自粛への二つの懸念

    一つ目は、行動制限を指示されても「守れない」人々が出る点だ。経済的に苦しく毎日働きに出る必要のある人や独居のお年寄りなど、自宅に閉じこもっては生活できない人々もいる。そうした人々を支援する枠組みが重要となる。行動制限の指示を守らなくても罰則はない。生活の基盤が保証されなければ、指示を守らない人が多く出るかもしれない。一方で病気になりたい人はいない。誰もが指示を「守れる」ための補償が必要だ。
 二つ目の懸念は、「感染を防ぐためには何でもするべき」という同調圧力が強まり、地方自治体などが政府以上の制限に踏み切ることだ。のはやむを得ない。しかし民主主義国家である以上、個人へのより少ない強制を模索する試みは常に必要となるであろう。