九州「同時多発地震」これからどうなるのか。

◆九州「同時多発地震」これからどうなるのか。
 九州中部で続いている強い地震は、熊本から阿蘇へと広がり、大分を震源とする地震も起こって群発の様相だ。震度1以上の余震は18日(2016年4月)午前0時までに508回にのぼっている。死者は42人、負傷1000人以上となっている。被災者を思うと早く収束そいてほしい気持ちが強い。
 熊本地方には東西に走る布田川断層と南西に走る日奈久断層とがあるそうだ。前震は2つの接点近くが震源だったが、本震は布田川断層の東側。さらにその後、東に大きく離れた大分県内でマグニチュード5・8と5.3の地震が続いた。ここは別の断層帯だそうだ。最初の地震は日奈久(ひなぐ)断層帯の北部で起きたそうだが、16日の本震はその北東側の布田川断層帯で起きたとみられる。微小な群発地震は熊本から南西へ広がっている。刺激の連鎖が続くと、その延長上には稼働中の川内原発がある。本震では南阿蘇村で活断層が地表に現れていた。麦畑の真ん中で地面が東西に2メートルもずれていたり、道路がずれて家が路上にせり出しているところもあった。断層の長さは27キロと研究者が確認したそうだ。本地震は、最初の地震よりも大きな「本震」が起きたことで災害の姿が大きく変わった。被害は山間部も含め広範囲に及び、強い揺れが相次いだ。東隣の大分県でも地震が活発化している。地震の回数が増えれば、建物が倒壊する恐れも高まる。柱や壁に強い力が加わり、変形して戻ることを繰り返すと、ひび割れや隙間ができる。その結果、建物の外からの力に耐える力が落ちてくるからだ。
 今後懸念されるのは、さらに別の活断層による地震が誘発される可能性だ。相次ぐ地震震源は、「別府―島原地溝帯」と呼ばれ、多数の活断層がある溝状の地形に沿って分布している。さらに北東には、四国を横断し紀伊半島に延びる長大な活断層中央構造線断層帯が連なる。地震が起こると、震源になった断層にたまっていたひずみは解消されるが、逆にその周囲や延長線上にある断層のひずみが増えることがあるそうだ。その影響は、離れた地域にも及ぶようだ。東日本大震災の直後には、長野県や静岡県でM6級の地震が起きた。活断層による内陸の地震でも、1992年の米ランダース地震(M7・3)の3時間後に、40キロ離れた地点でM6・4の地震が発生した例が知られている。今回、地震が起きている領域と重なる大分県の別府―万年山(はねやま)断層帯でも、この断層が動いた慶長豊後地震(1596年)で、前後数日の間に愛媛と京都で大きな地震が起きた記録も残されている。中央構造線断層帯などの活断層がこれからどうなるのか不安である。まさに慶長豊後地震の再現、川内原発伊方原発への影響、そして南海トラフ地震など不安を覚える。

<今日のニュース>
●激震相次ぐ被災地 ずれた「活断層」今後の地震活動は(2016年4月18日放送 21:17 - 21:19 NHK総合ニュースウオッチ9」より)
 今回の地震の原因とされているのは活断層のずれ。専門家は活断層の一部が地表に現れたものとみている。また、地震調査委員会は、一昨日の大地震は「布田川断層帯」の一部がずれ動いて起きたと考えられるとしている。活断層のメカニズムに詳しい別の専門家は、一昨日の大地震でずれ動いたと考えられる活断層の周りに新たなひずみが加わっていることが分かったといい、活断層などの監視をまだ怠らないことが重要と指摘した。