉強がはかどる人の5つの習慣
 1.プランナーの素質がある
 2.失敗が一番大切な勉強だと知っている
 3.際限なく「なぜ?」と質問する
 4.メモと分類の才能がある
 5.机と本棚が整理されている
5.余計なものは視界に入れない
 目の前の勉強にだけ集中しよう。また、いったん終わった勉強の資料などは、目の前から片付けること。今見るべきものだけ、目の前に置く。ノートも科目別、項目別に準備したり、境界線を引いたりして、以前の勉強内容が見えないように工夫しよう。勉強部屋の環境を変えることも重要だ。誘惑されそうなものは、全部片付けてしまうことだ。勉強しているときに、ふとべッドが目に入ると、寝転びたくなってしまう。オーディオが目に入ると、音楽でも聴いてみようかと思い本当に音楽を聴いてしまう場合がある。このように、一瞬目に入ったものが、1時間を奪うことがある。
6.たくさんの感覚器官を使って記憶する
 本を読むときに一度声を出してみよう。暗唱法は昔の寺子屋で使われた学習法だ。お坊さんも基本的に暗唱法で勉強する。暗唱するときは、目で見て、姿勢を正し、体を揺らす。こうやってリズムに乗ると、多くの感覚器官が使われる。さらに声を出して読めば、集中の助けになる。オハイオ州立大学の報告によると、目で見て声を出しながら記憶すると、記憶力が34%も増加するという。暗唱法は、脳科学的に証明される前から行なわれてきた人間の知恵なのだ。耳で聞く内容を手で書いてみるのも良い。暗記するときに手を使って書いてみるのは、伝統的で広く知られた勉強法だ。目をつむって覚えるのもいい方法だ。刺激を遮断することで集中力が高まり、目をつむることで自然とイメージが浮かび、記憶の再生が楽になる。
7.3段階の復習で記憶せよ
 中・高校の45分授業を基準にするならば、45分勉強して、5分復習し、10分休憩しよう。45分の勉強後、5分間だけでも勉強した部分に目を通そう。言葉通りに「目を通す」。これが第1段階の復習だ。(中略)復習の第2段階は、就寝前に行なう。その日勉強したもの全体に目を通し、うまく記憶できていない部分には線を引いておく。その日いくら勉強したとしても、30分もあれば十分復習できるはずだ。第3段階は一週間後に行なう。先週勉強した内容をもう一度確認するのだが、これは記憶の干渉を牽制するための方法だ。新しく入ってきた情報が、以前に覚えた記憶の再生を邪魔するので、「一週前に勉強した内容」を一週間後のタイミングでまた引っ張ってくるのだ。